96話 VSコルデューク【1】
頭に血が上ったコルデュークは、手の平サイズの【空間の扉】から『処刑用斬首剣』を取り出した。
「おい犬コロ、せっかくだから教えてやる。そこのキメラは理由があって殺せねえが、それ以外はどうでもいいんだよ。つまりは俺の気分次第でお前の首を撥ね飛ばしてもいいわけだ」
そして剣を肩に担ぎ、ポロに脅しをかける。
しかし、ポロは動じなかった。
「どうすればいいのかな?」
ポロが問うと。
「そうだな、土下座して俺の靴でも舐めろ。犬のお前にはおあつらえ向きだろ?」
嘲笑したように足元を指差し、コルデュークは服従を強要する。
ポロはしばし考えた後、首を横に振った。
「少し考えてみたけど、やっぱりお兄さんに頭を下げる理由がなかった。道案内が不服ならいいよ。適当に探してみるから。そこ通して」
「通すと思うか?」
「どのみち上に行かなきゃいけないんだ。力ずくでも通るよ」
「そうかよ。じゃあ死ね」
そう言って、コルデュークはポロに向け剣を大振りし、気を纏った斬風を飛ばす。
ポロはひらりと斬撃を躱すと、双剣を取り出しコルデューク目がけて跳躍した。
「【烈波殲牙】」
予想以上に機敏な動きを見せるポロに後れを取り、コルデュークは斬撃を躱すことが出来ず、刃を強引に剣で受け止める。
「ちっ、速えな。オニキスが苦戦しただけはあるか」
と、コルデュークの呟きにピクリと反応した。
「オニキスって、『黒龍の巣穴』にいた、酒場のマスター?」
「ああそうだよ。お前ら元攻略部隊に無様な敗北を喫したクソザコさぁ」
鍔迫り合いの最中で馬鹿にしたように返すコルデュークに対し。
ポロは「そうかな?」と、否定する。
「お兄さんに比べたら、よっぽどあの人のほうが強いと思うけど?」
「ああっ?!」
コルデュークが最も嫌うもの。
それは他人に見下されることである。
「殺すぞ獣風情がっ!」
ポロの一言で激高したコルデュークは、叫ぶように自身に強化スキルを付与してゆく。
「【身体強化】、【急速魔法充填】、【能力限定解除】!!」
そして力任せにポロの剣を押し返すと。
途端にコルデュークの剣がどす黒く変色し、禍々しいオーラを放つ。
そして――。
「【奈落の剣】!」
光も通さぬ闇の斬撃をポロ目がけて飛ばした。
直線状に放たれる巨大な刃は地面と天上がえぐれる勢いで物体を飲み込んでゆく。
ポロは寸前で斬撃を躱すと、その位置に再び斜線状の斬撃が飛ぶ。
「っっっ!」
またもギリギリで回避するポロだが、頭に血が上ったコルデュークは延々と闇の刃を乱射する。
その猛攻はポロを切り刻むまで終わらない。
「オラオラオラオラ! さっさとくたばれっ!」
もはやパルネやその他建造物などお構いなしに、目の前の無礼者を排除する為だけに全力で剣を振るうコルデューク。
「パルさん、逃げて。この人の狙いは僕だ。こっちに注意が向いてる間に早く!」
「ええ、ですが逃げるなら二人で」
そう言うと、突然パルネの体に身体変化が起き、子供体系だった彼女がみるみる大きくなり、成人女性のような体へと変貌した。
「パルさんが大人のお姉さんになった……」
「年齢的にこの姿が適正です。それより……もっ!」
すると、パルネは翼を広げポロを後ろから抱きかかえながら飛び立つ。
「うおっ……」
「このまま一気に突破します。じっとしていて下さいね」
風を切る飛行速度で斬撃を躱し、瞬く間にコルデュークを通り過ぎる。
「待てこらザコ共! 逃げんな!」
背後から飛んでくる斬撃をも低空飛行で回避しながら通路の奥へと進む二人。
そして突き当りの階段を上がった先へ向かうと。
そこには様々な生物が幽閉された鉄格子の部屋が連なっていた。
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