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空駆ける黒妖犬は死者を弔う  作者: 若取キエフ
第四章 空中都市、セシルグニム防衛編
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177話 総力戦【3】


 ミーシェルの加勢により、皆は身体能力と共に士気も向上。


 ハジャの気分次第で生死の決まる戦況が、ひっくり返った。


「付かず離れず私に剣を振るうか、レオテルス・マグナ。魔導士ソーサラーとの戦いをよく熟知しているじゃないか」


 詠唱する隙を与えず剣を振り続けるレオテルスに、ハジャは一糸乱れず杖でその斬撃をいなす攻防戦。


「魔法を使われると厄介だからな。お前に暇を与えない」


「だがジリ貧だ。この状況では君もスキルを使えまい。決定打に欠ける持久戦になるが?」


 その剣戟の中で、レオテルスの剣筋はさらに研ぎ澄まされ、徐々にハジャを追い込んでゆく。


「別に俺がトドメを刺す必要はない。俺達・・は足止めで十分だ」


 と、レオテルスが言うと。


 サイドからオニキスもハジャへ斬りかかった。


「ハジャ様、僕は世界の行く末を知りたい。真実を知りたい。だからこれ以上、あなたの戯れに付き合っている暇はないんですよ」


 両サイドからの斬撃に手数が足らぬと判断したハジャは、懐から短剣を取り出し、二人の攻撃を受け続ける。


「戯れ……か、たしかにそうだな。ならば私の道楽を脅かす程の力を示してみせよ」


 ハジャが得意とする戦術は主に魔法。


 だが、その動きを封じられて尚、力を弱体化されて尚、戦士二人と互角に渡り合える彼を見て。


 今までは本当に遊び半分だったのだと思い知らされる。


「たかだが十年、二十年生きた程度の君達では分からんよ。悠久の時間とは、なかなかに退屈なのだ」


 などと、呼吸一つ荒げる事無く、短剣とステッキ、そして足技で二人に反撃を繰り出す。


 二人に回し蹴りを食らわせ距離を取ると。


 その隙に魔法を唱えようと魔力を高める。


 が。


「【聖戦武器召喚セイクリッドデバイス】」


 背後から幾つもの神器を召喚したショウヤにより妨害される。


「む……!」


 体に突き刺さる魔剣、魔槍に、ハジャは詠唱を中断した。


「ハジャ、お前が多対一を選んだんだ。まさか卑怯だなんて言わねえよな?」


 遠隔操作でハジャに刺さる神器を抜き取り彼に尋ねるショウヤ。


「ああ、二言はないとも。しかし、相手をするのは君達三人だけなのか?」


 ハジャが問うと。


「四人だよ」


 と、奥から吹き溢れる魔力を内包したポロが近づいて来た。


 アダマンタイトの爪を装備し、ほとばしる魔力をそのままに。



「【獣神解放ビースト・ドライブ】!」



 詠唱と共に、ポロは身体強化魔法を付与した。


 体中から溢れる、紫焔色に光るポロの魔力。


 先の化け物と化した姿よりも落ち着いているが、それ以上の圧力が小さな体に凝縮している。


「ハジャ……終わらせるよ」


「はは、お前を見ていると退屈しないな」


 四人の強者に囲まれるハジャは、焦燥感ではなく高揚感に浸る。


 ――オールドワン、地上に生きる者も、捨てたものではないぞ。


 そう心の中で呟きながら。




 主人の危機を察知したフェンリルは、ハジャを守ろうと弱体化した体を起こすが。


「あんたの相手は…………」


「アタシ達だっつーの!」


 腰を上げる寸前で、メティアとリミナは頭上から奇襲を仕掛け。


 直撃したフェンリルは再び地に突っ伏す。


「ポロっ!」


 離れた位置から、メティアはポロに叫ぶ。


 こっちは自分が引き受けたと、そう目で訴えて。


 ポロは静かに頷くと。


「ミーちゃん、こっちは僕達に任せて、メティアとリミナの加勢に行ってあげて」


 戦闘態勢万全だったミーシェルに、ポロは命じる。


「……了解したニャ、ご主人。ご武運を」


「うん」


 後ろ髪惹かれる思いに駆られながらもポロの命に素直に従い、ミーシェルはメティア達の加勢に向かった。


 そしてポロ達も決着をつけるべく、ハジャへ総攻撃を仕掛ける。





ご覧頂き有難うございます。

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