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偽りの日々にさようならを -04-

 やけにざわざわとした騒ぎ声と、金属の擦れる音が私の耳に聞こえてきた。


 あの時も、クローゼットの中からこの音を聞いたな、と私は耳を澄ませる。


 やっぱり来てくれた。


 必ず来てくれる。どこに隠れていたって絶対に私を探し出してくれると、私は信じていた。


 絶望の闇の中にいたあの時に見つけてくれたのだから、今回も、と。


「ソフィアお姉ちゃん……」


 メルが不安そうな表情で私に近づいてくる。


 私は優しく微笑みながらメルの両手を握り締め、メルに向き合った。


「メル、もう少しで迎えにきてくれるよ。一緒に行こう。外はとても明るくて、色とりどりの世界が広がって、とてもきれいなんだよ」

「ソフィアお姉ちゃんには、やっぱり大切な騎士様ができたんだね。メルは……」


 メルは唇をぐっと噛み締める。そんなメルを私はぎゅっと抱きしめた。


「うん、そうだね。とっても大切な人だよ。でも、それはメルも同じ、もちろんテオも。今もとっても大切な私の家族だよ。だからこそ、いつまでも閉じこもっていちゃいけないの。みんなで幸せにならなきゃ」

「うん、わかった。ソフィアお姉ちゃんを信じる!」



 そして、あの人の声が聞こえてきた……


「ソフィア、ここか!?」

「はい! アラン様!!」


 ドア越しに聞こえるアラン様の声に、私はすぐに返事をした。


 今すぐこのドアを開けて会いたいという気持ちがはやるけれど、外から鍵がかかっていて開かない。


「今、鍵を開けるから」


 アラン様はそう言うと、カチャカチャと音を鳴らし、そしてカチャっという音とともに、私たちを阻むドアを開けた。


「すごいです……」

「これくらい簡単だよ。その子は?」


 私が無事だったことに安堵の表情を浮かべてくれたアラン様は、私の後ろに隠れていたメルに視線を送った。


「メル、大丈夫だよ。この人は……」


 全てを言い終える前に、警戒心の強いメルが笑った。


「ソフィアお姉ちゃんを助けてくれる?」

「ああ、約束をしよう。もちろん、君のこともだ。さあ、行くぞ」

「アラン様、テオは?」

「今、探している。きっとすぐに組織の奴らも来る。その前にソフィアたちだけでも逃げろ。大丈夫だ。テオドールはソフィアたちの家族だろ? 必ず生きてるよ」


 私はこくりと頷き、そしてアラン様とメルとともに走り出した。


 屋敷の外までもう少し、というところで、



 ----ドッカァァァァン



 爆発が起きた。孤児院での爆発とは比べものにならないほどの威力の爆発が。


「来るのが早いな、口封……」


 アラン様は言葉を止めた。きっと直ぐ隣に私がいるからだ。けれど、その言葉に続くだろう言葉くらい私にも想像はつく。


 口封じのための爆発。裏切り者のテオを殺すために。


 私はぐっと唇を噛み締める。きっとテオは生きている。この前だって、死んだと思っていたのに現れたのだから。


「早く逃げるぞ、ここもすぐに崩れる」


 外への出口はすぐ目の前。だけど足元にはすでに瓦礫の欠片が散乱していた。


「メル、大丈夫?」

「うんっ」


 私はメルの手を引いて走った。


 自分のことで精いっぱいだったけれど、メルと繋がれたこの手だけは離しちゃいけない。


 懸命に走るメルは、崩れはじめた天井から落ちた瓦礫の欠片に躓き、転んでしまった。


「あっ……」


 私は直ぐには止まれず、絶対に離しちゃいけないと思っていた手が、メルと繋がれていた手が離れてしまった。


 そして……


「メル、逃げてーーー!!」


 私の叫び声と同時に、一瞬にして私の目の前は瓦礫の山となった。そこは、先ほどまで、メルがいた場所……





 なのに、メルは今、私の腕の中いる。


 テオに放り投げられ、宙を舞って、私の腕の中に飛び込んできたから。






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