国の救済策 (2)
経営者が【夜逃げ】した塾では、
給料を貰えていたのは、
私一人だけだった。
でも、
どちらかと言うと、
私は他の従業員達から歓待されていた。
その理由は。
5 私が塾そのものを生き伸びさせたので、
政府から支給される補填金自体が、
大きくなった。
当時の補填金のシステムは、
こうだった。
1 倒産した企業の労働者から、
給与債権を、
日本国が全て買上げる。
2 その上限額は百二十万円。
つまり、
未払い賃金が二百万円有っても、
百二十万円扱い。
3 その手数料は二割。
要は、
倒産した企業の従業員が補償される金は、
最大で、
【九十六万円】。
具体的には、
月給が三十万円だったら、
給料が貰えなくなってから三ヶ月、
つまり、
『四ヶ月分の給料がたまるまで、
会社へ行って、
ぷらぷらしていた方が、【お得】』
という事になる。
たぶん、
この状況になると、
会社へ行っても暇だと思うよ。
そもそも、
そんなに沢山仕事が有るのなら、
給料も払えるし。
それに、
それまで威張り散らしていた上司も、
豹変しているハズだ。
身が危険だから。
まぁ、
そのくらいの状況判断が出来ない人間は、
たとえブラック企業でも、
出世は無理。
もし、
仮に、
頭のオカしい人から命令されたら、
「給料払え!」
と反論すれば良い。
「クビだ!」
と怒り狂われたら、
とりあえず、
解雇予告金の一ヶ月分の給料を請求しておこう。
御存知の様に、
雇用保険に入っている人は、
とにかく、
自分から辞めてはならない。
国からの補填金も、
解雇になってから一ヶ月以上会社が存続さえしてくれれば、
給料一ヶ月分を上乗せして、
国に請求出来る。
さて、
ここで、
今回のコロナウィルス騒動で、
経営側から、こんな事を言われたら、
どう対処すべきなのか?
という話だが。
「状況が悪化したので、
給料を三分の二にしてくれ!」
この給料の減額、
これだけは、
絶対に受けてはならない。
減額されると、
雇用保険が減額されたり、
厚生年金が減額されたり、
未払いの賃金の補填自体も減額される可能性が有る。
とりあえず、
「給料の支払いを一ヶ月待つから、
上げて貰えませんか?」
で、
交渉を始めてみよう。
ポイントは、
『目先の現金』には、こだわらず、
後の補填金を大きくする事だけを考えた方が、
良い。
ちなみに、
経営者側は、
『目先の現金』に血眼になっているから、
【給料を待つ】という言葉の誘惑は、
絶大だ。
この状況になっちゃうと、
ハッキリ言って、
『目先の現金』が得られる確率は、
労働者も経営者も、どちらも、
極めて低い。
『辞めて、新しい仕事を探す』
とか、
愚か者の選択肢だ。
労働者のすべき事は、
死に体の企業を、
名目上だけでも生き長らせて、
そして、
名目上の労働時間を長くする。
もちろん、
会社に居るだけで、実際に仕事はしなくて良い。
特に、
経営者が個人事業主で、
労働者がバイトの場合には、
シフトが入っていなくとも、
勝手に仕事場に顔を出してしまおう。
その際に、
タイムレコードに記録しておけば、
確実に、
国からお金が貰える。
記録が無くても、
証言だけで支給されるケースも。
補填金の説明1で書いた様に、
給与債権が国に譲渡されるので、
個人事業主は、
国から金を請求される。
犯罪者の如く逃げ回らなければならない。
経営者から異論を挟まれる事が無いので、
労働者が好き勝手出来るのだ。