労基署に行ってみると (1)
私は、
電車で本部の在る市へ向かった。
駅へ着くと、
私に応援要請して来た幹部が、
車で迎えに来てくれた。
その幹部は、
当時、五十代後半で、
私よりも二十歳以上、上。
そして、そのまま労基署へ。
労基署では、
いきなり課長が対応してくれた。
担当者が、
課長なのだ。
その課長は、
四十代前半で、
部下の方が年上の事から、
『T大卒でもキャリアでも無いが、
叩き上げでも無い』と言ったところだろう。
何故?
課長が、わざわざ担当してくれるのか?
と言うと。
課長の話を総合すれば。
塾の生徒の親が、
警察に相談に行ったらしい。
地元の警察に知り合いが居る人とか、
そりゃあ、
当たり前だよね。
生徒の中には、
入塾して一回も勉強していないのに、
【夜逃げ】されちゃった子も。
それで、
詐欺事件を視野に、
警察は捜査する予定の様だ。
警察が動けば、
マスコミも動く。
『マスコミ案件なので、課長案件』という事らしい。
その課長に、
私も、
「警察の事情聴取を受けるだろう」
と、
言われた。
これ以降、
警察の捜査状況を、この課長から聞く事になる。
さて、
課長の大きなデスクに案内された時、
普通の会社では有り得ない事が起きた。
私が課長の真っ正面に座り、
幹部は、
私の横に。
役職も年齢も、
その幹部の方が上なのに。
しかも、
私は入って数ヶ月の新入で、
一応、応援要員なんですけど。
でも、
私は子供の頃から、ずうーっと、そういう扱いだったので、
当時は、
何の違和感も感じなかった。
課長も、
ごく自然に、私に語りかけて来た。
何故?
こんな展開になったのか?
今、
考えると。
それは、
その課長の言っている細かい事が、
一般人の想像の斜め上を行っていて、
何か、
騙された気分になるから。
私は、
左翼教師の息子なので、
すんなりと頭に入って来るのだが。
『左翼の常識は一般人の非常識』
一般人の幹部が、
労基署の課長の話を聞くと、
細かい事が引っ掛かり、
頭の中が、
『?』で一杯になってしまう。
でも、
今の人なら、
日本政府のコロナウィルス対応を見ているので、
大丈夫なのでは?
「金は出さないけど、要請には従え!」
とか、
ブラック企業と、どこが違うんで?
左翼の常識では、
日本の社会システムは、
【労働者が絶対不利】。
ブラック企業は、
日本の社会制度の賜物である。
法律は、まだ、表面上は、
労働者と経営者は対等なんだけど。
その法律を運用する際に、
機能不全に陥る様、
微調整がなされている。
だから一般人には、
「そんな馬鹿な!」という話にしか、
課長の言っている事は、
聞こえない。
話はズレるが、
一番腐っているのは、
やっぱり日本の司法だろう。
日本人が有休を取れないのは、
有休を取ってクビになった人が、
最高裁で敗訴したから。
しかも、
その判決理由が、
「雇用主は、
労働者の有休申請を拒否出来ないが、
有休の日程を変更する権利を持っている」
という謎の理論である。
もちろん、
法律の条文には無い権利を、
経営側だけに、一方的に認めている。
でも、
この、あまりにも酷いクソ判決理由に、
勝訴した経営者がビビり、
敗訴した労働者と和解して、
再雇用する結果となった。
話を戻すと。
では、
その課長が、
具体的には、どんな事を言ったのか?
と言うと。
「経営者の本籍地が調べられないので、
近日中に、
経営者の出身地まで出張して、
見つけて来るしかない」
これを聞いた幹部は、
(はぁ?
何の事だぁ?
国なのに本籍地さえも調べられないなんて!
たったそれだけの事で、
いちいち出張していたら、
話が全然進まないじゃないか!
適当な事を言って、
ゴマかすつもりか?)
と、
たぶん感じていた様だ。
「昨日も労基署へ行った」
と幹部が言っていたので、
もしかしたら、
課長の前で口に出してしまったのかも知れない。