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【夜逃げ】した経営者は、こんな人

 「△△が逃げた」

の△△は、

経営者の偽名だったのだけれど、

何故?

偽名を使っていたのか?

と、

言うと。


 △△は、

元々は、

塾が在った地方とは別の県で商売をしていた。


 調子に乗って、イベントを開催したのだが。

当時の人なら誰でも知っている大物ミュージシャンを呼んだのにもかかわらず、

コケ、

倒産してしまった。

これから想像すると、

コロナウィルス対策の大型イベント自粛は、

一発で、

中小零細企業を殺す威力を持っているのかも知れない。


 家業を潰してしまった△△は、

死ぬために、

自殺で有名な他県の観光地に向かった。

「感染症対策は自殺者を増やすのではないか?」

と、

よく言われているが、

この事例は、

その主張にピッタリ合っている。


 死を覚悟した△△は、

人生の最期の旅に、

愛人を連れて行った。

そして、

いざ死のうとしたら、

その愛人は、

自殺を止めるどころか、

「一緒に死んであげる」

と、

言ってくれたのだそうだ。


 「一緒に死んであげる」

これを聞いた△△は、

その一言で復活した。


 「一緒に死んであげる」


 これよりも勇気を与てくれえる言葉を、

私は知らない。

残念ながら、

一度も言われた事が無いが。


 復活した△△は、

その観光地が在る県の県庁所在地で、塾の電話勧誘員になった。

当時は、

個人情報保護の観点が無かったので、

電話帳に、

ほとんど全ての家庭の電話番号が掲載されており、

塾以外の業種でも、

徹底した電話勧誘が行われていた。

逆に、

『その電話勧誘が、

あまりにも迷惑だったので、

個人情報保護が浸透した』

と言っても良い。


 さて、

塾の電話勧誘員になった△△は、

受験生を持つ親を説得する武器を持っていた。

『△△自身の息子が、

T大に合格した』という実績が。

しかも、

『その地域の高校で、

史上初のT大合格者』

というプレミアム付き。


 その抜群の説得力に目を付けた△△は、

独立起業し、塾の経営者となった。

ただし、

過去が有る逃亡者なので偽名を使い、

塾の建物の賃貸契約とか、生徒の入塾契約とか、

書類上の契約者は、全て愛人。

もちろん、社長も。


 その後、

順調に生徒数を伸ばし、

教室数を拡大した。

ちなみに、

「労基署に圧力をかけるから応援に来てくれ」

と私に電話して来た幹部は、

△△が、

塾の電話勧誘員時代に御世話になった先輩が失業したので、

この時に迎え入れたものらしい。


 では、

何故?

△△は、

その塾さえも失ってしまったのか?


 その答は、

「本物のT大生を使ってしまったから」


 △△は、

【自由主義経済】を理解していなかった。

百円の物を百円で売るのは【共産主義経済】であり、

百円の物を、

千円で売っても良いし

一万円で売っても良いのが、

【自由主義経済】のメリットなのだ。

もちろん、

恩恵を受けるのは資本家だけで、

労働者は、

その分、労働時間が長くなる。


 『息子のT大合格』を自慢していた△△は、

熱心なT大教の信者だった。

それで生徒を集めるのには成功したが、

偽物を使って経費を抑えようとはせず、

本物にこだわった。

T大教信仰は、

諸刃の剣だった様だ。


 しかも、

頼りの本物のT大生が。


 昔のT大は、

男子校みたいなもので、

極端に女子が少なかった。

私は高校からだったけど、

中学から男子校という人が、

多いんだよね。

そんな飢えた男が、

T大生だからという理由だけで、

地方の女子高生達からチヤホヤされちゃうと。


 どんな問題を起こしたか?

解るよね。


 でも、

最後のとどめを刺したのは、

前述の幹部である。

彼の体験談を聞いた人達が、

△△が【夜逃げ】する様に仕組んだ。

全ては、

労基署へ行くために、

誘導された。



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