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③ 未練(みれん)

「先輩、どうして僕と付き合ってくれないんですか?こんなにも先輩のことが好きなのに。」

「え〜、何回も断ってるじゃんか〜。君のことは好きだけど、付き合う、って今の関係のそう変わらないから意味ないって。」

「そ、そんなことないですよ!ほ、ほら、付き合ったらもっと楽しい日々が過ごせますよ!」

「ならあなたはちゃんと授業に出なさい。私はもう卒業だから大丈夫だけど、あなたは来年受験でしょ?」

「ーーっ。先輩、痛いところついてきますね。」

「当たり前です。あっ、ならこうしましょ。大学受験、合格したら付き合ってあげる。」

「本当ですか!先輩!……って、来年には先輩もういないじゃないですか……。無理です、先輩がいないなら頑張れません。」

「頑張って。私は先に行って待ってるからね。」



僕は先輩のことが見えている。

先輩は僕のことが見えている。


先輩と出会ったのは今話している場所、学校の一番奥の教室。今はもう使われていない、元文芸部部室。

僕が学校で1番落ち着く場所はどこだろうかと探している時に見つけた。その時は先輩はいなかった。先輩が現れたのはその教室を使い始めて1ヶ月が経った頃。

初めは普通の人間に見えた。なぜなら、普通にドアを開けてやってきたから。先輩は誰もいないことを確かめてから1番前の席に座った。いや、僕いたんだけどね、本当だよ。先輩は、まるで、僕にその存在を気づかれてないみたいな振る舞いをしていたのだ。だから、僕から話しかけに行った。

先輩はすごく驚いていた。

「え?私の事見えるの?」的な感じ。

「見えるよ、当たり前じゃん。人間じゃん。」僕は当たり前のように答えた。

「えぇー、いや言いにくいんだけどね……私幽霊なんだよね……」

彼女は俯きながらそう答えた。

僕は一瞬固まったけどすぐに答えた。

「僕、嘘つく人嫌いです。つまらないですよ。」

僕は真面目な顔でそう言った。そりゃそうだ。幽霊って言われて信じる方がやばいってもんだ。

「そっかぁ……ならどうすれば信じてくれる?」

彼女はすこし困った顔をしながら聞いてきた。

幽霊……おばけ……透明……僕は適当に連想しながら考えた。

「なら……壁をすり抜けたり、出来ますか?」

幽霊ならこれぐらいできても普通だろう。うん。

「分かったわよ、あんまりやりたくないんだから特別だよ?ちょっと気持ち悪くなるんだから……」

壁すり抜けって気持ち悪くなるんだ……知らなかった……

そして彼女は僕の目の前で壁をすり抜けて見せた。

確かに壁はすり抜けていたけど、さほど驚かなかった。本当の恐怖を目の当たりにすると人は何にもできないんだな……そう思ったくらい。

「はー……。わかりました、信じます。」

そうして僕は彼女、いや、先輩と友達、この時点では顔見知りになった。



先輩との日々は楽しかった。

時には授業をサボってまで先輩に会いに行った。

そして僕は先輩に恋をした。……いや、恋に気づくのが遅かっただけでもっと昔から好きだったのかもしれない。

初めての告白は、自然な会話の流れで。

「先輩、僕、先輩のこと好きですよ。」的な。

告白した回数2桁は超えてるから記憶曖昧でごめん。

その度に先輩は笑顔でこう言うのだ。

「君のことは好きだけど、付き合えないよ。」と。

先輩の口から聞く、好き、と先輩の笑顔を見るために告白してるって思われたかもしれないけどはっきり言うとそうだ。聞くたび、見るたびに、幸せな気持ちになる。

だからこそ、先輩がそろそろ卒業してしまうことに焦りと不安を感じてしまう。

自分の、普段授業を受けている教室に居場所がはなかった僕が唯一居場所と言っていい場所を見つけたから。期間限定、だと分かっていても受け入れたくない、手放したくないと思うのは普通のことだと思う。誰だって、今が変わらなければいいのに、と思ったことがあるはずだ。だから僕は勉強を頑張るつもりでいた。先輩と一緒にいたい、ただそう思って。





彼には申し訳ないことをしたと思っている。私はこの学校から離れられない地縛霊なのだから。私の未練は、みんなを幸せにできなかったこと。

私は元生徒会長。みんなのために頑張ろうと、必死で活動した。結果は現状維持。見えたものは上辺だけ。「みんな」は見えなかった。だから、残った。少しでも幸せにしたいと思ったから。

ただ……

彼は特に幸せにしてあげるべきだと思った。

なぜなら、

彼もまた、

私と同じ存在、

そう、

幽霊だから。

すいません、かなり内容が薄いというか、たりてない所が多いです。

彼の未練は想像におまかせします。ひとつの答えを出すなら青春、辺りでしょうか。

彼女がなぜ……というところもご想像にお任せします。あまり具体的な描写をしたくなかったです。

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