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夏休みだけの仲間  作者: 戸田まひる
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1か月後は闇


「この教室から見る海はもう最後なのか」僕は云う。

和は高校3年生男子。

「お前な、そんな事わかってんだよ……」岬は云う。

岬は高校2年生男子。

「私は好きだよこの景色。綺麗だからね」茜は云う。

茜は高校3年生女子。

「私だって好きだもん!みんな事が……」誠は云う。

誠は高校2年生女子。

「俺たちってさ、その後どうなるんだろ」慎は云う。

慎は高校3年生男子。

 合宿学校。響きだけはなんとなく楽しそうだ……。


 海が見えるこの学校は、来月廃校になると聞いた。

 夏にしかその学校は活動しておらず、合宿用として使われていた。僕からすれば思い出の場所。市内からは車で6時間。小学1年生の頃から夏休みにはその学校を通い、全国各地から集まる人達と友達になり、楽しい日々を過ごす。そして今やもう高校3年生になった。その夏休み合宿とは何を学ぶのか、どのような人材が必要とされ、そこに集結するのか。

 今から15年前のことだ。日本に、いや政府宛に1通のメールが届く。


 日本を15年後に頂く。そうして世界は日本の敵となり、見方がいなくなる。


 一部、公開されているメールの内容はそういったものだった。

 恐らく重要な部分というものは公開はされず政府が知っている。それに恐れ、脅え、怖がり、立ち上がれなく、手を打つ事も出来ず、若者に託す他なかった。と、いう事だ。

 僕達が学ぶ事は沢山ある。人工知能の開発、兵器の開発、遺伝子操作、主にこの3つ。

 この学校内だけの事だが、メールの一部が公開される。


 時間を与えよう、15年だ。15年の間、選ばれし学生にだけ特別な夏を与えろ。そうして我々からの攻撃を阻止して見せろ。




 5年前から新入生を集めなくなったこの合宿学校。

 ランク付けがされるようになって、もう5年。

 全校生徒50人の内5人が選ばれた。

 その5人の内の1人が僕だ。

 5年前にテストがあった。そこで優秀な生徒だけがある部屋に集められ、政府から作戦を伝えられた。

『生き残れるのは5人だけだ』

 と。それを聞いた僕は理解が出来なかった。作戦でもなければ、優秀な生徒への贈り物という訳でもなく、それはメールの一文。最後の一文、だそうだ。


 そうして今日、合宿当日、始業式という訳だ。始業式には政府関係者が勢揃いしており、堅苦しい中で行われる。

「それでは、総理」

「あぁ、話そう。皆、久しぶりだな。1年ぶりの再会だ。この50人のメンバーが出来てからもう5年も経った。その内45人はサポート、残り5人には日本の命を掛けてある。メールが届き、もう15年目だ。今年が攻撃を受ける年だ。そうして攻撃を受けるのは来月だという事……」

 辺りはざわつき始める。皆、覚悟を決め、今まで生きてきた。それなのに攻撃を受けるのが来月とわかった時点で急に鳥肌が立ったのだろう。けれど僕達5人はそのことも知らされていた。

 3年前の合宿学校に来た時に集会が開かれた。僕達5人と政府関係者達とで。その内容は新たに届いたメールの内容についてだった。



 お久しぶりです。日本への攻撃は3年後の夏の終わり、日暮れに行います。日本はそのまま闇へと落ちる。良い思い出をつくりたまえ。



 今度のメールはこれが全文だと言う。このメールは日本に住む者達には公開されなかった。恐らくは混乱を防ぐためだろう。そうしてその日に新たなる事を僕達5人は知る事となる。それは1通目のメールの内容、そう全文だ。


 日本は闇に堕ちる。


 僕達はメールの全文を読み、理解した。日本は闇に堕ちる。そうして勝ち目など無いことを。必ず訪れる。太陽が見れない日本が、緑が消えゆく様、人が次々に死んでゆく光景。


 勝ち目など無いことをそのメールからして理解した。

 けれど最後の夏休みだ。毎年通り5人で楽しもうじゃないか。

 そうして8月下旬には皆しんでしまう。保証されているのは、僕達5人が生き延びることが出来るという事。


「この教室から見る海はもう最後なのか」僕は云う。

「お前な、そんな事わかってんだよ……」岬は云う。

「私は好きだよこの景色。綺麗だからね」茜は云う。

「私だって好きだもん!みんな事が……」誠は云う。

「俺たちってさ、その後どうなるんだろ」慎は云う。


 日本が闇に沈んだ後、僕達5人はどうして生きていけば、どうやって、何をすればいいのか、わからない。何もわからないけど、残り1ヶ月、今までより濃い日々を過ごしたい。皆そう思っているだろう。

 部活動の様な小さな教室に5人。其処からは、大きく、広く、何処までも続く水平線。空は青く、海は蒼く、上には大きく明るい太陽があり、僕達5人の影は教室から入る光によって、床に濃く写し出される。

「僕さ、夢を見たんだよ昨日。ここまで来る夜行バスの中で」

「何見たの?和君」

「その後の日本だよ……」

「何がその後だお前……ほら、茜もそんな話に乗っかんじゃねーよ」

「茜も岬も、喧嘩はよくないよおおっ皆っ!」

「まぁまぁ落ち着けや誠、可愛い顔が台無しだぞ」

「ごめんごめん、その後の日本だなんて話をして。そろそろ会議、始めよっか皆!」


 そうして残り1ヶ月は始まる。


 残日数参拾日。

好評なら続きを書きたいなっ!

あ、お腹空いた……チ───(´-ω-`)───ン

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