表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラス転移はts付きで  作者: lime
第二章、学園編(二)
49/77

四十六話~秩序神ほど混沌な物はない~

「おいおい、余所見とは良い度胸じゃねぇか!」


 ラムとの会話に集中し過ぎたみたいで、おっさんに殴られかけた。まあ、戦闘技能のお陰で怪我はしなかったんだけどね。


「ほうっ、この俺の拳を防ぐとはなぁ、だがっ! 俺が何十年と掛けて作った技をお前のような下衆な小娘に防げるとでもっ!」

「やれやれ~! 嬢ちゃんを苛めた罰だ!」


 どうやら、ここにいた人達はコウタを正義だと思っているのか、完全にボクが悪役扱いだった。……コウタの正体をまだ知らないのかな?


「はあ、じゃあ、手始めに、大炎球ビッグファイアーボール


 ボクが大炎球と唱えると、ボクの手の周りに半径四十cm近くの炎の球が一つ生成された。


「はっ! 防御はすごかったが攻撃はお粗末だなぁ! 中級魔法一つなん、て?」


 おっさんがボクの出した一つの炎の球を見て笑い出した。勿論、ボクがと言うよりは、戦闘技能(ラム)がそんな生易しいことをするわけがなく、同じ様な球を更に数十個の炎の球を生成した。ああ、因みにさっき唱えた事はただのハッタリだからね? 相手を怯ませるために言ってるだけだし。


「(君の目は節穴なのかなぁ? この数の何処が一つに見えるって言うんだい?)」


 ……どうやら放置された腹いせに、ラムが確実に性格が悪くなってるね。ボクの方が性格が悪いのに、ボクと全く同じことを言っちゃって、ボクは悲しいよぉ。


「チッ、おい! 流石にこの数は俺だけじゃ対処できねぇ! だから自分の身は自分達で守れよ!」

「はっ! 可愛い女の子を傷つけるような下衆の魔法で死ぬかよ!」


 流石に二、三十個程の炎の球は対処できないようで、辺りの野次に注意を飛ばしていた。そして野次の人達も女の子を傷付ける下衆、と言う勘違いをボクにして団結していた。

 ……あと、ボクはコウタを精神的に傷付けたけど、コウタもボクを精神的に傷付けたし、それにおっさんは集団で女の子(ボク)を物理的に傷付けようとして居るじゃん。一番悪いのは現状でおっさん達なんだけど? それともなにか? ボクは女じゃないと?


「ボクも女だぁ!」


 ボクが自分の性別について叫ぶと、それと同時にラムが周りに浮かばせていた炎球をおっさんとおっさんの店に放った。炎球はラムの意思で動いてるので、ボクの意思は全く反応されない。だからおっさんに十、店に十五、後は野次にっていう分け方はボクのせいではないよ。

 全く、これの何処が秩序と審議の神なんだか。そこらにいる賊と相違ないんじゃないのかな?


(全ての元凶は君だよ? そもそも僕を放置しなければこんなに怒ってなかったし、そもそも店と喧嘩しなければ、こんな状況にはなってなかったんだよ? ふざけるのもいい加減にしたら?)


 き、聞かなかったことにするね! あと、黙秘権を行使してボクは何も言わないでおくよ! 下手した殺されそうだしね!


「なっ! 店を狙うとはっ! 卑怯なっ!」

「な、何が卑怯なんだよ~、別に戦っているうちに店に火が移る事だって有るだろうに」


 ボクが出した声は凄く震えていた。勿論、おっさんに睨まれて震えているのではなく、内側に居るラムによる威圧で震えていた。ただ、ボクはこう言わないと死んでしまうような気がしたからね。


「お前らぁ! 出来る限り店の火を消せ! このままじゃ俺も店がなくなっちまう!」

「分かってるっつーの! 水りゅ(ウォーターカーレンt)、って今度は呪術か!」


 どうやら店に移った炎を消そうとするのを周りの人に頼んでいたが、ラムがそんなことを認めるわけが無く、魔法の様な何かで野次に人たちの動きを止めていた。


「ぐっ! だが、あれは魔法だから術者を気絶させれっ!」

「何処にそんな余裕があるのかなぁ?」


 どうやらボクの言葉に合わせていたラムが、ついに面倒臭くなったのか、どんどんと魔法を打ち込んでいた。もう、ボクが居る意味無いんじゃないのかな? 今なら、自分の神法で自殺出来るよね。


「ぐっ! ここまでなのか!」


 カキンッ


 おっさんのもとになんか良く分かんない二重螺旋構造の光が届きそうになったとき、急におっさんが結界に包まれた。


「はあ、何で混沌の神の私が秩序の神を止めているんだ」


 そして次に現れたのは頭を抱えている、翼を生やした中性的な顔付きをした人だった。


「はあ、私がアルスだ、……は、半透明の液晶の編集者だ! これで分かるでしょ!」

「(あ)」


 どうやらその人はとても影の薄い、液晶の人だった。

 と言っても相手はこの星を安定させてきた混沌神だ。……矛盾してる様な気がするけどちゃんと有ってる。


「ちょっと説教するから着いてきて!」


 そう聞いた瞬間、ボクは意識を失った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ