四十四話~男気が有る程モテない訳がない~
寝坊してしまいました!
「ライムー、何処か行きたい所とかない?」
ボク達が学校の敷地から出た途端、カシモトがいきなりボクに問いかけてきた。
意味が分からないよね、現状、カシモトは男で、ボクは女なんだからエスコートするべきなのにね。
「んー、じゃあねぇ、向こうに有るカフェに美味しいケーキが有るらしいよ」
まあ、こんなことを言っているのには理由があって、別にカシモトが優柔不断なわけではない。
カシモトは生粋の辛い物好きだ。だからカシモトのお勧めの店に行くと甘いものは食べれずに、最終的にはボクが涙目になってる様な状態になってしまうからなんだけど。……雰囲気ってものがあるよね? せめて一瞬でもいいからエスコートしてもらいたかったんだけど。
「じゃあ、そこに行こうか、着いていくから先進んでって」
そんな事をカシモトに対して思っていても、カシモトは全く気づかずに更にはボクがエスコートする様な状態になっていた。ま、まあ、ボクは地球の頃、男だったけど、男だったんだけど! 今は女の感情の方が割合が多くなってるんだよ!
「ら、ライム? どうしたの? 親の仇を見るような目で私を睨んでるけど?」
「ん、ごめん」
こう言う感じの人の事を鈍感と言うんだったっけ? カシモトの場合はイケメンで成績優秀の勇者様ときた。鈍感系主人公的なポジションなのかな? そしてボクが第一のハーレム用員的な。
「はあ、これで良いのかな? まあ、性別的にはあってるんだけどさ? 会ってるけどね? 周りから見たら変な感じになるでしょ? 小さめの女の子がイケメンをエスコートしてるって」
「ん? なんかいった?」
普段話している声で、今の現状への疑問をだすと、何故かカシモトは聞き取れなかったみたいだった。……絵に書いたような鈍感だよね、これって。
~~シンノスケ&レティシアside~~
「レティシアさん、ちょっとライムを着けていかない?」
「はあ、生憎、私はゴシップ等には興味がないのよ」
ライムとカシモトの今の現状が衝撃的な事に気付いた後、少し経ち、俺は近くで俺の顔を覗いていたレティシアに提案をした。
「いや、今の現状を知るって言うのもあるけど、ライムの彼氏の本性を見に行こうかと思って」
「た、確かに、あのライムと付き合う様なへんj……殿方は珍しいから見てみたい気はするけれど」
どうやら、ゴシップには興味がないと自称していたが、性格が最高に悪いライムの彼氏に興味をもったらしく、少しは着いていく気になっていた。まあ、俺の目的は友達が爛れた関係をしていないかの調査なんだけどな。
「それじゃあ行くか!」
「ちょ、ちょっと! 待ちなさい! 廊下を走るなんて淑女としてどうかと思うわぁぁ!」
俺はレティシアが否定する前に手を引っ張りながら寮内を走った。勿論、貴族っぽそうだったレティシアは文句を言っていたが、俺が走るのをやめるわけがない、面白そうな展開になりそうだからな!
「はあ、はあ、あ、貴方って人は! 貴女も充分性格が悪いじゃないの! なんで急に走り出すのよ!」
「はあ、別に良いだろ、結局あいつらの痴態が見られるんだから」
俺たちは今、男子寮の近くの草むらに身を潜めていた。ただ、レティシアが騒いでいるからこのままだとばれる。全く、馬鹿じゃないのか?
ドンッ
「はっ、はぁぁ!? 何してるのよ! ま、まさかここで私を襲う気!?」
「一度黙れ、ライム達に気付かれるだろ」
レティシアを落ち着かせるために、一度押し倒すと、更に騒がしくなった。ただ、俺が有無を言わさないように言うと、レティシアは黙りこんだ。
「そ、その、最初は室内でしてほしいわ」
レティシアはいきなりそう言った。レティシアは目を潤ませ、そして頬を赤らめながら俺を見ていた。……どうしよう、惚れさせてしまったぁぁ!




