三十一話~王族程最強な物はない~
前回、連続投稿は絶対に無理と言ったな。
あれは嘘だ。
……はい、まあ、不定期だからずっと連続でって言うのは無理だけど、出来るときは連続で投稿をしますね。
カシモトの目隠しを外すと、すぐさまカシモトはボクの方を向き、そして、 驚きに顔を染めた。……忘れてた、翼を仕舞っておけばよかったね。
「な、何でライムに翼が生えてるの!? なんで!? しかもここ何処!? なんで私たちは穴の中にいるの!? その金属製の翼で飛ぼうとしたの!?」
「お、落ち着いて、ここは学園だからね、それでこの羽は技だからね」
ボクが羽を仕舞うと、流石に落ち着いたのか、「ここには私たち以外誰もいない! つまりは、ライムを襲ってもばれない!」とかほざきだしているので、大丈夫だろう、……逆にボクが危ないよ。
「おーい、そこの二人ー! 大丈夫かー!」
流石にボクが放った聖槍は見られていたらしく、沢山の先生方が来てくれた。まあ、ボクからしたら来てくれない方が良かったんだけどね。
「大丈夫ですよー! あ、一応上にあげて貰えれば嬉しいです!」
「分かった! じゃあ、魔法を描けるから、体制を崩すなよ! 浮遊!」
先生の一人が、ボク達を浮かせる魔法を使っていた。ただ、それよりも一番驚いたのは、先生が厨二発言をしていなかったことだ。
(あれは、無詠唱って言う高度な技だよ。それよりも、これからこの星で暮らすんだから、これくらいの知識はないと不味いよ?)
(うるさいなぁ! ボクはこの星に来たばかりなんだから、別に知らなくたっていいじゃん!)
ボクがラムの小言に抗議すると、心の奥でため息を吐かれたような気がした。て言うか本当にボクたちって同じ人から出来てるの? 全然性格が違うんだけど。
「少し事情を聴くから、ちょっとついてきてくれ」
ラムがボクに対してのため息を吐きまくっていると、ボクとカシモトを浮かせた人が、ボク達に話し掛けてきた。ただ、実際、帝国のスパイの疑惑が有るだけの人を殺しただけなので、このまま事情聴取になると、良くて牢獄、悪くて死亡の道しかない。まあ、嘘をつけばいいのだが、相手にカシモトの嘘つきの眼様な能力を持っている人が居ると、嘘がつけなくなるので、少し怖い。
(で、どうするの? 君が死ぬと僕も死んじゃうんだけど?)
(うぅ~、ボクだっていい案が欲しいんだよ)
ボク達の他人任せと言う性格が、一番出て欲しくないときに出てしまった。三人寄れば文殊の知恵とか言っているけど、座右の銘が他力本願な二人がいても何もならなかったようだ。……逃亡しようかな?
「その必要はありません」
「お、王女殿下!? ここにきてはなりません! 何があるのか分からないのですよ!」
他力本願のボク達が、文句を言い合っていると、フェルさんと忍者……影華さんが来た。なんで今来たんだろうね?
(はあ、やっぱり君は君だね、いつも影華さんに監視されてたじゃないか、本気で気づいてなかったの?)
どうやら、ボクはいつも影華さんに監視されていたそうで、ボクは全く気付かなかった。ただ、ラムは気づいていたらしく、ボクに小言を言いながら貶して来た。……なんでこんなにボクを貶してくるんだろうね? 元々がボクとは到底思えないよ。
(て言うか、それだったら、最初っから捕まることはないよね?)
(うん)
どうやら、捕まえられないということを最初から予想していたらしく、ボクの質問に対して、あっけからんと答えた。じゃあなんで、「どうするの?」とか聞いて来たのさ?
(いや、君を見ていると、なぜか弄りたい、という感情が出てきたから、弄っただけだよ? やっぱり君って本当にマゾだよね)
(はあ!? なんでボクが君の中でマゾヒスト認定されちゃってるの!? ボクはいたって普通だよ! そういう特殊性癖は持ってないから!)
ボクが意味不明なことを言い出した事に反論をすると、ラムは「はあ、更には自覚なしと来たか、いくら天然だからってやりすぎでしょ」とか言い出してきた。 そもそも、ボクがマゾだったら、たぶんラムもマゾだと思うけどね。
「この娘は、学園に潜んでいた帝国のスパイを殺しただけだから何も問題はないわ。だからね、これは王族の権限として、これ以上関わらないでほしいわ、もし関わったのなら、分かるわね?」
「「は、はい! 分かりました!」」
教師たちは、フェルさんの王族の権限? と言うものでこれ以上、この件を関わらないようにしたのかな? その王族の権限を使ったから、今は学生への対応ではなく、王族への対応をしているようで全員が跪き、フェルさんからはいつもの、少しほんわかしている雰囲気ではなく、しっかりと責任をもって行動している王族の姿だった。
「ライムは今日の授業は受けずに寮へ行きなさい。ああ、今回の件は箝口令を敷くから、もし口にでもしたら、牢獄送りだから気を付けて」
そう言い、フェルさんはどこかへ行ってしまった。
この後、ボクは寮に戻り退屈な一日を過ごした。




