二十三話~同室の人程話しづらい物はない~
夕方になり、やっとベット周りが綺麗になった。
因みに、ボクの同居人の人は既に帰ってきている、名前はレティシア、銀髪の高慢なお嬢様で、部屋に入ってきた時に、「あんたがあの婆に報告するから私が叱られちゃったじゃない!」と言って来た。
なんでこの人は初対面の人にこんな高圧的に話しかけられるんだろう? それだけが謎だ。
高慢な事は貴族が通っている学校と言う事で予想はしていたから、あまり驚きはしなかったけど、コミュ力やばいね。
「あんた、名前はなんていうの?」
「ら、ライムですけど……」
きゅ、急に話しかけてこないでくださいよぉ、驚くし、あと、ボクは早くパンフレットを見ないといけないんだよぉ。
「何で私が話しかけているのに、こんな雰囲気になるのよ!」
「いや、その、ぼ、ボクはこの紙を読まないといけないんで、静かにしてもらえると嬉しいんですけど?」
ボクがそういうと、部屋の雰囲気が滅茶苦茶悪くなった。
怒りのせいか、それとも呆れか、若しくは傍観しようとしているのか、静かになった。幸い、今のところは何もして来ないので、集中して読めるが、急に暴走しだすかもしれないから早く読まないとね。
ふんふん、学科は八個あって、
主に地理的なものを習う、地学科。
主に科学的なものを習う、化学科。
主に会計的なものを習う、会計科。
主に魔法の戦略の事を習う、魔法戦略科
主に魔法以外の戦略を習う、戦略科
主に魔法の開発などを習う、魔法科
主に魔法以外の戦闘を習う、戦士科
主に領地経営等の事を習う、帝王学科
だ、ボク達はこの中で三つ以上選ばないといけないらしい。
ボクが受けるとするなら、魔法戦略科、魔法科、帝王学科は取っても意味がないから除外で、会計科は前世で数学をやっているから大丈夫だと思うから、残りは地学、化学、戦略、戦士科の四つだけど、どうせなら全部取ろうかな、別に四つ授業を取ったらいけない、なんてルールは書かれてないしね。
よし、じゃあ、ハイドリヒさんの所に報告しに行こうかな、……レティシアさんに話しかけられる前に。
「ちょっと、何処に行くの!」
「え? ちょ、ちょっと、ハイドリヒさんに報告しに行こうかと思って」
ひぃ、な、なんでこんなに関わりのない人の体を触れるんだ! 待って、本当に離れて! 冷や汗がやばいからぁ! せ、精神的に辛いんだよぉ!
「そう、報告が終わったら一回この部屋に戻ってきて」
いや、ボクにも予定という物が有ってですね、シンノスケの部屋の位置とかを教えてもらいたいんですよ、だから、またこの部屋に来いっていうのは人としてどうかと思うよ、ボクは。まあ、それが言えたら苦労はしないんだけどね。
「は、はい」
「なら良いわ」
な、なんだろう、帰ってきたら何されるんだろう、相手は貴族だからボクに対して何かしてくるのかな? 本当に危なくなったら本気を出すしかないくなるけど、大丈夫かなぁ?
「ハイドリヒさん、出来ましたよ」
ハイドリヒさんはボクが来たことに驚いているようで、顔にマジで! と書いているような表情になった。
「早いねぇ、こう言うのって、大抵、最後の最後まで悩んで決めるから、今日の終わり位に営収する人ばっかだと思ってたけど、やっぱり早めに出す人もいるんだねぇ、えっと、地学、化学、戦略、戦士科ね、魔法は使わないんだ」
「その、使えるかわからないので」
「別にそれが普通なんだよ? だから最初に魔法が使えるかを見て、続行するかを決めるからね、だから授業を受けてみたら? まあ、五つ取るのはかなり大変だけど」
魔法は別に適正職業が無くても使えるのか、て言うか、適正職業持ちの人の方が少ないんだから当たり前だったね。とは言え、魔法かぁ。戦闘技能が有るから受けてみてもいいんだけど、多分書物に魔法の事は乗っていると思うから、受けなくて良いか。無くてもシンノスケとかに教えてもらえば良いだけだしね。
「やっぱり、魔法の授業を受けるのは止めときます、そこら辺の本に書かれてるかもしれないので」
「まあ、有るだろうけど、見つけるのはかなり大変なんじゃないの? まあ、全学科の教科書は配布されてるから、それを見ればできると思うけど、……まあ、自分でそう決めたのならいいよ」
「じゃあ、それでお願いします、あと、シンノスケ部屋の番号って分かりますか?」
「ああ、一緒に来たあの娘? あの娘なら四八七号室に居るよ」
四八七、四八七、と、結構番号的には遠いね、まあ、分かったから行くしかないけど、はあ、レティシアさんは何故ボクに、もう一回部屋に来いって言ったんだろう? やっぱりボコられるのかな? 多分ボコられてもうんともすんともしないだろうけど。
はあ、いやだなぁ。




