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受付嬢は思うがまま  作者: 栢
2/3

受付嬢曰く「たまにくるめんどくさい新規登録者」の話

このシリーズは個人的に書きやすいです・・汗

「おおー、ここが王都のギルドかー。」


 こっからやっと俺の異世界生活の本番だなー。神様が間違って殺しちゃったーなんて言ってきたときはどうしてやろうかと思ったけど結果的にはけっこういい能力ももらったし(お詫びということで)、万々歳ってとこかな?どうせあっちの世界にいたってただモブとして人生終わっただけだろうし。

 最初に出会ったご老人・・、じいちゃんはめっちゃいい人で何もわからない俺にこの世界のことをいろいろ教えてくれた。魔物がいるらしいので戦い方なんかもばっちり教えてもらってほんとありがとうじいちゃんって感じ。正直居心地最高だったからあのままずっとお世話になっていたかったけど、異世界にきてニート生活ってのも気が引けたし・・、ぶっちゃけ冒険者ギルドってきいたときに「おお!!」って思った笑

 そこらへんの魔物も一撃で倒せるし、いよいよ俺の異世界チートきたのかな?って思ってつい来ちゃった☆


「やっぱ王都ってだけあってすごいなー。テンション上がるわ笑」


 ギルドの前で初めての王都にテンションが上がってしばらくにやにやしていると、道行く人たちに不審そうに見られた。・・この人たちとものちのち仲良くなりたい。

 でも初めてのギルドって、あれじゃん?冒険者登録しようとしたら絡まれるってのがテンプレじゃん?だから若干ビビッてなんとなくギルドに入るのをためらってしまう。


「いや、大丈夫・・・、そこはさらっとかわすものだし・・・、よし」


 ガチャ、


「お、おぉー・・・」


 すげえ・・・、ほんとに冒険者ギルドだ・・・。ものすごい活気に思わず呆然としてしまった。昼間っから酒を飲みかわす男たち、格好も人それぞれで、みんな腰から剣とか杖とか下げてるし、うわ!あの女の子めっちゃでかい剣しょってるよ・・・。


「とりあえず受付いこ・・。」


 まわりの様子を眺めながら列に並んでいるとあっというまに俺の番がやってきた。


「次の方どうぞ。」


「・・・。」


「次の方どうぞ。」


「・・・。」


「とばしてお次の方どうぞ。」


「・・っあ!ちょっと待って!ごめんなさ、」


 ぼんやりしていたせいで反応がおくれてしまい慌てて返事をする。てか、めっちゃ受付嬢可愛い・・。受付嬢ってやっぱり可愛いものなの!?落ち着いた雰囲気から年上の様に思ったが、顔をよく見ると案外幼くて可愛い。固まった俺を見て微かに首をかしげるとポニーテールにしてある赤ピンクの髪がさらりと揺れた。

 う、うわあ・・・。めっちゃめんどくさそうな顔してるけどそれでも可愛い・・。


「チッ、とばしてお次の方どうぞ。」


「ああ!ごめんなさいごめんなさい!!冒険者登録したいんですけど!!」


舌打ちされた・・。ツンデレ系受付嬢?


「冒険者登録ですね。かしこまりました。何か身分を証明するものはお持ちですか?」


 相変わらずめんどくさそうな顔ではあるが、しょうがねえ仕事だからなって感じで対応してくれる。虫けらをみるような目で見られてるのになんかドキドキする・・。俺、もしかしてドMだったのか!?


「いや、もってないです。」


「そうですか、では冒険者登録をしましたら発行されますギルドカードが身分証明書になります。」


「わかりました。」


「こちらに氏名、年齢、種族をご記入ください。代筆はご希望されますか?」


「いや、大丈夫です。」


 紙と羽ペンみたいなものを渡されて書き始める。インク使うの難しいんだよなー。こっちの文字は神様がなんとかしてくれたのか読めるし話せるし書けるので助かった。一から全部覚えてくださいとか言われたらどうしようかと思ったよ・・。

 

「えーっと、」


 『名前』畑中 大志、いや、タイシ ハタナカのがいいか・・。『年齢』は17歳、『種族』って普通に人間でいいのかな?



「おいおいみろよ。あんなガキが冒険者登録するみたいだぞ。このギルドも堕ちたもんだなあ。」


「あー?ほんとかよ、ガキは帰ってミルクでも飲んでろってんだよ。」


 うわ、ほんとに来た・・・。覚悟はしていたけどやっぱり冒険者ですって感じのでかい男たちに絡まれるのは怖い。


「おい聞いてんのか?てめえのこと言ってんだよ。ガキが。」


 振り返りもしない俺にじれたようによってきた男によって強引に振り向かされる。痛ッ、てかでけえ!!頑張れ俺!!受付嬢のお姉さんも見てる!!


「・・別に俺が登録しようと問題はないはずですけど。」


「はあ?舐めてんのか?お前みたいなガキが冒険者名乗ると俺らの質まで下がるんだよ。」


「それでも人が冒険者登録するのを止める権利はないと思います。それに質を下げるなんて決めつけられる筋合い、ないです。」


「あ゛あ?」


 言ってやったーーー!!どうだ俺!!

 完璧に俺の挑発に乗った男が俺の胸倉をつかみ上げる、そしてその流れで俺の後ろに目をやり・・・、固まった。


「・・?」


 つられて振り返るが受付嬢のお姉さんが相変わらずの目線でこっちを見てるだけだ。


「続きがあるのでしたらご遠慮なくどうぞ。」


「メ、メアリー、今日はお前が受付だったか、お疲れさん・・・。」


「ボブさんこそお疲れの中、初心者の教育お疲れ様です。」


「いや、ちょっと新人に飯でも奢ってやろうと思ってだな、」


「別に聞いていませんが。」


 俺に絡んでいた男、ボブさんはなぜかお姉さん、メアリーさんを確認するとうろたえ始めた。いやいや飯奢るって流れじゃなかっただろ・・。


「それで、ご記入いただけましたか?」


「え、あ、はい!」


「しばらくそちらでお待ちください。」


「分かりました・・。」


「おい!早くこっち来い!あいつの機嫌を損ねるな!」


ええー・・


「いいか、お前に教えておくがあいつ、メアリーには気を付けろ。」


「なんでですか?」


 ただの可愛い受付嬢じゃないか。


「メアリーはめんどくさいことがとにかく嫌いだ。自分の仕事が増えると相手が誰だろうと容赦なくキレる。」


「キ、キレる!?」


「・・一度俺の様に新人に絡んだAランクの冒険者がいたんだが、あのときは乱闘騒ぎにまでなってな。あの場にいたメアリーが立会人をすることになったんだ。」


「はあ。」


「戦いがかなり長引いてな・・それはよかったんだが、その結果あいつの勤務時間を15分オーバーしたんだ・・。」


「そ、それで?」


「戦いが終わって満身創痍の両者に対してメアリーは・・・・、これ以上は言わせないでくれ。」


対してなんだよ!!そこで止められると気になるだろ!!


「とにかくあの『血まみれ(ブラッディ)メアリー』の機嫌を損ねるようなことをするな。こっちにまで被害がくるんだからな・・。」


じゃあな・・・。

そういってボブさんは去っていった。え?もしかしてこれでテンプレ終わり?俺の異世界チート生活の第一歩これで終わり?


「タイシさん、タイシハタナカさん。」


「・・・。」


ギロッ、


ひいぃ!!ギルド中の人に一斉に睨まれる。


「はい!!!!」


 急いで返事をするとそれでいいとばかりに周りがうなづく。

は、はあー。納得いかないがどうもこれで俺のテンプレは終わってしまったらしい。先ほどまで可愛いと思っていた受付嬢は今やなんとなく怖い。

 ・・・これから頑張ろう。



こうして俺タイシハタナカの異世界生活は幕を開けた。・・・開けてしまったのだった。






さらっと出てきましたがの受付嬢の名前は『メアリー』です。

よろしくお願いいたします。

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