ブルーベリー
開け放った窓から時折僕に注ぐ風よ
今宵はアイスコーヒーより深煎りで
胃に染み入るけれど
風はスチームミルクのようだ
沈黙の刻を呑み込んでいる
ただ思考ばかりは饒舌で
同じ線上でしかないが
煌びやかに踊り続けている
そのまま取り零すことなく
言葉に出来たなら
救われるのだろうか
大量のブルーベリーが
僕の中からコロコロと転がり始めた
キラキラと水滴が滑り
パラダイムが崩れてゆく
僕の持つのはスプーンではなくフォークで
ほとんど掬えやしなかった
<簡素にほぼ語ることなく詩を書くことが、今の僕の理想で、空白を楽しんでいたいから、それが誰に、どのように伝わろうとも構わない。 ただ、生きていく上で対話することは必須なら、空白を埋めていく言葉を拾うことは、とても難解だ>
取り残された一粒のブルーベリー
フォークに突き刺す
口に放れば
酷く酸っぱいの一言だけが
僕の唇を震わせる