遂に異世界へ!
「御待ちしておりました、我が主」
異世界に来たら真っ先にやりたい事ランキング第1位(俺調べ)であるステータスの確認。
それをする前によく分からん奴からよく分からん事を言われた。
「じゃあ、手始めに全員で人間達のとこ突撃してきてくれる?」
面倒になった俺は作戦を伝えると、ステータスの確認作業に移…ろうとした。
「無理です御免なさい」
見事としか言えない土下座だった。
300もの魔族が一糸乱れぬ動きで一斉に土下座する様は、美しく芸術的であった。
「主の言う事が聞けないってこと?」
「申し訳ございません、流石に勝てない戦いを挑むほど血気盛んではないのです」
こういうのは美女の悪魔が沢山居るってのが理想なんだが…魔族は魔族だった。
レイスにスケルトンにミノタウロスにオーガやオークやゴブリン等々、定番の魔族は居る、居るが……ラミアもハーピーもケンタウロスも人魚もアラクネもデュラハンも居ないとは!
しかも全員男で、女のオーガやミノタウロスなど影も形も無い。
どうなってやがる駄女神!
インキュバスが居るのにサキュバスいないって喧嘩売ってんのか?
「呼ばれて飛び出てジャジャ(ry)」
「おう、どうなってんだ?コレ」
いきなりお化け屋敷でも見られないようなホラーな光景が広がってるんだが?
「見ての通り魔王軍です」
じゃあ、倒すべき人間の数は?
「人間は今1億くらいですかね?」
何故疑問形?
「もう見たくもないんで知りません」
使えねえ…っとに使えねえ。
「じゃああれだ、コイツらで総攻撃したら何人殺せる?」
「身体能力では勝ってるんですよ?ただ、人間が強くなり過ぎましてね?」
「だから、何人殺れる?」
歯切れが悪いな。
「村単位で各個撃破して行けば、十数万人は無傷で殺れます!」
たった300で十数万か、結構強いな。
「都市とかに行ったら?」
「都市一つ落とせるかどうか?」
何でだよ!
「仕方ないじゃないですか!あいつら無駄に技術力高いんですから!
村とか町程度なら魔族一体で壊滅させられても、都市とかになると結界とかバリスタとか、魔導砲台とか装備が充実している上に、魔族とタイマン張れるような凄腕の冒険者が最低でも5人はいるんですから!」
人間インフレ起こし過ぎだろ…てか、見てない割にはよく知ってるな?
「人は嫌でも物とかルールには興味があるので」
成る程成る程…で、そんな詰んでる状況で俺にどうしろと?
「だからチートあげたんじゃないですか」
すっかり忘れてた…どっかの駄女神譲りの大して使えない魔族のせいでな!
「私にも見せて下さいね?」
分かった、絶対に見せない。
どれどれ…