やっぱ、異世界転移といったら可愛いお姫様でしょ!
やっと、やっと人間に会えた…(  ̄▽ ̄)
光が収まるまで目を瞑っておく。
何度も体験しているから慣れたもんだ。
収まっても暫くは見えないから大人しくしておく。
「勇者さま…?」
ん?
「俺が異世界行ったら呼ばれたい称号ランキング」
の2位に君臨する称号を呟いてくれた君は誰かな?
言うまでも無いが、1位は「魔王様」だ。
しかし、既に魔王がいるからな。
持病の発作が起きたら、覇王に頼んでみよう。
「言葉は分かりますか…?」
…?
俺、反応してるよな?
何なら俺を呼んだ奴に
「人を呼ぶなら柔らかい敷物でも敷いとけ」
とも思ってるんだけど?
女神と言い、覇王と言い、硬い地面に人を呼ぶ趣味でもあるのかね?
そういえば、理想郷の時は柔らかい草が生えていたか。
「どうし…ましょう、言葉が分からないみたいだわ」
「異世界からの召喚ですから、言語が異なるのかもしれません。
とりあえず、王の下へお連れしましょう。
王に判断を下していただくのです。
我々ではどうしようもありません」
女の子とオッサンの会話で、俺の入る隙が無い。
俺を置いて話が進んでいく…。
今までのグダグタは何だったのかと言いたくなる。
「勇者様。
言葉も分からず不安でしょうが、こちらへ」
姫っぽい人と、近衛兵っぽい人達に、俺は言葉が分からないと判断されたらしい…。
近衛兵(仮)の一人に手で示された方向へ歩く。
姫(仮)、近衛、俺、近衛、の順番で硬い地面…ではなく、床だったらしい。
硬い床の部屋から出る。
廊下は、柔らかい敷物が敷かれている。
あの部屋にも敷いとけよ…。
しかし、何故言葉が分からないと思われたんだ?
ちゃんと心の中で反応……
って、そりゃ分からないと思われても仕方ない。
俺、話してないもんな。
「ーーーーー」
俺の喉は長らく放置されていた事に不満があったらしく、ストライキをしているらしい。
やれやれ、困った奴だ…。
折角、異世界人と会えたのに会話が出来ないとは…。
「何か仰いましたか?」
姫(仮)が振り返り、俺の目を見つめる。
(なんでもない)
俺は首を横に振る事で、気にするなと伝えた。
振った後で思い出した。
横が肯定で、縦が否定の国も有ると。
肯定と取られたら、話せないのに伝えたい事があると勘違いされてしまう。
そうなったら、俺の伝えたい事を汲み取る為に観察されるだろう。
コミュ症の俺にとって、知らない人に長いこと見られるのは苦痛でしかない。
恐る恐る反応を窺う。
「そう…ですか?何かあった…あれば、言ってくださいね?」
「姫様、得体の知れない者と関わるのは…」
「私達が呼んで、これからお願い事をする立場なのに、そんな事を言っていいの?
話せないけど、言葉は分かるみたいなのよ?」
うんうん。
頼むなら相応の態度ってもんがあるよな。
俺には何の力も無いけど。
「…分かり、ました」
ものすごく不満そうだ。
何故か俺が睨まれている。
強面の男に睨まれるのは恐いから嫌だ。
どうせならクール系のお姉さんか、後輩にジト目で見られたい。
後輩なら
「先輩は完全に完璧に(ry」
と、言ってくれれば文句無しだ。
「そんな顔をしてはいけません。
元から顔が恐いのですから、睨んだりしたら怖がらせてしまいますよ?」
姫(仮)が近衛(仮)を窘める。
先程までは少し緊張した顔だったが、俺が困っていると察したのだろうか。
俺へ向けて、微笑みを浮かべる姫様。
不安なんて掻き消えた、こんな笑顔を浮かべられる子が姫でない筈がない!
姫でなくても姫と呼ぶ!
なんなら猫◯さんと呼び、親衛隊を作るまである。
「……」
近衛のリーダー格っぽい人がションボリした。
オッサンが萎えてもな…。
やっぱ見るなら可愛い子供に限る。
俺の腹の辺りまでしかない背、毅然とした態度、如何にも姫らしい話し方、しかし時々素の言葉遣いが出てしまい、赤面しながら訂正する女の子…。
なんだ、ただの天使か。
まったく、小学生(相当の女の子)は最高だぜ!
緩やかな曲線を描く、腰の辺りまである銀髪が歩くたびに揺れる。
触らなくても分かる、柔らかい髪質だ。
ふわふわと揺れる髪に、俺の目は釘付けだ。
俺が不安で見つめていると思ったのか、時々振り返ってくれる。
その度、近衛の人達から殺気のこもった目を向けられるのは勘違いではないだろう。
俺だって、こんなに可愛い姫がいたら全力で虫を排除する。
悪い虫に限らず、益虫も排除する。
まあ、だからと言って愛でるのを止めるつもりは無いがな!
主人公は変態じゃないよ。
仮に変態だとしても、変態という名の紳士だよ!
(`・ω・´)




