≪終わりという名の始まり≫ ~ The name of the end is the beginning ~
地割れが大地を穿ち、□□□との間に亀裂が走る。
「・・・ッ!!早く飛べ!!まだ、間に合う!!」
そう言って、手を伸ばした。
だが、彼女はその走る足を止め、後ろを振り返っていた。
「どうした!?アイツ等はもう、すぐそこまで来てる!早く逃げなければ!」
「ダメ!!このままじゃ、追い付かれてしまう!レインはそのまま、走り続けて!!」
「だがッ!!そしたら、お前はッ・・・!」
お前は・・・!
「アンタにはアンタの使命があるように!私にも・・・!アンタを守る使命があるの!うんうん!使命なんかじゃなくて、血筋なんかじゃなくて、アンタを!レインを守りたい!だから!早く行って・・・ッ」
違う、違うんだ!
そんなことの為にお前を連れて来たんじゃない!!
お前と走っていたんじゃないんだ!!
守られるためじゃない!
守るために!
お前と一緒に逃げるために!
お前と一緒に生きるために!
「お願いッ!私の、大切なッ・・・!」
黒い影が彼女に迫っていた。
俺はもう、なにもッ・・・!
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雨が降っていた。
透明な雨だ。
ぬかるみに足を囚われ、思うように足を動かせない。
手の力が抜け、剣は地面に突き刺さった。
「 」
彼女の名を、舌にのせる。
冷気が身体に纏わりつき、とても苦しい。
最悪な気分だ、実に最悪で、不快だ。
何も為す事が出来ず、何もかも奪われた。
自分以外、何もかも。
結局、唯一最後まで守ろうとしていた者にも、守られた。
そして、今、一人生きている。
「こんなの、笑うしかない。クッ、クッ・・・アハ、アハハハハハハハハハ!!」
周りは物言わぬ屍と鮮やかな鮮血が雨に洗われていて、とても静かで。
俺の声だけが、とても耳障りだ。
なんなんだろう、これは。
なんなのだ、この世界は!
何故、全て奪っていくんだ!
何故、全て守れなかったんだ!
俺はもう!こんなこと!
『新たなスキルを発現、致しました。』
「あぁ、、。」
まだ、奪うのか。
俺から、まだ奪い足りないか。
この世界は!!!
これは、このスキルは。
俺にこの先を歩けと言うのか?
みんなの、彼女のいないこの世界を、生き続けろと言うのか?
そんなの、無理に決まっているだろがぁぁ!
国を追われ、逆賊と罵られ、仲間達は次々と追手に殺された挙げ句、守ってやると言った奴等は全て余すところ無く、俺を守って死んだ。
あぁ、許さない。
必ずや全てを!
こんな世界を、終わらせてみせる!