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呑気な冒険者たち  作者: さかもと希夢
小さな大迷宮
36/224

<2>

「それにしても暇だよなぁ、馬車の旅ってのも」

 大して広くはない馬車の座席に、二メートル近くある長身をだらしなく投げ出してリッツ・アルスターが呟いた。

 ここ数日、自慢の大剣も出番なしの、穏やかな時間がゆるりと流れている。

 だらけて暮らすのは嫌いではないが、退屈というのはまた別で、目的もなく時間を潰すのは苦手だ。

 幾度目かのため息を付くと、引っ張られていた一部長い後ろ髪が不意に軽くなった。それを小さな三つ編みにして暇つぶしをしていたアンナ・マイヤースが、ついにその作業を終えて手を放したらしい。アンナも退屈そうにリッツの意見に同意した。

「うん、慣れちゃうとちょっと暇だよねぇ~」

 ひょいっとリッツの横に座ったアンナの長い赤毛は、暇に任せて何だか奇妙にびしっと編まれている。その奇妙さに先ほど『それは何の髪型だ?』と尋ねたところ、四編みというのだそうだ。

 リッツの大剣と同じく、彼女の精霊魔法媒体である弓矢たちは、だいぶ長いこと出番もなく、所在なげに馬車の壁にぶら下がっていた。

 何気なく視線を向けると、最初は楽をして喜んでいたはずのフランツ・ルシナの不機嫌そうな顔が目に入る。焦点の合わない青い目で窓の外を見つめ頬杖を付いていたフランツは、こちらに視線に気が付いて振り返り、ため息をついた。

「……確かに暇だね」

 彼の金髪には、微妙に癖が付いている。前の街で手に入れた槍を調べるのにも飽きた彼には、うたた寝くらいしかやることがなかったからだ。そんなわけで彼は、一日のほとんどを寝て過ごしてしまい、寝癖のとれる間がないのである。

 王国暦一五七二年、十一月上旬。馬車の外はすでに寒風が吹いている。ファルディナを発って早五日。ずっと徒歩で旅をしてきた三人は、優雅な馬車の旅に飽きていた。

 彼らが乗っている馬車は、何台もの馬車が連なった一番前を緩やかな速度で王都へと向かっていた。

 当然乗合馬車のような長時間乗ると腰が痛くなる代物ではない。たっぷりとした布であつらえられた布張りソファー並の座席がある、四人乗りの比較的大型の馬車である。

 二頭引きのこの馬は太い足と丈夫な身体を持った、生粋のグレイン馬だ。グレイン馬は王国一の馬である。外観は地味なこの馬車だが、荷台は共に乗り合う人物のためか、外から見るよりもゆとりたっぷりと豪華だ。

 確かに居住性は悪くないだろうが、とにかく遅い。気が遠のくほど遅いのだ。だがリッツたちには文句を言えない理由が有り余るほどにある。何しろこの馬車は、リッツたちが中心となった騒きのため王室預かりとなった、貴重な元王宮画家の美術品を運んでいるのである。

 まさかそれを知りつつ急げなんて、いくらリッツでも言えるわけがない。溜息交じりに街道を横に避け、他の馬車をやり過ごしただろう。

 査察官はこの隊列の周囲にを囲み、積み荷を守っているから気を抜くことなど出来ないだろうが、馬車に揺られていくだけのリッツ達は、本当に何もする事が無くて、気楽だが退屈なのである。

 何しろ彼らがこの馬車の旅でできることといえば、食べて、揺られて、寝ることだけなのだ。

「まあそういうな。遅いのは仕方ないだろう」

 三人を宥めつつも、同じく暇そうに欠伸をかみ殺したのは現ユリスラ王エドワード・バルディアだ。御年六十をいくつか超えているというのに見た目は五十代といっていいほど若く、性格はなお若い。

 多少白髪が交じった長い金髪はアンナによってびしっと四つ編みにして編み込まれている。自分の髪を編む前に、エドワードで実験したらしい。

 昔のエドワードなら、やんわりと穏やかな笑みを浮かべて拒否をしただろうが、彼は抵抗もせずに笑顔でされるがままになっていた。

 年を喰ったのか、アンナの無邪気さに何もいう気にならなかったのか、一体どっちだろう。親友ではあるが、三十五年もの長い間一度も会わなかったリッツにはよく分からない。

 そもそも国王がここにいていいのだろうか。エドワード曰く幾度か経験済みらしいだが、王座ってそんなに簡単に空けられるものなのか、王座に就いたことのないリッツには疑問だ。

 国王が呑気に好き勝手していて、なんとかなる。本当にこの国は平和だ。

 いや、平和になったのだ。国王の存在は、荒廃した時代にあっては重要だが、幸福な時代には軽くなるとは、目の前にいるエドワードの若い頃の言である。

 その分宰相であるシャスタは多忙だろう。国王が留守をしていても何とかなっても、実務を担当する宰相がいないと立ちゆかない。きわめて几帳面で真面目なシャスタは、今頃てんてこ舞いに違いない。

 大臣の立場を投げ出して逃げ出す時に、黙って出て行ってしまったから、彼はおそらくまだ許してくれていないだろう。

「エドさ~ん、暇だよ~」

 ついに暇にたまりかねて、アンナがエドワードににじり寄った。

「まだ何処かに着かないんですか~?」

「そういわれても私は馭者じゃないからね」

「ですよね~」

 アンナはがっくりと肩を落とした。

「暇だよぉ~、サラちゃーん」

 アンナはゆらゆらと揺れるランプにまで、呟き始めた。その赤々と燃えるランプの中には、火トカゲ(サラマンダー)サラが入っている。リッツにはただの炎にしか見えないが、会話をする妙なきぃきぃ声だけは聞こえる。精霊が見えないことがコンプレックスでもあるリッツに取っては、それが少し嬉しかったりするのだが、それは誰にも内緒だ。

「よし、サラちゃん、言葉を覚えよう! アンナって言ってごらん、ア・ン・ナ、はい!」

「アンきっ~っ」

 アンナは最近サラに言葉を教えて、アンナと呼ばせようとしているが、未だに一度も上手くいっていない。

「よくやるよ」

 小さく呟くと、フランツも溜息交じりに頷いた。

「確かにね」

 呆れられていると気付くでもなく、見るからに一生懸命に、散々繰り返した後に、アンナは諦めたようにため息を吐いた。

「あ~あ、今日も私の負け」

 覚えられなかったら負けという独自のルールがあるようだ。だがリッツにはその楽しさがいまいち理解できない。

 再びやることの無くなったアンナは、惚けたように空中を眺めた。元々は体を常に動かす農家の人間であり、孤児院の世話係だったアンナにとって、じっとしていることは苦痛なのだ。

「寝てれば?」

 無造作に言ったフランツは、アンナに見つめ返されて黙った。そうしていることに飽きているフランツには全く説得力がない。

 全員が全員、明後日の方を向いて惚けていたが、アンナはしばらく馬車の天井を眺めていた後、唐突にこちらをくるりと振り返って提案した。

「リッツ! しりとりしない?」

「しない」

 容赦なく即答する。いくら暇でも百五十歳にもなって、そんな子供の遊びに付き合いたくない。

「何で~? 暇なんでしょ?」

「暇だけどな……」

「じゃあやろうよ!」

「……だけどなぁ……」

 逃れるにも上手い言い訳が見つからなくて、ため息をついた。

「やろうよ、やろうよ~」

 隣に居座るアンナにせっつかれて、仕方なくフランツの脇腹をつつく。飛び上がって目を見開いたフランツに、小さく通告する。

「分かった、じゃあフランツも混じれ」

「何で僕まで……」

「何でもだ」

 自分だけアンナのお守りをするのはごめんだ。旅は道連れというじゃないか。文句を言いかけたフランツに、アンナがきっぱりと言い切った。

「暇だってフランツもいったじゃん」

「う……」

 フランツは口ごもった。リッツと同じく言い訳が見つからないようだ。しばらくの沈思黙考の後、諦めたようにフランツは座り直した。

 内心ホッと胸をなで下ろす。犠牲者は多い方がいい。特にこんな場合は。

「エドさんは?」

 アンナに満面の笑みで見つめられたエドワードは、一瞬引きつった笑みを浮かべたが、小さく苦笑しながら肩をすくめた。逃れる術なしは、リッツとフランツと同じだろう。

「では混ぜてもらおう」

 エドワードの渋々であろうが、アンナの手前か微かに微笑む様は見事だ。一応リッツの仲間であるアンナとフランツには、気を遣ってくれているようだ。

 それにしても、今まで気がつかなかったが、アンナは無敵だ。エドワードをあっさりしりとりの輪に入れるとはただ者ではない。

 そんなリッツの感慨などどこ吹く風と、楽しそうなアンナの宣言で、しりとりが始まった。

「じゃあ、私からね! う~んと、ヴィシヌ」

 そういったアンナは、こちらに振り返った。

「俺?」

「うん!」

 アンナの中で順番が決まっているらしい。

「ぬ、ぬ、塗り薬、り」

 言い終えたと同時に、正面のエドワードを見る。アンナの言う順番だと、この順番で回すのが正しいはずだ。

「りんごでいいかな?」

 エドワードは即答すると、そのまた左隣のフランツを見た。心底嫌そうなため息を吐いてからフランツは答える。

「……ゴミ……」

 これでようやく一周だ。暇つぶしが出来たアンナは楽しそうだが、リッツはため息をつく。なんだってまあ、子供の遊びに付き合っているんだかと思うも、まあ暇なのだから、こんな事もあるだろう。大人には諦めが肝心な時がある。

「みちしるべ、べだよ!」

「ベンチっと」

「……陳情……」

「うさぎ」

「ええっと、ぎ、ぎっと……」

 何だかんだと文句を言いつつも、延々としりとりが続く。実は全員負けず嫌いだから、わざと負けることが出来ない。その実、心底から誰かに終わらせて欲しいのだから始末に負えない。

 アンナを除く三人の目が、空中で複雑に交差し、お互いに声のない会話を繰り広げる。

 声にすると『お前負けろ、フランツ』『リッツが負けてくれ』『んじゃエド負けろ』『冗談言うな、ここは保護者であるお前が負けるのが正しい』という感じだろうか。

 誰も彼もが意地の張り合いに、いい加減うんざりしてきた時、前方で馬のいななく声が聞こえ、馬車が激しく揺れた。

 突然の動きに耐えられず、アンナがソファーから転がり落ちる。

「何?」

 アンナの疑問に答えるより早く、反射的に大剣を手にして馬車を飛び降りていた。後ろから同じ行動を取ったのは他ならぬエドワードだ。

 いくら平和な世の中といったって、泥棒や強盗はいくらでもいるのである。この馬車は見るからに高価な品を運搬しているから、いつ狙われてもおかしくない。そのために査察官がいるのだ。

「どうした!」

 馭者にそう怒鳴ると、馭者は声を失ったように何かを指さしていた。弓のように反った刃を持つ、タガーを持った男がいる。男は鋭い目つきでこちらを見ていた。

「賊かな?」

 小さく後ろのエドワードに尋ねる。

「さあな……リッツ、聞いて見ろ」

「嫌だね。エドが聞いて来いよ」

「断る」

 短いやりとりの最中に、男は小さな笛を取り出して吹いた。馬車を引いている馬が一斉に暴れ出す。馬だけに聞こえる笛だ。それと同時に、大勢の男たちが街道の両脇にある森から、飛び出してきた。

「大事そうに抱えているお宝と有り金を全部置いていけ、命までは取らん!」

 リーダー格は先頭に立ち、彼らを待ち伏せていた男のようだ。その声と同時に、後から沸いてきた男たちはバラバラと思い思いの武器を構えた。

「だってさ、どうするよエド」

 言葉とは裏腹に剣を手にしたリッツが、エドワードを振り返った。エドワードも剣を抜き、リッツににやりと笑いかけた。

「運動不足だったんだ、正直な」

 これで決まった。大剣を構えると、目の端にアンナが馬車から飛び出したのが映った。フランツもいるのを確認してから二人に命じる。

「アンナ、風の弓矢を使え! 荷物を守るんだ!」

「分かった!」

「フランツ、荷物は燃やすなよ」

 槍を伸ばして構えつつ、炎を手に作り出したフランツに注意した。

「分かってる」

 アンナはクリスタルの矢を弓につがえて、祈りと共に大空へ向ける。

「風の精霊よ、全てを守る盾となれ!」

 ヒュンっと小気味いい音を立てて、矢が放たれ、見えない守りの壁が作られる。この壁が一瞬しか持たないことは織り込み済みだ。敵に精霊使いがいる事を示すだけで戦略的な意味がある。

 こちらの戦う意志を察して、賊は多少驚きつつも向かってきた。おそらく強盗を働こうとして、ここまで完璧に戦いに入られるのは初めてだろう。そもそもここは、王国一治安のいいはずの街道なのだから。

 敵が態勢を整える頃には、すでに王国軍査察団が馬から飛び降り、他の馬車を守るべく剣を抜いて構えていた。

 負ける気はしないが、気を抜くと初心者二人が危ない。敵は子供だからといって容赦してくれるとは限らない。とにかく早めにけりを付けるに限る。

 ゆるりとした時間から一気に緊迫した雰囲気に変わった隊列は、瞬く間に混乱の渦に巻き込まれていく。

「暇つぶしの運動にいいかもな」

 不適なリッツの言葉に、エドワードも笑った。

「その通りだ。しりとりより遙かにいい」

 やっぱりしりとりには辟易していたようだ。

「アンナ、怪我人が出たら救護に当たれ。フランツはアンナを守れ。無理に戦うなよ」

「分かった」

 二人の短い返事を聞き、リッツは駆けだした。勿論狙うは敵の親玉だ。族は頭を叩けば瓦解する。基本中の基本戦術だ。伺うと親玉の周りに数人の男たちがいる。

「親玉は私に任せろ、リッツは雑魚をよろしく」

 後ろを駆けてくるエドワードが、我が儘な注文をつけた。反射的に言葉を返す。

「じょーだんじゃねぇ! 無理すんなよ、ご老体!」

「なんの、お前より遙かに若いわ!」

 怒鳴り合いながら、二人は前方数人の敵の前に飛び込んだ。

「陛……エドワード様< 無茶はおやめください!」

 気が付いたケニー・フォートが叫んだ時には、二人共に敵に突っ込んでいた。

 何だか無性に懐かしい。昔、常に戦いの場では共にあった。長い別離の時間が合ったというのに、その時間がまるで無かったようだ。

「リッツ、お前何で鞘付きのままなんだ!」

 一人目を薙ぎ払った、エドワードが怒鳴る。

「殺生するとアンナがうるさいんだよ!」

 力任せに剣で相手を横に突き飛ばすと、男は勢いよく横に吹っ飛んで動かなくなった。骨を数本折っているに違いない。相手を斬らないといっても、リッツの力では相手が無傷というわけにはいかない。

「一人目!」

 すかさず後ろに向かってきていた敵を剣で突く。腹に食らった男は、激しく咳き込んで血を吐いた。肋骨が折れたようだ。苦痛にうめいて地面を転がりまわる。

「殺すよりも悪いんじゃないのか」

 二人目を斬り伏せたエドワードが、三人目と剣を合わせながら苦笑してリッツに声を掛けてくる。

「んなことないだろ、死んでねぇしっ! とっ!」

 目の前に繰り出された剣を叩き落とすと、リッツはうろたえる男を蹴飛ばして転がした。

「次来たらあいつらみたいになるぜ」

 リッツの一言に、男は腰を抜かしたように座り込んだ。

 男の行動で、奇妙な違和感が腹の底から沸き上がってきた。この賊の態度、軍人が守る荷を狙ったにしてはおかしい。

 何か別の思惑がありはしないだろうか。


 一方、取り残されたアンナは、どうすることも出来ずに隣のフランツと二人で立ちつくしていた。

 アンナは初めて本当の戦いを見たのだ。今まで見たのは、ちょっと抜けたスコット三兄弟とリッツの戦いと、フランツとリッツのお芝居だけだ。

 実際に血が流れる凄惨ともいえる光景に、どうすることも出来ずに凍り付く。

「……怖いね」

 そう呟いたが、その言葉はフランツの耳には届かないようだった。ただただフランツは目を見開き、回りを見ていた。怖がっているのではなく、驚愕しているように見える。

 実際の所、アンナもフランツと同じ心境だ。今まで見ていた世界観が変わっていってしまう。流れる血に恐怖と嫌悪を感じるし、気持ちが悪い。

 当然教会の娘だ。死体を見るのは慣れている。葬式を出すのは教会だし、死に化粧をするのは親族かアンナの仕事だ。

 でもこれは違う。人の命を人がその場で奪っていく。そこには容赦ないまで現実があった。

 今までアンナは、旅をすることがどういうことなのか、分かっていなかったのかもしれない。この戦いを見て、初めて実感として、旅をするということは、自分たちがこういう目に合うかもしれない危険があった事も知った。

 こんな危険に合うこともなく旅が出来るような気がしていたのだ。だから平気で夜の森で眠り、武器を持たずに遊んだ。

 もし三人で旅をしている時に、盗賊が襲ってきたら、どうしただろう。リッツに殺さないでと主張し、危険な目にあったりしなかっただろうか。

 そう思ったら、急にリッツのことを思い出した。

「リッツはどうしたかな?」

 リッツとエドワードが行った方に目を遣ると、頑ななまでに鞘付きの剣を振るっている、リッツの姿が目に入った。

「……剣抜かないの守ってくれてるんだ」

 剣を抜かないで欲しいとアンナが願った事を、リッツは覚えていてくれたのだ。嬉しい反面、ちょっと申し訳ない気もする。敵はそんなリッツに本気でかかってきているのだから。

 もし何かあったらと、少し心配したが、見ていると圧倒的にリッツの方が強いから安心した。

 つい気が緩んでいたそんな瞬間に、目の前で何かが動いた。殺気を纏ったその気配に目を向けると、剣を構えた薄汚れた男が立っている。

 向こうに気が行っていたから、気が付かなかった。

「<」

 冷ややかな笑みを浮かべる男の目は、子供だからといって容赦はしないことを物語っていた。男は本気で自分とフランツを殺そうとしている。

 そのことに対する躊躇いなんて無い。

「アンナ、下がって!」

 目の前にフランツの背中が立ち塞がった。フランツが、とっさに槍を構えて賊とアンナの間に立ったのだ。

「フランツ!」

 アンナは焦った。フランツが敵と戦えるような人ではないと、アンナが一番よく知っている。現に槍を構えたその腕は震えていて、見ていてもその緊張感が伝わってくる。

 守られているはずなのに、フランツを何とかしなくては、とそう思ってしまう。

「来るな……っ!」

 フランツはがむしゃらに槍を突き出すが、相手は素人ではない。だが槍の長さがものをいった。槍が真っ直ぐに男の体を捉えたのだ。

 逸らしそうになった目を必死に開けて見ると、槍の先は男の脇を掠っただけだ。男が脇を一瞬押さえたが、すぐに怒りに満ちた顔でこちらを睨みつけてくる。

「くっ、このガキがっ<」

 怒りにまかせて男がじりじりとフランツに近づくが、フランツの手は更に震えてしまい、思うように動かないようだ。

 大きく繰り出された男の剣が、スローモーションのように目の前に迫る。恐怖で動けなくなったフランツの背中を掴んで叫んだ。

「フランツ、しっかり!」

 我に返ったらしく、フランツが槍で何とか敵に剣を受け止めた。だがその重さでは、フランツには耐えられそうにないのは、素人のアンナでも分かる。フランツの必死の形相を見ていると、もうそろそろ限界だ。

 どうしたらいい、どうしよう……。

 混乱してくる視界に、フランツの腰に付けられたレイピアが入ってきた。ヘレボア隊長の、レイピアだ。これしかアンナが手にできる武器はない。

 反射的にフランツの腰からそれを抜き取る。

「私が相手だよ!」

 限界のフランツに、何とか冷静になる時間を与えられればいい。そう思っての行動だった。

「アンナ!」

 フランツの声が聞こえた。でももう狭くなった視界には、敵しか入っていない。レイピアが微かに震えている。両手で構えたアンナの震えが切っ先まで伝わっているのだ。

 軽いはずのレイピアがものすごく重い。これは人を殺せる武器なのだと、初めて実感する。

 耳の奥がつんと詰まったように、心臓の鼓動だけが耳に付くほどうるさい。こんなに自分の心臓は、早く打っていただろうか。

 落ち着け、落ち着け……そう自分に言い聞かせるが、体はちっとも言うことを聞いてくれない。

 そんな恐怖と緊張をうち破ったのは、金の髪の男だった。男は剣を振り上げた男の背後から、鮮やかともいえる見事なまでに華麗な剣捌きで、敵の背を薙ぎ払ったのだ。

 アンナの向こうに血飛沫が高く舞う。

「くっ………」

 前に立ちはだかっていた敵は、音を立てて地に崩れ落ちた。その瞳が白く目を剥き、一瞬アンナを見たような気がして身が竦む。

 守るために……人が死ぬ……。それはアンナにとって衝撃的な体験だった。

「二人とも無事だったか?」

 倒れ伏した男の後ろにいたのはエドワードだった。エドワードは悠々と剣をしまって二人に話しかける。

「怪我はないようだな」

 戦いのさなかなのに、今まで通りの穏やかで余裕の漂うエドワードの笑顔で、力が抜けて、へなへなと座り込んでしまった。

 恐怖よりも、自分が生きていたという安堵感が勝ったのだ。

 フランツもアンナの後ろで崩れ落ちるように座り込んだ。

「エドワードさん……」

「エドさ~ん」

 緊張して握ったままだったアンナの手から、カランと音を立ててレイピアが落ちた。

 自分が殺されなかったこと、そして相手を傷つけずに済んだことに、心から安堵する。

 剣を握るって、こんな風に覚悟がいることなんだなと初めて知った。

 ずっと座ったまま呆けていると、エドワードに尋ねられた。

「どうした?」

「腰、抜けちゃいました……」

 気が抜けたあまり、立つに立てない。こんな経験初めてだ。

 すると誰かがひょいっと体を立たせてくれた。振り向くとそこには、困ったように笑うリッツの姿があった。

「悪い。俺、付いててやればよかったな」

 リッツの顔を見た瞬間、思わずリッツに飛びついた。

「おおっ?」

 驚きの声を上げたリッツを無視して、ぎゅっと腕に力を込める。

 ファルディナのルサーン邸で初めて抱きついた時に、とっても安心することに気がついてしまったのだ。だからその広い胸に顔を埋めて、ようやくホッとした。

「……アンナ?」

「ごめんなさい。少しだけ……」

 今頃になって全身が震える。

 レイピアを構えたものの、アンナには何もできなかっただろう事が今頃になって実感できた。もしあのままだったならば、男の剣のさびにされていたことは間違いない。

 自分だけならいい、まだ若いフランツは殺させるわけにはいかない。フランツはアンナよりも十歳以上年下なのだから。

 フランツと二人だと、自分が何とかしないといけないという、変な気負いがあったが、こうしてリッツがいると、そんな気負いは持たずに済む。

 こういう状況になったとき、自分がどれほどリッツに頼っていたかがよく分かる。

 初めて他人からの悪意を感じた事は本当にショックだった。そんなことアンナが生きてきた中で一度もなかったのだ。

 だけど自分が生き残ることに一生懸命になれば、誰かを傷つけなくてはならなくなる事だってある。きっとそういうことはこれからも起こるだろうし、その時に相手を傷つけずに、なんとか出来る保証は何処にもないのだ。

 そんな当たり前の事を初めて知り、怖かった。もしもさっきみたいな状況で、自分が大変な目に遭うだけならいいまだいい。でもそのせいで仲間が傷ついたり、死んでしまったりするのは絶対に嫌だ。

 じっとしがみついたまま思い悩むアンナを突き放すでもなく、リッツは頭を優しく撫でてくれる。変に励ましたりせずに、何も言わないのがリッツらしいと思う。

「フランツ、頑張ったみたいだな。ご苦労さん」

「ああ」

 しばらくじっとしていたがようやく落ち着いて、リッツから離れ周りを見渡すと、斬られた敵以外は逃げ去っていた。査察官の中にも多少怪我人が出たらしい。

 こんな状況の時、アンナには出来る事がある。それは人を癒すことだ。戦いが終わったのならば、それが敵でも味方でも救アンナの力で救えるのだ。

 それをすることで、もしかしたら敵でさえも分かりあえるかもしれない。

「ねぇリッツ、逃げないようにしてからだったら泥棒の人も治していい?」

 遠慮がちに尋ねるとリッツは微笑んだ。

「当たり前だろ。俺は怪我人を治せっていったぜ」

 リッツに促されて、アンナは大きく深呼吸した。ショックを受けるのは後で、一人になってからでも構わない。だから今は、自分にやれることを全部やろう。

 ふと目に査察官たちが、忙しく賊を集めているのが目に付いた。あそこに行けばきっと怪我人がいるはずだ。

「さ、行ってこい」

「うん!」

 軽くウインクしたリッツに安心して、アンナは査察官の方へ駆け出していった。


 駆けだしていったアンナを見送ったリッツは、大きくため息を付いた。

「やれやれだな」

 どうやらアンナは混乱を自分で押さえる術を持っているようだ。もう一度深くため息をつくと、座り込んでいたフランツが話しかけてきた。

「リッツ、アンナを守れなかった」

「……そうか」

 最初からそれはあまり期待していない、とは口が裂けても言えない。なおもフランツは呟く。

「反対に守られた」

 それも予想は付いていた。今までの旅で、どう考えてもアンナの方がフランツよりも役者が上なのだ。

 それにフランツは知らないだろうが、アンナには自分の方がフランツより年上だから助けてあげないとという、確固たる保護者意識がある。

 知ったらおそらく傷つくだろうから、黙っておく。

「仕方ないさ。また次、頑張れ」

「ああ……」

 フランツもよろよろと立ち上がり、アンナの後を追った。何か手助けをしようというのだろう。それだけでも、同じ精霊使いであるから、アンナの助けにはなるはずだ。

 二人が去った後、リッツは不意にエドワードから肩を叩かれた。

「頑張ってるな。保護者」

 からかいを肩をすくめて受け流すと、エドワードはあっさりと自分の馬車に戻ろうとした。その態度が妙に引っかかり、真顔で呼び止めた。

「気づいたろ?」

「何だ?」

 知らぬ振りを通そうとするエドワードに、一歩詰め寄る。勘のいい彼があの奇妙な状態に気がつかないはずがない。

「あいつら、本当はこの荷なんか狙ってない」

 多少気まずい顔でエドワードは目をそらした。やはり彼は何かを知っている。それだけは分かった。

「目的は何だ?」

「さあな」

「何故あんな素人集団が、査察団の馬車を襲おうなんて思った?」

 一目見れば、この馬車が王国軍査察団に属していることは分かるはずだ。よほど強い敵なら査察団を倒してでも荷を奪おうとするだろう。だが誰もが知る王国軍最強のエリート集団である査察団の隊列に仕掛けて来るには、彼らは弱すぎた。

 リッツが感じた違和感とは、まさにそれなのだ。しかも、引き際が情けなすぎる。リーダー格の男以外は、バラバラと必死に逃げた印象を受けた。これは統率のとれた集団ではない。

「エド、何か知っているなら……」

「まずは捕虜を尋問してみるしかないだろう。あれこれ推測するのは、その後だ」

 リッツの問いかけを逸らすような、苦し紛れのエドワードの言葉に渋々頷く。

 納得はできないが、理にかなっている。この場で出来ることはそれくらいしかない。馬車に戻るエドワードの後ろ姿に、リッツは釈然としなかった。

 リッツ相手に隠し事をするなんて、エドワードらしくないと思うのだが、三十五年という時を経ているせいで、上手く言葉をぶつけることが出来なかったのだ。

「馬鹿エド……」

 小さく呟き、リッツは時間の流れを噛みしめた。

 この騒ぎで、こちら側に死者や重傷者は出なかった。賊側に数人の死者と多数の怪我人が出たが、そのうちの数人はアンナの活躍によって一命を取り留めた。これでアンナの心理的負担は少し和らぐだろうか。

 生き残った者たちの尋問は、査察官たちとエドワード、リッツ一行によって行われたのだが、芳しい結果は何一つ得られなかった。

 賊の男たちは、この馬車が査察団の所属であることを知ってから観念したらしく、聞かれたことに素直に答えた。

 男たちは、元々この辺を単独で荒らしている賊徒であるに過ぎなかったのだ。勿論この馬車が、査察団のものであることを知っているものはいなかった。そんな彼らが、このような暴挙に出た理由はただ一つ、異常に高い報酬だ。

 最近王都周辺で『金の欲しい奴は旅人の街道を真っ直ぐ北上しろ。ものすごい儲け話があるぞ』という噂話が、まことしやかに囁かれるようになったのだという。

 情報の出所は全く分からないままに、噂は瞬く間にシアーズ周辺の町や村をねぐらとする博徒や浮浪の者の間に広がった。

 ある一人の男はこう話した。

「最初はデマだと思ったがよ、仲間もみんな知ってやがった。こりゃあ本当かもしれんと思ったんだ」

 噂を信じた男たちは、街道を北へと向かった。そして、この少し前の場所で待っていた男に出会った。先ほどリーダー格と思われた男が、この計画の主犯のようだ。

 男から聞いた儲け話は、噂以上だった。

「この馬車の隊列を襲うだけで、一人一〇ギルツくれるってんだよ。しかも馬車の荷も、金も女も好きにしていいときた。こんなうまい話ねぇってんで飛びついたら、このざまさ」

 結局どの捕虜に聞いても、同じような答えしか出てこない。本当に彼らは何も知らなかったのだ。

 尋問が終わり、捕虜が引き立てられていった後、査察官たちのまとめ役である小隊長、ケニーは三人とエドワードを見つめた。結論を下すのは彼ではない。エドワードだからだ。

 ケニー・フォートの階級は少佐である。役職の割には若く、まだ三十代も半ばといったところだ。彼の任務はサバティエリの遺作を無事王都へ運ぶことと宰相から頼まれている内密の任務だそうだ。

 馬車の旅の始まる直前に聞いたが、それは年を召した国王が無茶をしないように見張りなさいというものらしい。ケニーにとってそれは通常任務の何よりも気が重いのだという。

 リッツにとってのエドワードは親友であっても、ケニーからすれば国王だ。気苦労が絶えないだろう。

「どうなさいますか?」

 考え込んだまま口を開かないエドワードに、ケニーが尋ねた。

「知らないのでは仕方ない。放してやれ」

「それではあまりに罪が軽すぎませぬか?」

 驚いて聞き返すケニーに、エドワードは真摯な目を向けた。

「今後何かで捕まったときに、査察団は今度こそ容赦をしないことを、じっくり教え込んで放してやれ。黒幕がいないのでは、いくら雑魚を捕まえても仕方ないだろう?」

「はっ……」

 エドワードに深く頭を下げて、ケニーは出ていった。どんな方法で賊徒どもにじっくり教え込むのか分からないが、きっと賊は相当にきつい時間を過ごすのだろう。自業自得だ。

「私も、お仕事してくるね」

 アンナはケニーが出たすぐ後に、リッツとエドワードを振り返っていった。

「お仕事?」

「うん。捕虜の人たち放してあげるんでしょ? だったら、ここからどこか近くの街まで歩かないといけないよね? 怪我してたら無理だもん」

 どうやらアンナは、捕虜の今後のことまで気にかけているようだ。

「そんなに親切にしなくても……」

 苦情を言うフランツを引っ張って、アンナは、まだ残っている怪我人を治すために、その場所を離れた。彼らの仕事はもうしばらく続きそうだ。

 残されたのはやることのないリッツとエドワードのみだった。この機会を待っていたリッツは、重い口を開いた。

「奴らは何も知らなかったな」

「ああ。黒幕だけがこの馬車を襲う意味を知っていたということだ」

 主犯格の男は彼らと戦うでもなく、観察しただけで去っていった。リッツたちが周りの敵と戦っている間に、音も立てず静かに消えてしまったのが不気味だ。

 いったいその男は何者なのか、何故この馬車を襲う必要があったのか、見当が付かない。

 いや、エドワードには見当が付いているのだろう。黙ったままの友にリッツは呼びかけた。

「奴らの狙いは、なんだ?」

「……さあな」

 リッツから敢えて目を逸らしたエドワードの表情から、リッツは何かを感じ取った。よくよく考えればおかしな事ばかりだ。

 そもそもリッツがファルディナにいる事を知って、何故エドワードが直接リッツを迎えに来たのだろう。そこに何らかの意図があるとしたら、答えはこれしかない。

「狙いはお前か?」

 リッツの問いにエドワードは表情を変えることなく深い沈黙を貫いた。

 エドワードの沈黙はリッツに取っては大抵、諾の意味がある。それだけでリッツは何となくエドワードがファルディナへ来た時から、何らかの理由があったのだと分かった。

 彼がこの隊列にいることを知る人間は、きっと限られている。なのに狙われたとなれば、裏に絶対何かがある。

 それにエドワードはファルディナで、妙に目立っていた。もしエドワードを狙うのならば、この隊列にいる今が、一番のチャンスではないか。

 そしてエドワードにとっても、リッツがここにいる今が、一番安全でもある。リッツは自分の実力がかなりのものであることを自覚している。自覚しているからこそ、アンナとフランツの願い通り、剣を抜かない。

「エド、俺にも言えないのか?」

 つい語意を荒くしたリッツに対しても、エドワードは肩をすくめて笑うだけだ。全く動じないエドワードに、諦めにも似たため息をつきながら、大きく伸びをする。

 こうなると、彼が話したくなるのを待つしかない。エドワードの頑固は、今に始まったことではないのだ。そんなことはとっくに理解している。

「まあ何にしろ、今日はこの近辺でキャンプを張るしかないって事だな」

 小さく息をつき、降参の意味を込めたリッツの言葉に、笑みを浮かべてエドワードが頷いた。

「このあたりに大所帯で泊まれるところがあればいいがな」

 暮れゆく夕日を、二人はしばし無言で見つめながら佇んでいた。

「さて、あいつらの様子を見に行くか。保護者だし」

 おどけて言いながらアンナたちの方へ向かおうとするリッツの背に、エドワードの言葉が静かに投げかけられた。

「……リッツ、人を斬れるか?」

「なに?」

 思わぬ言葉に振り返り、エドワードの顔をしばし見つめる。彼の目は真剣だった。

「もし、どうしても斬らねばならん時、あの被保護者の前でお前は人を斬れるか?」

 繰り替えされたその問いの意味が分からず、訝しげに眉を寄せて、エドワードを見返した。

「斬れる。俺を誰だと思ってんだ?」

「……そうだったな。お前はお前なんだな」

「何で今更そんなことを聞くんだよ?」

 感慨深げなエドワードに首をかしげると、静かに微笑まれてしまった。

「何でもない」

 あくまでも何も言う気は無いらしい。そんな昔と全く変わらない頑固なエドワードに、リッツはため息をついて背を向けた。

 そして現在の被保護者の方へ歩き出す。

 理由も知らずに彼らを襲ったという先ほどの賊。何らかの理由を持って彼らを襲わせただろうに、何をするでもなく、彼ら気付かれぬよう消えてしまったリーダー格の男。

 何かある、それは分かっているのだがその正体と、エドワードの魂胆が読めない。そっと振り返ると、エドワードはまだ静かに佇んだまま、沈んでゆく陽の光を見つめていた。その背をみていると、先ほどの言葉が蘇る。

『リッツ、人を斬れるか? もし、どうしても斬らねばならん時、あの被保護者の前でお前は人を斬れるか?』

 リッツには勿論人が斬れる。傭兵として沢山の人々を殺めてきた彼にとって、それは虫を追うよりもたやすい。

 だがアンナやフランツにその姿を見せたくなかった。若い二人を連れている間は、あくまでもあの二人の、陽気で呑気な保護者でいたい。自分の過去や、暗い本心なんて、彼らに見せたくないのだ。

 共に過ごす限られた時間は、ただ楽しくありたい。それがこの世界を手探りで彷徨ってきたリッツの願いなのだ。

 出会ってからまだ一月半ほどの、被保護者ではあるが、二人はリッツの事を信頼してくれているようだ。その信頼を裏切るのはあまり気持ちのいい物じゃない。

 人を殺す心の痛み、初めてそれを経験した時の命の重みは、沢山の人を殺めてきた傭兵であるリッツも知っている。

 それを彼らに味合わせたくはない。

 アンナもフランツも、ちょっと他の子供たちとは違っている。リッツは彼らのそんなところを少し気に入っているし、長い寿命を持っているから、彼らの望みに付き合っても面白いと思っている。

 でもエドワードに言ったように、いざとなれば人を斬れる。守るために剣を振るうならば、それを躊躇い失うような馬鹿な真似はしない。

 それが傭兵へと落ちて腐っても、剣士という生き物だろう。

 エドワードは確実に何かを知っている。リッツが人を斬らざるを得ない状況になりかねないことも分かっているようだ。

 エドワードと共にいる事は、昔英雄として彼の傍らにあったリッツにとって、彼を守ることに他ならなかった。

 エドワードはそれを期待しているのか?

 だがそれなら何故、年若い仲間たちのことを聞いたのか、それが分からない。

 リッツはため息をついた。 

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