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絶望転生令嬢 血パンの味と本の虫  作者: 和琴
神は居るのかな?
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11/26

その11:アントワーヌが名前”も”捨てるまで

――30分経った


結論からいうと、ここはダンジョンだ。

文字通りの。


”いぃーひひひ”


壁を掴んで、サルとゴブリンの合いの子みたいな

モンスターが私に飛び込んでくる。


アイスガン!


氷を生成し手で作った筒に収め、圧力で打ち出す。

バン!


それだけで簡単に崩れ落ち倒せた、でも2足歩行に近い動物は血も食べたくない。

だってプリオンとか怖いし?


でもお腹すいた。苔って食べられるのかな。無理だよねたぶん。

マナ玉の魔力は、切れる気配がない。

でも、私の体は魔力沈着が弱いって。ダンジョンでは…切れたら死だ。

さっきから通路をめぐって、まだましな服がないか調べてる。

魔法の光で照らせるし、浮けるから

釣り天井とか落とし穴なら大丈夫だと思って。


ないのかな、無いのかな。

…ご都合装備。


チートくっださーい神様★


”いぃーひひひ”


バン!!


……せめてレベルが上がればいいのに。


――レベル?


レベルって何。

草田さんの言葉が気になって

聞いてみた。


”モンスターを倒すとレベルが上がるの。

ゲームだとそうだったけど、はぁ~

現実だとそんなことないよね。

EXPってポイントを落として、それを集めると強くなる遊び。”


「そんなのがあるんだ、やってみたい。」


ほかに、そんな楽しいお遊びの話ないの?


”魔法少女とか、チートとか。”


魔法少女?チート?


”私の世界では魔法が使えないのよ。

だから魔法少女。この世界ではあり触れてるけど。

アイスガー――ン!みたいに技名を叫ぶのがお決まり。

キラキラ輝いて悪者を成敗、そんな物語よ。

チートもそう、現代日本やこの世界でおかしな力を持って

あり得ない状況から成りあがってみせる物語の事。”


「…私も成り上りたいな。」


――アントワーヌから、そんな言葉を初めて聞いた。

―-そうかな、じゃあ…成りあがるために。


「私名乗る。”魔法少女クサダ”って。

クサダさんの世界なら、私魔法少女だから!」


私は見かけた鉄の扉に対し、手を勢いよく筒の形にし

叫んでみた。


「アイス!ガ―――――ン!!」

初めての絶叫、肺が震えた!!


ダガ―ン!!


扉壊しちゃった。まあ、魔法少女だからね!


”エネルギーの無駄だって。”


「でも、外だ…!」


出て見ると、崖の下だ。

草田さんが階段を降りて行ったの、正しかった。


見てよ、こんなに明るい。

今から私は本当に…


”クサダ”になるから。

”草田麻子”として生きる。


”ちょっと、変わって良い?”


頷いて、体を任せる。


「アントワーヌ改め!魔法少女クサダ!

監禁されて覚えた魔法とキュートなマナ玉で

敵をボコボコにします!キャハ!!」

(血を吸いながら)


ふう、すっきり。

アントワーヌ、いつ死ぬかもわからないし

ここからは食事の時だけ変わって好きに遊んで。

不安なら私が変わる。


「頑張ります!」

確かに、ちょっと疲れた。

お腹もすいてるし”栄養”を確保して

…草田さんに食べてもらおう。


――それから、3日後。


気分が良くなったからか、色々上手くいく。

倒木が多くて幼虫は沢山集められるし、

案外敵とも戦えることが分かった。


何より、うちの魔法少女は凄い。


「スペクタクルガン!!」

これはアイスガンを、浮遊した氷の筒で大量に発射する遊びだ。

ダンジョンの敵を…狩ってる。


「レベルが上がるまで、何体かな??」


この世界では、闇が凝集してダンジョンにはモンスターが沸く。

だからヴァームホームみたいな特に闇の強い世界では

モンスターが絶えないし、幽霊払いの魔法がセイントクロスみたいな

閃光魔法だったりする。


「良い感じの剣、発見!!」


だから暫くすると魔物は闇に溶け、再び魔物になる。

本からの知識だけど、消えるまでの死体を光にさらせば

魔物は消えるんだけど…


「ポイントが0.01でもあれば、10000体倒せば

一レベル上がるよね!」


魔法少女がお茶目すぎて、そんな気がないみたい。


「もっと魔法少女について教えて。

もっと遊びたい…」


魔法少女、もう…


「私そんなに見てなくて知らないよ。

でもいろんな妄想をしてみるといいんじゃない。

私は失敗したけど、石をあっつあつにして

冷まして食べるとパンになってるみたいな。

妄想が形になる!!って信じてやってみると楽しいよ。」


報酬が無くても、脳が勘違いしてくれるからね。


そうして暫く、妄想しているうちに

魔法少女のダンジョン探索が進んだ後


「美味しい!」


口の中にムニムニする、味のない物体が広がった。


「クサダ!何食べたの!!!」

不味い、不味い!!


「死ぬって言われて、実際豆がダメだったじゃない!

吐き出しなさい!」


「…石だけど?」


えっ…よく見た、石だ。

ゴツゴツして、中身まで灰色、砂まで入っている。


でも…食える。


口の中にムニムニとした触感。


「ともかく気絶するかも!

すぐダンジョンから脱出しよう!」


私たちは外に出て、曇り空の下で

しばらく様子を見た。

森林に半歩入りもたれながら。


…なにも、なかった。


「どうやってパンにしたの?」


「言われた通り。」

石を熱々にして冷ましたらパンになったんだ…

普通の魔法じゃなさそう、チート能力だ。


石は、食べ物じゃない。

もしパンにできたのなら…

もう食べ物に困らないじゃない!


「アハハ!アハハハハ!!!アハハハハ!!」


でも慎重に行こう。

石でお腹、壊したくないし。

魔力をパンとして食べるようなものだから、消費はある。

落ち着こう、私。


そうだ…石を持って、例えばキャンディーをイメージしたら?


試してみた。

石のままだ。


もしかして、私が最初に…パンを食べたいってチートを望んだから。

へへ、まあいいか。


「転生ものとしてはクソだけど、神様有難う。

これで生きていける…。」

いるはずもない神に愚痴を言って前に向き直る。

それじゃあ、レベル行くぞ!!


「オー!!」


――そして私たちは…


「ミラクルフレイムビーム!!」


「煌めき疾走!」


「アイスハンマー!!」


ドンドンダンジョンの敵を倒していった。

もちろんレベルなんて上がった感じはしない。

でも今まで叩き込んだ知識が、

実戦としてしみついて行って。


「凄い!良い感じの服ゲット!」


"上!"

「バリアロッド!!」


青色のバリアが、釣り天井に対しつっかえ棒となってくれる。

こうやって潰されかけながらも

二つ目のアイテムを見つけた。


ダンジョンはもう5つ回っている。

私の神様は…しょぼい!!!


ああ、神様なんていないんだ、チートはパンだし…

本当に食料に困ることはなくなったけど。


塩分が足りないときは、血をパンにする。

それを石と一緒に食べると…あの教室のパンの味に近いんだ。


青と緑、ぶつ切りされた黄色と赤のラインが入った謎の服。

割と地味だけど好きなドレスだ。


「わああ、ドレス!!」

外に出て収穫を堪能する、アン…"クサダ"を見て

この世界も生きていればいいことがあるって思った。


「フィエル君に、見せてあげたいな…

フィエル君…」


"冒険者として名をあげて会いに行こう。

学園には戻れないだろうし、諦められてるかもしれないけど。

何にせよ、生きてればいいことある!"


「そうだね、草田さん。

明日も、遊ばせてね。」


二人で眺める夕焼けは、自由に満ちていた。


※冒険者として名を挙げるなら、ギルドと証人が必要です。

魔法少女クサダ!!ただいま参上!!

って、どういう方向!?


まあ、これもなんかテンプレのイメージあるよね。

だけど、うちの魔法少女が暴れている間に学園はどうなったのでしょうか?

次回はその経過報告をお楽しみに。


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