2、あと0日_
僕の大事な仲間……。
「もしもし?ごめんね、みお。急に電話かけて。」
僕は今、夏祭りで翼と花火を見た水辺の階段に座っている。たまたま近くを通りかかったからね。歩いて通話もなんだし。
『本当にびっくりしたんだから。急に早退とか。まぁ今日は部活ないからいいんだけど…。で、何?どうしたの?』
「花凛もいる?話したいことがあるんだけど…。」
『花凛?呼んでくればいいの?ちょっと待ってて。』
そう言って移動する音が聞こえる。一応、学校はもう放課後の時間だ。
『んー?みおちゃん誰と通話しているの?あ!!水輝くんだ!!やっほー!!!』
と、電話越しから明るい声が聞こえてくる。
『はい。で、何?』
…なんか冷たくない?まぁいつもそんなんだからいいんだけど…。
「いや……なんだかみんなで話したいなーって…少し声が聞きたくなったと言うか……。」
『え…?…何それ…。てか、それだけ?』
みおがびっくりした声で言う。
『でもいいじゃん!!みんなでお話楽しいよ〜!!』
と、花凛が言う。よかった、多分このまま行くとみおに切られてしまうところだったよ……。
『どうする?翼くんも呼ぶ?』
花凛が同じテンションで言う。…それはまずい……。翼には用事があると言って早退しているし、最後には引き離すように別れてしまった。そんな状態でどう翼と話すか……。
「つ、翼は……また別に……今日はなんか忙しいって言ってたし……。」
『ふーん。じゃ、いっか。』
ここはみおに助けられる。さっきからヒヤヒヤばかりだ。
『で、何話すの?』
みおに話を振られる。言いたいことを全部言おう。僕は一呼吸置いて話し始める。
「みんな初めて会った日のこと覚えてる?」
『初めて会った日のこと?』
『私は覚えてるよー!!!みんなで舞台の話を熱く語った時だよね!!』
そう部活メンバーの初顔合わせの時自己紹介から舞台の話になりみんなで意気投合した日。あの日は本当に面白かった。
『あーそんなこともあったよね。特に、翼と水輝がものすごく語ってたというか…。』
「いやぁ、あそこまで僕の話を分かってくれるとは思わなくって…。」
『あ!そういや、水輝くんが格好いい演出を考えて効果音つけた時、爆発音すぎるってクレームあったよね〜』
「って、そう簡単に言うけど、あの後結構怒られたんだからね!」
そう言ってみんなで笑い合う。そして思い出は数えれないほど、どんどんと出てきた…。
『みんなで話していると時間ってあっという間だね〜!』
ふと時間を見ると通話を始めてから、1時間近くになっていた。さすがに長いか、と思い僕は口を開いた。
「そうだね。…今までたくさんのことがあったけれど、僕はみんなでこの部活をする時間が本当に大好きなんだなって改めて思わされたよ。ありがとう…。」
前に進んだ僕の居場所。みんなには本当、迷惑もかけたし……。
『何?急に改まって……。でも、まぁ確かにね…。』
『うん…本当にそうだよね。私も部活がなくなっちゃたら悲しいもん…!』
やっぱり…みんな、気持ちは同じなんだね。
「だから、改めてありがとうって言いたかったんだ…!」
そう言ってみんなで笑い合う。いつも通りのみんな。部活の雰囲気。僕はこの時間が終わらないようそう、願っていた。
「ふぅ……」
僕は自販機で炭酸を買い、住宅街のところにある公園のベンチに腰を下ろす。そういや、お姉ちゃんが住んでいるアパートもこの近くだっけ…。
「たくさん歩きましたね。」
そう言ってツクヨが僕の隣に座る。家からも学校からもだいぶ離れたところまで来ている。
「ここからどうするんですか?」
今の時間は17:00。そう考えると、早退を5限目終わりでもよかったかなーなんて思えてくる。……いや、翼のお母さんをあんなにも早く見つけれるとは思わないじゃん!!
「まぁ、今からはゆっくりと休憩かな……?」
僕がマイペースに言うとツクヨはそうですか……と言う。そして僕はもっと深くベンチに座る。その時……
「…あれ?…水輝?!」
名前を呼ばれて驚いて顔を上げる…。
「え……お姉ちゃん…?」
僕に声をかけて足を止めたのは、僕の姉、月岡水月だった。
「水輝、久しぶり〜大きくなったね〜」
そう言って、僕の頭をわしゃわしゃ〜っとする。僕とお姉ちゃんは少し歳が離れていて、お姉ちゃんは今、アパートを借りて一人暮らしをしている。去年大学を卒業したばかりで、今はファッションデザイナーとして働いている。いつも通りのお姉ちゃんだ。
「って、水輝メイクめっちゃ似合ってるじゃん!!自然に馴染んでるよ!!」
「あぁ、さっき飛鳥井さんのところ行ってきたんだ。」
「水輝、Urban Grace本当にお気に入りだよね〜。あの時、連れていってよかったな〜って思ってるよ。」
僕が不登校になって少し。もともとお姉ちゃんの影響で服には興味があったから、お姉ちゃんが気分転換にと僕を連れていったのがUrban Grace。そこから、通うようになったのだ。
「お姉ちゃんは最近どう?どんな服作ってるの?」
「んー?最近は夏にトレンドになりそうなデザインを考え中。Tシャツや短パン、ワンピースやデニムとか!少し工夫して着やすく涼しい服を考えているんだ。」
「へぇ〜!完成したらまた見せてよ!」
「うん!いいよ〜」
って、しまった…!僕がまた見せてなんて………。お姉ちゃんとも最後の会話になるんだ…
だから、話したいことなんでも話しとこう。
「…そういやさ、お姉ちゃんは、なんでデザイナーになったの?」
僕も服には興味あるし、お姉ちゃんの作る服が大好きだ。だから、お姉ちゃんがどんな理由で、この仕事に決めたのか気になった。
「きっかけかぁ………。私が…デザイナーになったきっかけは、水輝だよ。」
「え…?」
「だって水輝、私の服好きって言ってくれるんだもん。ちっちゃい頃、私がまだ趣味で服を作っていた時…水輝が興味津々に覗いてきて……。そして、完成したものを嬉しそうに笑顔で着てくれる。どんな服でも…。それがものすごく嬉しくて、仕事にしたいって思ったんだよね。」
……まさかの、僕が理由だったんだ…確かにあの頃、お姉ちゃんが布やミシンを用意するたびにワクワクしていた。完成する服は全部僕のサイズにしていてくれて、普段使いすることだってあった。
「だからね、私、水輝が服にもっと興味を持ってくれて、それで自分に自信がついて、大好きと言えるものまでできたの、とても嬉しいよ!」
「お姉ちゃん……」
でも、自分に自信をつけさせてくれた発端は紛れもなくお姉ちゃんだ。だから…
「…ありがとう。だけれど、今の学校に行けて大好きな舞台に関われているのは、自信をつけるきっかけを作ってくれたお姉ちゃんだよ。だから……本当にありがとう…!」
「…なら私、もっと頑張らなくちゃね!!」
そう言ってお姉ちゃんはにこっと笑う。
「…あ!ねぇ、水輝の話もしてよ。最近学校はどう?部活楽しんでいる?」
そこから僕は最近の自分のことと大事な仲間とのたくさんの思い出の話を始めた……。
時間は18:15。僕は改札をくぐり駅にいた。
「18:53までの通過電車は、5本…。そのうちの最後の電車は18:32…。」
そうして、駅にのホームに立つ。…ここからが勝負だ……。僕はポッケに入っていた自分の荷物を全部カバンに詰めて、足元に置く。
「……今からですか」
ツクヨはいつでも準備はできているっぽい。あとは、、僕の気持ち次第…。
『まもなく1番線に電車が通過します。危ないですから黄色い線までお下がりください。』
1本目の電車のアナウンス。その時、電車の前照灯が見えてくる。
「……っ」
自分の、心臓の音がうるさい。…手に変な汗をかく。だけれど…そんなことよりも……!僕は、やらないといけない……電車の大きな音が鳴る。前照灯が眩しい。そして、電車が近づいてくる_
「……っあれ……………?」
…あ……足が…動かない……………?…そうこうしている間に………1本目の電車が目の前を通過した………………。…呼吸がとても荒い……。
「水輝さん……」
「だ…大丈夫……。まだ、まだ電車はあるから…!」
そう自分にも言い聞かせるように言って僕は次の電車を待った。
「…………っ…」
次で、………最後の電車のところまで来てしまった…。……っ僕には、できないのか……翼を助けることは……。…自分の目から涙が溢れてしまう…。
「…っダメだ、、今泣いてたら……!」
ダメなのに…今、こんなこと考えたら………。僕は……
『まもなく1番線に電車が通過します。危ないですから黄色い線までお下がりください。』
今日5回目のアナウンス。………っ!やるんだ…………僕は…………
『…だって、俺もお前のおかげで変わったからな…!』
一歩大きく足を動かす…。……涙が、、止まらない……。時間が…なんだか、ゆっくり進む……今までの、大切な……思い出達が蘇ってくる……そして……
「……っ水輝さん!!!!!!!!!」
そこで、はっ、と我に返ったかのように大きな目を開く。ツクヨの今までにない大きな声で僕の足は止まってしまい……電車は、目の前を通過した_。
「……あ……っ…」
バタンッとその場で僕は膝から崩れ落ちてしまう。っ………!…ダメだ……どうしよう……涙が…止まらない……。………なんでっ……!…なんで、、僕は……。
「……水輝さん…。…とても残念なお知らせですが…………これにて、7月19日、綾瀬翼さんの死が………確定しました__。」
後ろから、震えるようなそんな声が聞こえ頭が真っ白になる…。
「……………え?なんで……まだ…まだ53分になってない…まだ………まだ別の方法が……!」
「…………18:32、…翼さんが………自ら……命を…絶った…の…です……。」
…え……………それって…………どういう…………
「……………もともと………7月19日18:53…喫茶店からの帰り…、信号無視の車に撥ねられ………翼さんと、水輝さんのお2人が…亡くなるとのことでした………。……実は…翼さんにも、…私と同じ死神がおり……水輝さんを救う方法は、…あなたに教えたのと同じく、命を捧げることと……説明してあったそうです……。………っ翼さんは…………!、……水輝さんのために命を絶ったのですっ、…………!!」
駅のホームで絶望した姿で座り込んでしまっている僕に人が集まってきた__。
改めて読んでくださりありがとうございます。
なんだか、ここ毎日ランキングに載せてもらい……。本当に嬉しい限りです。そして、初めてコメントがつきました!!心があったかいような……そんな気持ちになりました。
もちろん、このお話はもちろんここで終わっておりません!!これからも楽しみにしてくれるとありがたいです。
NOVEL DAYSのほうがこれで追いついたので、次回からは週2(水曜日と土曜日)の投稿になります。よろしくお願いします。次の投稿は水曜日の予定です。ありがとうございました!




