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異世界戦記 ~雷魔法と日本知識だけで大陸最強へと成り上がる~  作者: TO
大陸内戦争〜vsレイクリ帝国連合軍〜

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チート

後日。


俺は、技術改革によって劇的に改善された自室を出た。 以前の藁のベッドとは大違い。日本における「格安ビジネスホテル」レベルまでは快適になった部屋だ。


今日は、すっごい楽しみだなぁ。 昨日の儀式で手に入れた「創造魔法」で、どんなものが作れるのか。


俺は、改革によって百億倍マシになった朝食(焼きたてパンとスープ)を食べ、意気揚々と広場へ向かった。


広場に行くと、すでにギャラリーが集まっていた。


ワクワク顔のリズ。 「また何かやらかす気か」という微妙な表情の兄上。 そして、黒髪を揺らしながら興味津々のパイル。


さらに遠巻きには、作業の手を止めたエルフたちが、聞き耳を立てていた。 ……みんな、口では「魔法反対」とか言いつつ、地味に新しい魔法に興味津々なんだよな。


まぁ、とにかく。 作るものは昨日の夜、悩みまくって決めた。


「銃」だ。


そう、中学時代、男子なら誰もが一度は夢に見る、あの銃だ。 もちろん、俺もその道を通り、一ヶ月ぐらい図書館で構造を研究しまくっていた時期がある。 だから、内部の火薬の配合から、ライフリングの仕組みまで、構造は熟知している。


よし。


「――ソウス、行きます。創造(クリエイト)


俺は、脳内の設計図を展開する。 グリップ、バレル、トリガー、撃鉄。 あそこのバネはこうで、ここはこう噛み合う。


ブワッ。 目の前に虹色の霧のような魔力が現れ、見る見るうちに「冷たい鉄の塊」へと形作られていく。


数秒後。 そこには、重厚な黒鉄の自動拳銃が完成していた。


うーん。 消費した魔力は微々たるものだ。 昨日の儀式で「回路」は完成しているから、出力するだけならこんなものか?


「なに、これ?」


リズが興味深そうに近寄ってきて、トリガーをカチカチしたり、銃身をツルツル撫でたりしている。


「あ、危ないから! まだこれからだから!」


俺はリズを出来たてほやほやの銃から引き剥がし、パイルと兄上にも離れるように指示した。


創造(クリエイト)


続いて、弾丸が詰まった予備のマガジン(弾倉)を十個ほど生成した。 やはり、魔力消費は少ない。 これなら量産も可能だ。


リズがまた触ろうとするが、


「触るな! 暴発したら死ぬぞ!」


と厳しく注意した。 リズが「ぶー」と悲しそうな顔をする。 え、君、九十八歳だよね? 知的好奇心が幼児レベルじゃない?


と、とにかくだ。 俺はマガジンを銃把に差し込んだ。


カチャン。 スライドを引いて、初弾を装填する。 その独特の金属音を聞いて、リズが本能的に下がった。


よし、やってみるか。 もし、内部構造が少しでもズレていたら、暴発して俺の手が吹き飛ぶ。 だが、己の三ヶ月間の研究と、魔法の精度を信じるだけだ。


「行くよ」


俺は震える指で銃を構え、安全な空に向かってトリガーを引いた。


ズドォォォォォンッ!!!!


凄まじい轟音とマズルフラッシュ。 手首が折れそうなほどの反動。


「おおーー!!」「すげーーーー!!」「すごい音だわーー!!」 「ソウス、今の何!? どうやって火を出したの!?」


よっしゃーーーーー!! 成功だ! 弾丸は真っ直ぐ空へ飛び去った。


よっし、これなら創造魔法は実戦でも使えそ――。


パリーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!


え?


空が、割れた。


いや。 国全体を覆っていた、あの「最強の結界」が、割れた。


「……は?」


「「「「「え?」」」」」


……。


全員が空を見上げて固まった。 エルフたちの顔面が蒼白になっている。


そりゃそうだ。 あの結界は、リズを超える魔力持ちのエルフたちが、複数人で維持していた鉄壁の防御結界だ。 それが、たった一発の「鉛玉」で粉々に砕け散ったのだ。


え? そんなに結界が脆かったのか?


いや、違う。


信じ難いが……。 昨日、百人分の規格外魔力を圧縮して作ったこの「創造魔法」。 それで生み出された物体は、「物理的な質量」の中に「絶望的な魔力密度」を秘めているらしい。


つまり、ただの銃弾に見えて、それは「対城宝具」レベルの一撃だったということだ。


リズが、俺の服の裾を掴んで揺さぶってきた。


「ねえ、どうやって作ったの? ねえ、どうやって? ねえ。ねえ。ねえってば。というか、どうやってあんなもの想像したの?どうやって具体的に?ねえ?ねえ?」


精神年齢と語彙力が完全に幼児退行している。


そして、放心する兄上、驚愕するパイル、絶望するエルフたち、そしてネルクもハッと我に返り、詰め寄ってきた。


「「「「「「「「「「ねえ、どうやったの!? ねえ!!」」」」」」」」」」


「私も! この国の一応の長として聞きたいですっ! あの結界を物理で割るとか意味わかりません!」


質問攻めだ。 ……そんなこと言われても。


とにかく、俺にわかることは一つだけ。


「この前の規格外の魔力を使った創造魔法は……どうやら、とんでもなく『最強』らしい」


その日。 俺は知らず知らずのうちに、大陸最強の攻撃力を手に入れてしまったのかもしれない。


そんな、浮かれた空気の時だった。


懐の通信機が震え、同時に広場の入り口が騒がしくなった。


『――エルフ王国のリズとソウスよ、聞こえるか? 直ちに応答せよ』


通信機から響く、バークレー国王の疲れ切った悲痛な声。 そして同時に、遠くからラングダム王国のものと思われる伝令兵が、泥まみれで走ってくるのが見えた。


戦争が、すぐそこまで来ていた。

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