俺の驚愕②
「ということで、私は、この屋敷に、三日間ほど泊まることになったわ。決定事項よ!」
はい? ……いや、はいじゃない。
一体全体、何がどうしてそういう結論になったんだ。 いや、まぁ考えるまでもない。この台風みたいなエルフが、無茶苦茶な理屈で押し切ったに決まっている。 宮廷筆頭魔導士が、地方貴族の家に勝手に長期滞在? 普通に考えれば大問題だ。
そして、僕は、一縷の望みをかけて、最後の希望を質問した。
「……念のため聞きますけど、国王陛下の許可はとっているんですよね?」
リズ先生は、これ以上ないほど屈託のない、無邪気な笑顔で言い放った。
「もちろんとっていないわよ。それが何か問題でも?」
(大問題だよ!)
*
夕食の時間。リズ先生が「絶対に食べたい」とリクエストしたカレーを美味しそうに頬張りながら、俺はどんよりとした気分で考えていた。
結局、俺のささやかな抗議も虚しく、リズ先生の三日間滞在は確定してしまったのだ。
……おわかりいただけただろうか。 この屋敷の客室は、まだ整備中。つまり、泊まるイコール、また俺の部屋のベッドが占拠されることを意味する。
これは、破滅フラグだ。理性が死ぬ。
(……今日は、こっそり外泊させてもらおう。庭の倉庫でもいい)
その時、こういう息子の悪巧みに対してだけは妙に勘が鋭い母上が、スプーンを置いて俺を見た。
「ソウス? まさかとは思うけれど、お客様を置いて外泊なんて考えてないわよね? 今日は、ちゃんと自分の部屋で寝ましょうね?」
母の目が、全く笑っていない。氷のような笑顔で、圧力をかけてくるのだ。
親として、大丈夫なのか。
「あは、あははは。まさか、外泊しようなんて考えるわけないじゃないですか、母上。あははは……」
抵抗は無意味だった。そうして、俺は再び、あの災害と一緒に寝ることになったのだった。
*
おはよう。 ……ああ、朝が来てしまった。
昨日も、まさに厄災だったよ。 ……昨晩、ベッドの上で何があったのかについては、精神の安定のために深く考えないでおこう。ただ、俺の体が色々な意味でバキバキだということだけは伝えておく。
それよりもだ。 朝食の席で、リズ先生がとんでもないことを言い出した。空間魔法習得のきっかけをくれたお礼として、俺に新しい魔法を教えてくれるというのだ。
……それも、ただの魔法じゃない。 雷属性の頂点に位置する究極魔法、轟雷電を。




