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№ 76 ケレス、世界の現状を知り、姉の愛を知る

 俯きかけたケレスにまたもやあの衝撃が走る。

 そんなケレスが顔を上げると次々と今のこの世界の現状を知らされる。

 そして、その現状を知ったケレスは愕然となるが、その中にミューを助ける方法が隠されていた……。

 俯きかけたケレスの額に、バシッ!と衝撃が走った。

「い、痛っ⁉」

 そして、ケレスとアルトが同時に叫ぶと、

「今は感傷に浸っている場合ではありませんよ!」

と、目尻が上がっているメイサから怒鳴なれたのである。

 そう、その衝撃を起こしたのはまたもやメイサの扇子だったのだ。

「メイサ殿……。いつも思うのですが、もっと他の方法はないんですか?」

「ありません! それより、今はミュー様の御命が一番です!」

 そんなメイサをアルトは額を押さえながらじとんと見た。

 だが、メイサは堂々と胸を張り、アルトをキッと睨みつける。

(そうだけど……。アルトの婆やさんの扇子って、どうして自由に動き回れるんだよ⁉)

 すると、ケレスの左口角はピクリと動きかけた。

 だが、ケレスはそれをぐっと抑えた。

「ミューをどうしたら助けられるんですか?」

「残念ながら確実な方法はわかりかねます」

「そんな……。じゃあ、何で宝珠の国へ帰るんだ?」

 そのケレスとの会話でメイサが視線を外す事はなかった。

 そして、ケレスには不安が過る。

 それでもメイサはケレスから視線を外す事はなかった。

「ヨルムンガンドに対抗する為ですわ」

「ヨルムンガンドに対抗するだって⁉」

 そんなメイサの言葉でケレスの目は丸くなり、声は大きくなった。

 すると、メイサは頷く。

「ヨルムンガンドの力がアマテラス様の力で跳ね返される事は御存じですね?」

「ああ。先生から聞いた」

「今、剣の国を除いて世界で守り神がいるのは宝珠の国だけなのです。

 ですので、宝珠の国がヨルムンガンドの力を一番弱められるのですわ」

 頷いたケレスに衝撃の事実が語られた。

「どういう事なんですか⁉ ビフレスト山には四大精霊神がいるんじゃないんですか?」

「いるんじゃなくて、いたんだよ……」

 その事実でケレスの声はさらに大きくなる。

 だが、また驚くべき事実をアルトが静かな声で続けた。

「いたって……。何で、過去形なんだよ?」

「実はね、世界には秘密にされてはいたけど、一七年前の大恐慌の時に、

四大精霊神の内、ユミル様、アウズンブラ様、ノルン様の三大精霊神はいなくなってしまわれたんだ」

 そのアルトの話でケレスの声は小さくなった。

 すると、アルトは続きを淡々と話す。

「な、何でいなくなったんだ⁉」

「さあね。理由はわからないけど、青龍様のみビフレスト山に残ったんだ。

 だけど、一年前の昴と水鏡の国の愚かな行為のせいでその青龍様もいなくなってしまわれた」

 そのアルトの話は衝撃が大きく、ケレスの声はまた大きくなった。

 それでもアルトの声は静かなままだった。

「それってマズくないか⁉ だって、守り神がいなくなったら、その地は……」

 それからケレスがそれ以上何も言えなくなっても、

「まあそれもあって、ミュー様を宝珠の国へとお連れするんだ。

 まだフィード様はいらっしゃるみたいだからね」

と、冷静でいるアルトは続けたのだ。

 その冷静さにケレスの眉は下がる。

「それはわかったけど……。水鏡の国の人達はいいのか?

 それに、お草ちゃんと花梨様だって……」

「水鏡の国の者は自業自得だ。鳳凰島にマナが残っている間に勝手にどうするかを決めればいい。

 それにね、花梨様達は古い文献から恐らく蛇の夢の中にいると思われる」

「自業自得だって……。冷たい言い方だな……。

 でも蛇の夢って、何だ?」

 表情崩さずアルトは冷酷な事を言う。

 そのアルトに心を痛めたケレスだったが聞いた。

「蛇の夢とはヨルムンガンドの術の一つで、生き物の精神を悪夢の中に閉じ込めるんだ。

 そして、ヨルムンガンドは悪夢を見ている者のマナを喰らい続け、

その者が死ぬまで楽しむみたいだよ……」

「悪夢だって⁉ 死ぬまでだなんて、何か目覚めさせる方法はないのか?」

 そのケレスの問いにアルトは淡々と答える。

 そして、そう聞いたケレスの声がまた大きくなると、

「やはり、アマテラス様の力みたいだ。そして……」

と、言ったアルトは眉を顰め一つ溜息をついた。

 その行為にケレスは息を飲む。

「他にも方法があるっていうのか⁉」

「ダーナの祈りの力だ。それも、浄化の力だろう……」

 ケレスの問いに答えたアルトの眉間には深いしわが残っていた。

「祈りの力⁉」

 その言葉を聴いたケレスは驚きのあまりまた声が大きくなってしまった。

「そう、その力があれば悪夢にかからないみたいだ。

 正確に言えば、かかっても目覚める事が出来るって事だろうけどね……」

 そんなケレスはミューを助ける為どうすべきかアルトから助言を受けていた。

 すると、アルトは自身を落ち着かせる様に一つ息を吐いてまた口を開き、こう言った。

「これは僕の想像なんだけど、きっと何処からか先輩が僕らを守ってくれている」

 ラニーニャの名が出るとケレスは一瞬 時が止まったかの様に感じた。

 そして、ケレスの時はゆっくりと動き出す。

「どういう事だよ⁉」

「あのヨルムンガンドの腹の中で僕達は何事もなかった……。

 アマテラス様の加護を享けている高杉殿とクリオネ君、それに百合君は兎も角、

僕達三人が蛇の夢の悪夢に何故かからなかったか……。

 答えは一つだ!」

 すると、アルトは自論を述べたのである。

 そのアルトの自論に納得したケレスだったが首を傾げた。

「そっか……。 だから、俺は二度も何ともなかったんだ!

 けど、オルトは何で蛇の夢にかかりそうになったんだ?

 炎の守り神の執事霊獣の朱雀、しかも御庭番犬だったんだぞ?」

「恐らく、オルト君の中にあるアマテラス様の力がヨルムンガンドの力を跳ね返せなかったんだ」

「オルトは片足を負傷してたからな……」

「きっと、それだけじゃない。ヨルムンガンドの力がアマテラス様の力を上回った可能性が高いね」

 そんなケレスにアルトはまた自論を述べた。

 すると、ケレスの口から溜息が漏れたがアルトは恐ろしい事を平然と述べたのだ。

「じゃ、じゃあ、ヤバいじゃないか‼ どうすんだよ⁉」

「落ち着くんだケレス。ミュー様を宝珠の国に送り届けたら、先輩を探す。

 そして先輩にアマテラス様を呼び出してもらい、協力して世界に光のマナを降り注いでもらうんだ」

「姉ちゃんを探す⁉ でも、剣の国にいるってだけで、何処にいるかはわからないんだぞ?」

 アルトの口から語られる衝撃発言にケレスは頭を抱えた。

 それでもアルトは冷静でいる。

 だが、ケレスはまだ頭を抱えていた。

「そこは、私にお任せ荒れ!」

 すると、メイサが話に入ってきたのである。

 そのメイサでケレスの左口角はピクピク動き出す。

「アルトの婆やさん⁉ てか、姉ちゃんの事で話を聴かれた……⁉」

 そう、それはアルト達との約束でラニーニャの事を言わない事になっていたからだった。

 だが、そんなケレスをメイサは優しく見つめる。

「ケレス様。お疑いなら、私に読心術をしてみなさい。

 心は嘘をつけませんから」

「アルトの婆やさん……。そんな事をしなくても俺は、あなたは味方って信じてます!」

 そのメイサのおかげでケレスの左口角の動きは静まった。

 そして、ケレスも優しくメイサを見つめる。

 すると、メイサは頷いた。

「信じていただけるのは嬉しいのですが、何かあれば必ず確認してください」

「はい、わかりました!」

 そんなメイサにケレスも頷くと、

「それは、ヨルムンガンドに取り憑かれた奴を探すのみも使え!」

と、言いながら眉を顰めた高杉がケレス達に近づいて来たのである。

「先生⁉」

「ヨルムンガンドは本体以外にも破片も意思を持って行動するんだ。

 奴の破片が何処にいるかわからんのに軽々しくあいつの居場所を言うな!」

 その高杉に驚いたケレスは声を上げた。

 すると、高杉から大きな溜息をつかれる。

「そ、そうだった⁉」

「まあ、どのくらい奴がいるのかわからん以上、アマテラスの奴の力が必ず必要となる。

 それに……」

 高杉に多くの事をつっこまれたケレスの口は開けっ放しになった。

 だが、高杉からこの後ケレスの口が閉まらなくなる言葉が発せられる。

 ケレス君、大丈夫かい?

 まあ、メイサちゃんはあれだから許してあげてね?

 うん、メイサちゃんだからね♪

 でね、そんなメイサちゃんがある物を見せてくれるよ!

 それが何なのかがわかる次話のタイトルは、【ケレス、水鏡の国の秘宝を開ける】だ!

 と、その前に、高杉さんから衝撃の言葉が……⁉

 んで、本話からちょいと文体を変えてみたのよ~。

 最近こんな風に書くのに少々ハマっていまして……。

 きっとこんな風になると思いますがどうぞよろしゅうに☆

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