№ 68 ケレス、妹が抱いている姉への強い思いを知る
高杉とミューとケレスの三人で話していたがミュー達はこれからの事の話し合いの場に呼ばれた。
それからその会議は終わりミューはケレスの下へ戻って来たが、
そんなミューはケレスに秘めたる思いを打ち明ける……。
「……お前もヨルムンガンドに狙われているんだ」
こうケレスは高杉からまた奈落に突き落とされる様な事を言われてしまった。
「うえっ⁉ どうして?」
そして、その高杉の言葉にケレスが狼狽えると、
「ヨルムンガンドの奴は、お前があいつから力をもらえる事を知ってしまった。
そう、お前が危険になれば必ずあいつがお前を助ける事をな!」
と、高杉はさらにケレスが狼狽えてしまう事を話し、
「俺のせいで姉ちゃんが危険な目に⁉ そ、そんなぁ……」
と、言ったケレスは頭を抱えてしまったが、
「そうじゃない! あいつは人が良すぎる。お前以外でも助けるだろうぜ?」
まあ、俺達が無事でいる事が一番って事だ!」
と、悪戯な顔の高杉から言われ、
「難しい事を言うんだなぁ……」
と、言ったケレスが溜息をつくと、
「大丈夫よ! クリオネ達とフィードがいるもの!」
と、ミューの力強い声が聞えたのである。
「どういう事だ?」
そんなミューの自信にケレスが首を傾げると、
「高杉さんによると、まだ色々わからない事は多いけれど……。
でも、ヨルムンガンドの力を跳ね返せるのは、アマテラス様の光のマナって事がわかってるの!」
と、ミューは話し、
「アマテラス様の光のマナ?」
と、言ったケレスが瞬きすると、
「そう! 所謂恩恵ってやつね!」
と、言ったミューの顔は自信に溢れていた。
「じゃあ、クリオネが⁉」
そして、その考えに行き着いたケレスの顔が晴れると、
「クリオネは特別だけど、朱雀の様な執事霊獣は精霊神からのマナを享け取ってるの!
あっ、でも、朱雀はあの特別な宝珠があるから別になっちゃう……。
まあ、そこは置いといて、執事霊獣達がいただけるマナは精霊神が持っていて、
その精霊神はアマテラス様からマナを受け取ってる。
つまり! フィード達守り神と、朱雀達、執事霊獣も少しだけど、アマテラス様の力があるって訳!
それに……」
と、ここまで話したミューは高杉を見た。
「……俺みたいな、アマテラスの恩恵を享けた者もな」
すると、そう言った高杉の顔は面倒臭ささに溢れていたが、
「そうか! だから、先生はあの時、何ともなかったんだ! それに、オルトが俺を助けれたんだ!」
と、ケレスの中で色んな事が繋がり、
「そういう事だ。だが、ヨルムンガンドの力は未知数だ。いつ、通じなくなるやもしれん」
と、静かな声で高杉が言ったので、
「まだ何か悪い事があるのか?」
と、ケレスがたじろぐと、
「ヨルムンガンドはマナを喰らう。アマテラスの奴もしかりだ。
となれば最終的に世界のマナが無くなってしまう」
と、高杉は平気で恐ろしい事を言い放ったのである。
「じゃあ、アマテラス様達が世界のマナを取り合うっていうの?」
そんな高杉の言葉に今度はミューがたじろぐと、
「はっきりとは言えんが、今の状況からしてその可能性がある。奴等は仲が悪いからな。
そして、アマテラスの奴がヨルムンガンドに負けているから世界がこうなっているのだろうし、
あいつがヨルムンガンドに狙われているのも、あいつのマナを喰らう為やもしれん」
と、眉を顰めた高杉は答え、
「じゃあ、どうしたらいいの?」
と、不安を隠し切れない顔のミューが聞くと、
「それは、お前達 王族と他の国のお偉いさんとでまずは話し合われるだろう」」
と、高杉は答えた。
「そうね……」
それからミューは肩を落としたが、
「ミュー! しっかりしろよ!」
と、ケレスが言うと、
「ケレス?」
と、ミューは、はっとし、
「お前がしっかりしなきゃ、いけないんだ! 世界の為にも、姉ちゃんの為にもさ!」
と、そんなミューを真直ぐ見つめたケレスが笑って言うと、
「……そうね、私ったら! ケレス、ありがとう!」
と、言って、ケレスを見つめたミューも笑った。
「任せて! 私、世界を正しい方向に向かわせてみせる!」
そんなミューがケレスにこんな覚悟を伝えると、
「わん、わん‼」
と、クリオネが「私もがんばる!」と言わんばかりに吠え、
「二人共、頼もしいな!」
と、ミュー達の覚悟がケレスの心に、じーんと響くと、
「ミュー様。そろそろ会議が始まります」
と、近付いて来た男性から報告があった。
「はい!」
そして、返事をしたミューはケレスを真直ぐ見つめ、
「ケレス、行ってくるね!」
と、言って、ミューはケレスに笑顔を向け、
「ああ、しっかりとな!」
と、言ったケレスも笑顔を返した。
それから高杉もその会議に参加するのでケレスは一人になり、
ある部屋で待機する事となったが、ケレスは考えた。
(これからどうなるんだ? ヨルムンガンドを倒せるのか?
それに、どうしてヨルムンガンドは姉ちゃんを狙ってんだ?
唯、マナが欲しければ、他の人だっていいはずだよな……。なのに……)
そう考えたケレスに嫌な考えが浮かんできた。
(ヨルムンガンドは姉ちゃんを狙っている……。
まさか、この事と姉ちゃんが災いと告げられたのが関係あるのか?)
そう、この考えだ。
考えたくなくとも、どうしてもこの考えがケレスの頭から離れないのだ。
だが、そんなケレスは首を強く横に振り、
(そんな訳ない‼ あってたまるか‼)
と、強く思い、ミュー達が帰って来るのを静かに待った。
すると、そんなミュー達の会議は長い時間をかけて終わった。
そして、その会議から戻って来たミューと合流したケレスは二人でいたが、
その会議でわかった今の状況をミューが説明したのである。
そんなミューの報告によると今、世界のマナがヨルムンガンド達によって不足しており、
おおくの生命に命の危機が迫っている。
恐らくだが世界樹もその一つとなっているので、
まずはミュー達は花梨と世界樹の所に赴く事となった。
そして、ミュー達はそこで世界樹を守り、花梨は祈りの力で世界樹に力を取り戻させる。
さらに花梨はそこでアマテラスを呼び出し、そのアマテラスに世界樹から力を与える事で
ヨルムンガンドに対抗する事が決まった。
それから後の話もまだあるみたいだったが、ミューは一旦この話を終わらせたのである。
「……あのね、ケレス。こんな事を言うのって、間違ってると思う。
けど、こうしなきゃお姉ちゃんが宝珠の国、いえ、世界で幸せに住むことが出来ないと思うの」
そして、ここまで淡々と話したミューだったが、これからとんでもない提案をする。
「ミュー、どうしたいんだ?」
だが、そんな事を全く予想していないケレスがミューを見ていると、
「私達、これから光の神殿に行く。もう、この時しかチャンスはない……」
と、答えたミューは右手に握っていたある石をケレスに見せてきたのである。
その石は掌サイズで、くすんだ緑色をしていた。
「これは?」
その石を不思議そうにケレスは見ていたが、
「これは、記録石。時読みで得た記憶を記録出来る石みたい」
と、ケレスを真直ぐ見つめているミューは答えたので、
「これが記録石⁉ 初めて見たぜ!」
と、目を丸くしたケレスは思わず叫んでしまった。
記録石とはミューが説明した通り、記憶を記録出来る石で、かなり貴重な代物である。
なのでケレスも実物を見るのは初めてだったのだ。
そして、記憶を記録されると、その石の色はくっきりとした緑色になるらしい。
「で、ミュー、これで何をする気だ?」
その記録席を手渡されたケレスがそう聞くと、
「ケレス、十七年前の記憶をこの石に記録してほしい……」
と、ケレスを真直ぐ見つめたままのミューは思いも寄らない事を答えたのだ。
「いぃっ⁉ いきなり何を言い出すんだ?」
すると、そのミューの提案にケレスは驚きのあまり顔が引き攣ったが、
「これしか方法はないの……。お姉ちゃんが災いじゃないって証明する方法は」
と、言ったミューのその瞳からもケレスに秘めたる思いが伝わってきた。。
「ミュー、お前……」
そして、ケレスはミューの真直ぐな瞳から伝わって来た意思に言葉を失った。
そう、その意思はミューのラニーニャへの熱い思い。
例え一緒に暮らせなくとも、ラニーニャが穏やかに笑える世界をつくる……。
その意思は、ケレスも同じだった。
そして、やらなければいけない事ぐらいわかっていた。
だが、それには大きな問題があったのである。
ケレス君!
今回は説明ばっかな話だったね?
わかり難いとか言わないでね?
後付けだなんて言わないでね?
まあ、簡単に言えばヨルムンガンドに対抗出来る力を備えているのは、
守り神とその執事霊獣&精霊って事だ!
それと、朱雀は太古の昔アマテラスから宝珠をいただいているので特別。
アマテラスの力は彼等の宝珠に宿ってはいるがその力を完全に使う為にはアマテラスの加護が必要!
以上、作者からの補足でした☆
ところでケレス君、何の問題があるのかい?
……ほぉほぉ、そう言う事でしたか。
まっ、彼がいるから大丈夫!
その彼が誰なのかがわかる次話のタイトルは、【ケレス、新たな神の使徒と出会う】だ!
って事は、新たな神の使徒が彼なの?




