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№ 67 ケレス、消えたはずの希望の光が再び心に灯る

 ヒロに支持されたケレスが行き着いた場所にミューと高杉がいた。

 そして、そんな高杉からケレスはある事実を告げられる。

  それを聴いたケレスは信じられなかった。

 だが、高杉の話を聴いていく内にケレスの心に希望の光が蘇る……。

「……お前、王宮に来い」

 ヒロはケレスを睨みながらまた思いがけない事を言った。

「へっ⁉ いきなり何を言い出すんですか?」

 そして、その言葉が耳に入ったケレスが何度も瞬きしながら尋ねると、

「あれは、お前をまた狙ってくる。

 王宮にいれば、フィードの力でお前を守れるからな」

と、ヒロは淡々と答えたが、

「ですが、それじゃあ王宮が危なくなるのでは?」

と、ケレスが不安を漏らすと、

「無用な心配だ」

と、言ったヒロは空を見上げた。

「フィード」

 すると、ヒロがそう言った瞬間、炎の絨毯が出現しケレス一人だけを空へと攫っていったのである。

「で、殿下⁉」

 それからそらの上でケレスは叫んだが、

「先に行ってろ」

と、何故か炎の絨毯にケレスがいてもヒロの声が聞こえたのだ。

(先に行ってろって言っても……。

 てか、何でこんなに離れてんのに、殿下の声がはっきりと聞こえんだよ?)

 また不思議な現象を見せつけられたケレスの左口角は、ピクピク動いたが、

(俺、殿下に嘘をついた……。

 あいつが狙ってんのは俺じゃなくって、姉ちゃんなんだけど、

でも、死んだ姉ちゃんを狙うって言うのもなぁ……。

 にしても、これからどうなるんだろう……)

と、その動きが止まったケレスはまた色々と悩み考えた。

 そんなケレスが不安を抱えたまま王宮に辿り着くと、王宮のバルコニーに下ろされた。

 すると、

「ケレス⁉ どうしたの?」

と、目を丸くしたミューに声を掛けられ、

「いや、その……」

と、どう説明するか迷っているケレスが苦笑いすると、

「お前……。大丈夫なのか?」

と、不思議そうな顔をした高杉が話に入って来た。

「先生⁉ 良かった! 無事だったんだな!

 って、先生は大丈夫だったな……。でも、俺はこの通り、大丈夫だ!」

 それから高杉との再会に喜んだケレスは元気である事を見せつけてから、

高杉と別れた後の事を話した。

 そしてケレスは意を決して、ラニーニャの事も話したのである。

 そんなケレスの話を涙を堪えているミューも傍にいて聴いていたが、

この後、ケレス達は高杉の口から思いも寄らない事を聞かされたのだ。

「せ、先生……。それって、本当なのか⁉」

 その高杉の言葉を聞いたケレスは瞬きを忘れる程、驚いたが、

「何度も言わすな。あいつは生きている」

と、眉を顰めた高杉はまた同じ様な事を言ったのである。

「せ、先生。俺達、剣の国に行って来たんだ。そして、ホンさんとも話した……。

 ホンさんは嘘をついていない。姉ちゃんは……」

 そんな高杉にもう一度ケレスが同じ事を言おうとすると、

「俺が根の一族の女に捉えられていた時、あいつは俺を離れた処から助けやがったんだ。

 お前の話からして、今回もそうした可能性が高い」

と、ケレスの最後の言葉を遮る様に高杉は冷静に言ったので、

「どういう事ですか?」

と、ミューから聞かれた高杉は根の一族の女に捉えられていた時の話を始めた。

 それはロキが暴れ、ケレス達と光の神殿から引き離された後の話から始まった。

 その時、花梨と捉えられていた高杉は縛られ、自由を奪われていた。

「……俺は、あのフレースヴェルグとかいう化け物のせいで大怪我をしていたんだ。

 かなりヤバかったがその時、アマテラスの使いが俺の前に来やがったんだ

 それからの事を高杉が淡々と話していると、

「アマテラス様の使いが⁉」

と、思わずケレスは叫んでしまったが、

「そうだ!

 俺が『また気紛れで現れたのか?』と聞くと、

アマテラスの使いは、あいつの姿になりやがったんだ!」

と、高杉はまたケレスが驚く事を平気で話し、

「姉ちゃんの姿だって⁉ どういう事だ?」

と、言ったケレスが息を飲むと、

「そんな事は知らんが、あいつは俺に近づいて来て笑いやがったんだ。

 そして、俺に治癒術を施した……」

と、言った高杉は両拳を握り締め、

「姉ちゃんがそんな事を?」

と、ケレスが言うと、

「ああ。そして、泣きやがった……。俺に何度も謝ってな」

と、静かに言った高杉は大きく息を吸った。

「どうして、お姉ちゃんは謝ってたの?」

 すると、ミューも口を開き、

「俺が負傷したのが、自分のせいだとさ」

と、せせら笑った高杉が答えると、

「そんな訳ないわ! あれは根の一族の女のせいでしょ?」

と、ミューは声を荒げたが、

「そうだ! だが、あの馬鹿はそう思い込んでやがってな!

 俺が、『違うから泣きやめ』と言ったら、こんな事を話してきやがった……」

と、同じく声を荒げた高杉は、そのラニーニャと話した事を話し始めたのである。

☆*☆*☆

「先生……。私ね、思い出したの。

 あの時、私を守ってくれたのって、先生だよね?」

 高杉の治癒を終えたラニーニャは静かにそう言った。

 そして、そのラニーニャの顔は笑顔の中に涙が残っており、その姿は薄っすら透けていた。

「……そうだが、お前の両親は……」

 そのラニーニャに対し眉を顰めた高杉が言葉に詰まると、

「……先生のせいじゃないよ? それにね、私、先生には感謝しかないんだ」

と、首を横に振って言ったラニーニャは、涙が零れるのを耐え、

「俺に、感謝だと?」

と、言った高杉の声がふるえ出すと、

「そう……。あの時 死んでたら、何もかも知らないまま死んでたもの。

 私はドジだし、臆病だから上手くいかない事が多いけど、

そんな中でも、いい出会いがいっぱいあったんだ……。

 あの時、先生に助けてもらわなかったら、そんな大切な事も知らないままでいたんだよ?

 なのに……。私は先生に酷い事を言っちゃって……」

と、頷いて言ったラニーニャの声もふるえており、

「そんな事ぐらいで感謝なんかするな! それに、あれは気にしてない‼」

と、高杉が怒鳴ると、

「そんな事ぐらいじゃないよ?」

と、ラニーニャは微笑みながら言ったが、その後、その顔は青褪めたのだ。

「お、おい⁉ どうしたんだ‼」

 その異変に気付いた高杉はラニーニャに近づこうとしたが、

「やっぱり……。私、駄目だなぁ……。せめて最期ぐらいは笑ってお別れしようと思ってたのに……」

と、怯えた声で言ったラニーニャは俯き、拳を握り締めたので、

「どういう事だ⁉」

と、身動きが出来なくとも叫んだ高杉はラニーニャに近づこうとしたが、

ラニーニャは声も出さずに胸を押さえながら苦しみだしたのである。

「おい‼ しっかりしろ‼ 何があったんだ‼」

 それから高杉は大声でラニーニャに何度も声を掛けたが、

「ご、ごめ、んねぇ……。先生ぇ……私、……もう、駄目み……」

と、しゃがみ込んで言ったラニーニャの姿は消えかけており、

「何の冗談だ⁉ ふざけるのもいい加減にしろ‼」

と、喉が張り裂ける程、高杉が怒鳴ると、

「せ、先生……。ケレ、ス君なら、私の……変わり、以上の働きを……してくれるから!」

と、息苦しそうなラニーニャから言われ、

「今、そんな下らん事を言っている場合か‼」

と、怒鳴った高杉が這ってラニーニャの傍に近づくと、

カツカツッと音を出しながら根の一族の女が走って来た。

「喜蝶‼」

 そして、そう叫んだ根の一族の女がラニーニャを抱きしめようとしたが、透けて出来ず、

「姐……さ、ま……。こう……なった、のは……全て、私の……せい、だから。誰も、う、恨ま、ないで……。

 ……誰も、傷付け……な、いで……」

と、根の女を優しく見つめて言ったラニーニャの姿は、消えた。

 すると、

「ギャオス?」

と、いつの間にかいたフレースヴェルグは悲しそうに鳴き、

「フレースヴェルグ‼」

と、叫んだ根の一族の女はフレースヴェルグの背に乗り、何処かへ飛び去ったのである。

☆*☆*☆

「……暫くしてあの女が戻って来て、俺達を龍神の滝まで連れて行き、後はお前が知っての通りだ」

 ケレスの知らない時間を静かに話した高杉はこの言葉でその話を締めくくった。

「そんな事があったのか⁉ 何で、今まで教えてくれなかったんだ?」

 だが、その疑問が浮かんだケレスがそれを高杉にぶつけると、

「聞かれなかったからだ」

と、答えた高杉は全く悪びれる事はなかった。

「先生ぇ……。それは、ないだろぅ?」

 そんな高杉に呆れたケレスは言葉を漏らしたが、

「じゃあ、お姉ちゃんは生きているんですね!」

と、目を潤ませたミューの声が弾むと、

「そうだ! 死んだ奴では、そんな芸当なんて出来やしない!」

と、言った高杉の声は力強く、

「生きてても、出来る人なんてお姉ちゃんぐらいよ?」

と、くすっと笑いながら言ったミューの大きな瞳から涙が零れ落ちると、

「そうだな」

と、言った高杉も、ふっと笑い、それを見たケレスも笑えたのだ。

(姉ちゃんが生きてる! 死んでなんかなかった‼)

 そして、ケレスはまだ見えない希望の光に胸が高鳴ったが、

「まあ、あいつが無事なのはいいが、ヨルムンガンドに狙われている事には変わらん」

と、高杉から再び重い現実を突きつけられ、

「そうだけど……。じゃあ、どうすればいいんだ?」

と、眉が下がったケレスが聞くと、

「ヨルムンガンドの様子からして、ヨルムンガンドもあいつの居場所がわからんみたいだ。

 だから、何とかしてヨルムンガンドより先にあいつを見つける事が先決だ!」

と、答えた高杉の顔は凛々しく、

「わかった……。じゃあ、剣の国に行こう!」

と、その顔に影響を受けたケレスは凛々しく言ったが、

「それは無理だ。今、そんな方法はないし、それに……」

と、言った高杉からケレスはこの後、奈落に突き落とされる様な事を言われてしまうのだ。

 いやいや……ケレス君! 今回の話は少々長くなっちゃったね……。 てへへ♪

 まあ、それだけ重要な回だったって事で許してくれたまへ!

 んでも、ラニーニャちゃんは剣の国の何処にいるのかしらね?

 あぁ……、そんなラニーニャちゃんを探す前にケレス君達はやる事があるみたいよ?

 と言う事で、次話のタイトルは、【ケレス、妹が抱いている姉への強い思いを知る】だ!

 さて、ミューちゃんがラニーニャちゃんへ抱いていた思いとは一体⁉

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