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№ 65 ケレス、世界を滅亡へ導くものの名と存在を知る

 誰もいないはずの部屋にいた黒い蛇。

 その蛇を見た高杉の顔は険しくなった。

 そんな高杉にケレスがその蛇について聞くと、まさかの答えが返ってくる……。

 険しい顔になった高杉は恐るべき言葉を漏らした。

「ど、どういう事だ⁉」

 そして、そんな高杉にケレスが詰め寄ると、

「恐らく、あれは大いなる災いだ。

 しかも、奴の言動からすると、本体も封印から目覚めた様だな」

と、高杉の口からさらに思いも寄らない言葉が発せられたのである。

「あれが大いなる災いだって⁉」

 その言葉で思わずケレスは絶叫したが、

「ああ、そうだ……。奴の名は、ヨルムンガンド。

 古より災いを齎してきた現況と言える存在だ。

 太古の昔、封印されたはずなんだが……」

と、険しい顔の高杉は淡々と話を続け、

「そんな奴がいたのか⁉ でも、ヘルヘイムを滅ぼしたのも、大いなる災いなんだろ?

 大昔に封印された奴が、どうしているんだ?

 てか、ヨルムンガンドは一体、何なんだ⁉」

と、ケレスは話に付いて行けず頭を抱えてしまった。

「ヘルヘイムを滅ぼしたのは、ヨルムンガンドの残骸である破片だ。

 そして、封印されたと言っても、完全に奴が消える事はない。

 あれは、生きとし生けるものの負のエネルギーの様なものだからな。

 今までは、アマテラスの力で抑えていたんだろうが……。

 この皆既日食のせいでアマテラスの力が弱まったのか……。使えん奴め……。

 何にせよ、状況が悪い事には変わらん!」

 すると、高杉はそう愚痴交じりに話したが、

「しかし、ヨルムンガンドの奴、何で、あいつを探してるんだ……」

と、呟く様に言った高杉は右手で自身の頭をグシャグシャッと掻いたので、

「あ、あいつって、姉ちゃんの事か?」

と、ケレスは聞いたが、

「……喜蝶は、他におらんだろう?」

と、言った高杉からケレスは怪訝な顔を向けられてしまった。

「何でヨルムンガンドは姉ちゃんを探してんだよ⁉」

 そして、その高杉の顔と言葉でケレスが動揺すると、

「それは、今、俺が言ったんんだが……」

と、言った高杉の眉間には深いしわが出来てしまい、

「そうだけど……」

と、苦笑いしたケレスが反論しようとすると、静かな高杉の家の周りが騒がしくなった。

 それから体の奥底から感じる異様な寒さまでも加わり、

いよいよ世界に異変が起きているのをケレスは感じた。

「せ、先生⁉ 何が起きてんだ‼」

 そんなケレスは慌てたが急に体に力が入らなくなり、その場に座り込んでしまったのである。

「へっ……な、何か力が……?」

 そして、あまりの脱力感にやっと目を開けているケレスに対し、

「始まったか……」

と、言った高杉は特に変わりなく、険しい顔で窓の外を眺めていた。

「は、始まったって、何が……」

 それからケレスがやっと声を出すと、

「……世界の滅亡だ」

と、ケレスに目を転がして重い口を開いた高杉から世界の恐ろしい終焉を聞かされ、

「世界の滅亡……⁉」

と、その言葉にケレスの体中の血の気が引いて行くのがわかると、

「ああ、このままでは、この世界はヨルムンガンドによってマナは喰い尽くされ、

魔物や祟り神にも溢れ、マナが消滅し、滅ぶだろうな」

と、高杉はケレスがさらに絶望する事を話したのだ。

「そ、そんなの駄目だ‼」

 その高杉の話を聴いたケレスは叫んで立ち上がろうとしたが、立てなかったのである。

「ど、どうなってんだ⁉」

 そして、そんなケレスが肩で息をしていると、

「世界のマナが不足してきてるんだ。無駄にマナを使うと、自身のマナが無くなり死ぬぞ」

と、高杉から溜息交じりに言われ、

「そんなぁ……」

と、息苦しくなってきたケレスが言葉を漏らすと、

「ここで、大人しくしててくれ。今、お前に出来る事はそれぐらいだ」

と、優しく言った高杉はケレスを優しく見つめた。

「せ、先生……。どう……する気だ……?」

 それからケレスの意識が遠のいていく中、

「俺は、王宮に行く。

 この国の王族なら無事だろうし、何か俺にも手伝える事があるだろう……」

と、高杉の言葉が聞えた気がした。

「先生ぇ……先生ぇ……」

 その後、高杉の気配がなくなった部屋で意識が朦朧とする中、ケレスは何度もそう呟いた。

 それは、そうでもして意識を保っていないと死んでしまいそうだったからである。

(どうなってんだ……? ヨルムンガンド……?

 また、訳のわからない奴が出て来た……。

 くそっ……苦しい……。このままじゃ俺、死んじゃいそうだ……。

 誰か、助けてくれ……)

 そして、絶望で死の淵を歩いているケレスだったが、その耳に、リーン……と風霊鈴の音色が聞えた。

「ケレス君……」

 それからこんな懐かしい声が聞こえると、ケレスの息苦しさは嘘の様に無くなったのだ。

「えっ⁉ 今の声って、姉ちゃん⁉」

 ケレスは、それがそうだとすぐにわかった。

 そして、今起きた奇跡に驚いたケレスが立ち上がるといつの間にか全身の痛みまでもが消えていた。

(今の力って、姉ちゃんのマナだよな……⁉)

 そんなケレスは瞬きし、自身を落ち着かせる為、深呼吸したが、

「まさか、近くに姉ちゃんがいるのか⁉」

と、叫び、ケレスは急いで高杉の家の外へ走った。

 すると、そんなケレスが外に出ると、昼過ぎだというのにそこは薄暗かったのである。

 それは、太陽の光を遮る薄暗い雲が空を覆っていたせいだったが、

思わずケレスはこう叫んでしまった。

「これって、一七年前の大恐慌と同じじゃないか⁉」

 そう、薄っすらとだが覚えている、あの大恐慌の悍ましい光景……。

 今の世界の光景は、記憶の世界のそれとほぼ同じだったのだ。

「どうして太陽の光が……⁉」

 陽の光が薄れゆく中、ケレスの中にあった大恐慌の記憶がくっきりと蘇って来ると、

「やっぱり。お前、喜蝶を隠してるね」

と、何処からともなくヨルムンガンドの声が聞こえてきた。

「ヨ、ヨルムンガンド⁉」

 そして、その声にケレスがたじろぐと、

「あれれぇ? もう、我の名を知ってるんだ……。ふうぅん?」

と、声が聞こえ、ケレスの前の地面から黒い煙が沸き上がり、ヨルムンガンドが姿を現したのだ。

「お前が世界をこんな事にしたのか⁉」

 そのヨルムンガンドにケレスが身構えると、

「そうだよ」

と、言ったヨルムンガンドは、赤い舌をチロリと出し、

「何でこんな事をするんだ‼」

と、息を飲んだケレスが怒鳴ると、

「何で、お前に言わなきゃいけないんだい?」

と、言ったヨルムンガンドは顔を軽く右に傾けた。

(何なんだ、こいつ⁉)

 そのヨルムンガンドが話が通じる相手でない事を悟ったケレスは気が付かない内に後退りしていた。

 だが、

「ねえ、お前さぁ……。今、喜蝶に救ってもらったね?」

と、言ったヨルムンガンドは這ってケレスに近づいて来たので、

(や、やばい⁉ こいつに近づかれたら、さっきみたいになる‼)

と、直感したケレスはもっと退こうとしたが、そのまま脱力してしまった。

「し、しまった……」

 そして、そう言った時にはケレスはうつ伏せ状態になっていたのである。

「無駄だよ。我の瞳から逃げれる訳ないだろう?」

 それからそう言ったヨルムンガンドは、ズズーー、ズルズルと音を出しながら

徐にケレスに近づいて来た。

 すると、ケレスの目の前まで這って来たヨルムンガンドはそのままケレスの首にスルリと巻き付、

「……お前には、先程マナを貰っててね」

と、ケレスの首を、ぐぐっと締めながら耳元で全身の力が抜ける様な冷たい声で囁いたのだ。

 そんなヨルムンガンドの声と氷の様な冷たい体の感覚で身震いしたケレスは

声も出せなくなった。

「我はわかってるんだ。お前の中にある喜蝶のマナを……。

 これは、我の物なんだよぉ……」

 そんなヨルムンガンドから耳元でそう囁かれるとケレスは全身から何かが抜けていく感覚を覚えた。

(な、何だ……気が、遠くなっていく……。

 さ、寒い……殺される……)

 この時、ケレスは生をあきらめた。

 このままヨルムンガンドに自身の何もかもを奪われ、死んでいくのだと思った。

 いや、寧ろ早くそうなってほしいとまで思ったのである。

 それ程までにヨルムンガンドとは恐ろしく、絶望を与える存在だったのだ。

 だが、そんなケレスの耳に聞き覚えのある獣の唸り声が聞こえた。

 ケレス君! ケレス君! 死なないでくれ‼

 気合いだ! 気合いだ! 気合いだぁーーー‼

 君が死んだらこの話は終わるって何度も言ったのに、生をあきらめるなんて酷い‼

 気合いで何とか生き延びるんだ‼

 ……ぅうん? 無理、だって?

 そうか……。じゃあ仕方ない!

 そんな君には助けが必要みたいだね!

 そう! 久しぶりのあのキャラの登場だぜ!

 そんなキャラが登場する次話のタイトルは、【ケレス、紅蓮の炎により、九死に一生を得る】だ!

 まあ、このタイトルから誰が助けに来るのかはおわかりいただけそうだね☆

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