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№ 59 ケレス、惨劇の日を知り伝え、炎の霊獣の背に乗り駆ける

 ほんの一年程まであったもの。

 それは、今はない。

 そして、それがどうしてなくなったのかを知る為にミューはケレスにある申し入れをするのだが……。

「ここが燃やされた時を、私に見せてほしい……」

 真直ぐ うさ爺の家があったであろう場所を見つめているミューは静かな声でそう言った。

「えっ⁉ いきなり、どうしたんだ?」

 そんなミューを瞬きしながらケレスが見ていると、

「私、何も知らない……。ここで、何が起きたのか……。

 お父様達はどんな顔をして、こんな事をしたのか知りたいの!」

と、答えたミューは真直ぐケレスを見つめてきたのである。

「ミュー……」

 そして、そのミューの思いにケレスはどうするべきか悩んだ。

 だが、

「……わかった。俺、時読みをするよ!

 ただし、危険な状態になったら、すぐに止めるからな?」

と、ミューの思いをしっかりと受け止めたケレスが頷いて言うと、

「ありがとう、ケレス!」

と、言って、目を潤ませたミューも頷いた。

「じゃあ、やるよ。ミュー、心の準備は、いいか?」

 それからケレスがそう聞くと、ミューは小さく頷き、

「じゃあ、ミュー。俺の肩に手を置いてくれ!」

と、ケレスが指示するとミューはケレスの右肩に自身の両手を置き、

「始めるぞ!」

と、言ったケレスは読心術と時読みを同時に始めた。

ー☆ー

 そんなケレスが瞳を閉じると、次々とこの地の事が見えてきた。

 しかし、暫く見ていても焼け焦げた荒野が見えるだけで何も変わらなかった。

 すると、そんな中、ミューがケレスに話し掛けてきた。

「ねえ、ケレス。もっと早く、過去を見れないの?」

(無理だ。俺は大丈夫だけど、お前は慣れてないから一気に記憶を見ると、頭が付いていけないんだ

「そうなんだ……」

(うん。でも、そろそろだ……)

 ミューと心の中でそんな会話をしていると、ケレス達の見ている景色に少しずつ自然が戻って来た。

(ミュー。少し記憶を見る速度を上げる。俺の声にしっかりと耳を傾けておいてくれ!)

「うん。わかった!」

 そして記憶の時はさらに戻り、うさ爺の家があった時の夜まで戻った。

 だが、その うさ爺の家の周りには松明の灯りに照らされた、ホド、ヒロ、

それに数人のニョルズに住む者の姿があった。

 そのホド達の顔は松明の火の揺らめきのせいか不気味に影が出来ており、恐ろしかった。

「お、お父様⁉ それに、お兄様⁉」

 そして、そのホド達の姿を見たミューが叫ぶと、

「陛下。殿下……。どうしても、おやりになるのですか?」

と、悲壮な顔のショルズは訴えたが、

「仕方あるまい。これは、我が国の為なのだ」

と、無表情のホドに言われ、

「では、陛下。どうか果樹園だけでも残してはいただけませんか?

 あそこはマーサ様に捧げた赤き女王があるのです!」

と、それでもショルズは縋る様に嘆願したが、

「それは、出来ない相談だ……。

 大体、赤き女王は他の果樹園でも出来るのであろう? ならば、ここに拘る必要はあるまい」

と、冷酷な顔のヒロが話しに入ってきた。

「そ、そうですが……」

 そんなヒロの言葉に渋っているショルズが眉を顰めると、

「始める」

と、ヒロが言ったその時、ヒロの炎の瞳が美しく輝いた。

 すると、何処からともなく舞い上がった深紅の炎が、うさ爺の家を一気に包み込んだのである。

「あぁ……」

 そして、その光景を見たショルズが何も言えずその場にへなへなと崩れる様に座り込むと、

「……次は、果樹園だ」

と、冷たく言ったヒロは燃え上がる うさ爺の家を見る事なくホドとその場を去っていった。

 それからそこにいた数人の人はホド達に続き、放心状態のショルズだけはその場から動けずにいた。

 だが、

「キャァーーーー‼」

と、叫んだバルが燃え盛る うさ爺の家に飛び込んで行ってしまったのだ。

「あっ、待ちなさい‼ そっちに行っては、いかん‼」

 すると、それに気付いたショルズは叫んだがバルは うさ爺の家から戻って来ず、

数分で うさ爺の家は跡形もなく燃え尽きてしまった。

 そして、そこにバルの姿は見当たらなかった。

ー★ー

「ど、どうして……。お父様……、お兄様……」

 その一部始終を見終えたミューは感情なくそう言ったが、ケレスは時読みを止めた。

「ケレス……」

 そんな記憶の世界から戻って来たミューからケレスは悲しそうな顔で見つめられ、

「ミュー、大丈夫か?」

と、眉を顰めながらもケレスが優しく声を掛けると、

「どうして……。いくら昴の人の言う事だからって言って、こんなの、やっていい事じゃないわ‼」

と、頷いたミューは大声で怒鳴ったが、

「そうだな……」

としか、ケレスが言えずにいると、

「……ねえ、ケレス。何か知ってるんでしょ? 昴の人達がこんな事をやらせた理由を……」

と、言ったミューからケレスは真直ぐ見つめられた。

 そんなミューの眼差しに全てを正直に話す事を決めたケレスは

昴とラニーニャとの因縁を話した。

「そんな訳ない‼ お姉ちゃんが、災いですって? 有り得ないわ‼」

 すると、そのケレスの話でショックを隠しきれないミューは拳を握り締め、

右足で地面を思いっきり踏んで怒りを露わにした。

「だから俺達、光の神殿で一七年前の事を確かめ様としたんだけど……。

 あんな事になって、もう光の神殿には近づけないし、それを証明する事が出来ないんだ……」

 そして、ケレスは一年前の事も話したが、

「そんな事をしなくても、お姉ちゃんは災いなんかじゃない! 私が証明するわ‼」

と、ミューが大声で言ったので、

「どうやって?」

と、首を傾げたケレスが聞くと、

「クリオネ! 王宮まで走って!」

と、叫んだミューはクリオネの背に飛び乗ったのである。

「お、おい、ミュー⁉ 何をする気だ?」

 そんなミューにケレスが圧倒されると、

「決まってる! お父様達に駈け合うの!」

と、凛々しい顔のミューは答え、

「ちょっと待て! 俺も行くから‼」

と、慌ててケレスが言うと、

「じゃあ、早く乗って!」

と、言ったミューからケレスは睨まれたがミューの後ろに乗り込んだ。

 それから二人を乗せたクリオネはまた颯爽と走り出したが、

炎を纏い走るクリオネは先程より速度が上がっていた。

 そして、今度は二人共、何も話さずに王宮までの時間を過ごし、

何事もなくヴィーンゴルヴ城の城壁まで到着したが、

「ケレス。ちゃんと捕まっててね!」

と、ミューは叫んだ。

「えっ? ミュー、何をする気……」

 すると、ケレスがそう言った瞬間、二人を乗せたクリオネは城壁を跳躍したのだ。

「でえぇぇーーー‼!」

 そんなクリオネの炎の隙間から見える変わりゆく景色にケレスは絶叫したが、

ふわっと城壁を超えて着地したクリオネは何事もなくまた走り出したのである。

「ミュー……。お前、随分 荒っぽい事をするんだな」

 そして、まだ心臓が飛び出しそうなケレスの左口角がピクピク動くと、

「今はそんな事を言ってる場合じゃないでしょ‼」

と、ミューから怒鳴なれてしまったが、クリオネはそのまま突き進んで行った。

 そんなケレスがクリオネに乗ったまま王宮内に入り、ホドがいる部屋まで行くと、

「お父様‼」

と、クリオネに乗ったままミューは叫んだ。

「ミュー⁉ どうしたのだ?」

 すると、驚きの表情のホドは何度も瞬きし、

「……お話があります」

と、返事をしたミューはクリオネから降り、ケレスもクリオネから降りた。

「何故、お姉ちゃんの家を燃やしたの? それに、うさ爺の果樹園まで……」

 それから真直ぐホドを睨みつけているミューが問いをぶつけると、

「……ミュー。知ってしまったんじゃな?」

と、そのミューの睨みに気まずい顔をしたホドはふるえた声で答え、

「ええ。ケレスに頼んで、その日を見せてもらったわ」

と、言ったミューは口を真一文字に結び、

「仕方がなかったのじゃ! あの時は我が国は祟り神のせいで滅びを迎える事態になりかねんかった。

 ダーナの方々の力が必要だったのじゃ‼」

と、そのミューの迫力に狼狽えたホドは弁明したが、

「そんなの、お姉ちゃんの家を壊していい理由になんか、ならない‼」

と、ミューは王宮中に響く様な大声で怒鳴りつけた。

 だが、そんなミューはある男が近付いて来ていた事に気付いていなかった。

 そして、その男からケレス達はこの後信じ難い事実を告げられてしまう。

 ケレス君♪

 久ぁしぶりに君を格好良く書けたのではないかと私は自画自賛しているのだよ!

 でも、それをしたら、やっぱり君を絶叫させたくなってね♪

 てな事で、させちゃいました☆

 とまあ冗談はさておき……。

 ケレス君達に近づいて来た男とは誰か……。

 それから衝撃の事実がわかる次話のタイトルは、【ケレス、夢を叶えた先で現実を知る】だ!

 タイトルからしても厳しい話みたいね。

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