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№ 56 ケレス、遂にあの日を迎える

 ケレスは遂にこの日を迎えた。

 色んな人に助けられて迎えたこの日を笑顔で終えるか。

 ケレスはそれを確かめに行くのだが……。

「じゃあ、先生。行ってくる!」

 アカデミーの合格発表の日の朝、高杉の家の前に笑顔のケレスはいた。

「落ちてても俺は知らんぞ?

 まあ、そうなったら次の居候場所を探す事だ」

 すると、悪戯な顔の高杉にそう言われたが、

「へっ……。そんな事にはならないさ!」

と、言ったケレスも悪戯な顔を返すと、

「おーーい! ケレス!」

と、大声で言いながらジャップが現れた。

「兄貴⁉ どうしたんだ?」

 そんなジャップを見たケレスの目が丸くなると、

「どうしたって、一緒に結果を見に行くからに決まってんだろ!」

と、言ったジャップは満面の笑みを浮かべており、

「そんな⁉ 子供じゃないっていうのに!」

と、言ったケレスの悪戯な顔は消えたが、

「ははっ! まあ、俺が行きてえんだ。お前に一番におめでとうって言ってやりてえからな!」

と、言ったジャップからはその笑顔が消える事はなかった。

「兄貴……」

 そのジャップにケレスの心がくすぐったくなると、

「んじゃあ、行くか!」

と、ジャップに言われ、ケレス達はアカデミーへと向かった。

 それからアカデミーに着くとそこには既に大勢の人がおり、

彼等は白い幕で覆われた掲示板の近くで発表の時を今か今かと待っていた。

「ほお⁉ こんなに沢山の奴が受けてたんだな!」

 すると、急にジャップにそう言われ、

「そ、そうだったんだぁ……」

と、言ったケレスは急に自信が無くなっていくのがわかり、

「ん? ケレス、どうした?」

と、そんなケレスの様子を見たジャップに聞かれ、

「いや、何か、自信が無くなった……」

と、答えたケレスは肩を落としたが、

「何言ってんだよ! もう、当の昔に試験は終わってんだぜ?

 それにな、お前が受からなくて誰が受かるってんだよ?」

と、陽気なジャップに言われ、

「だと、いいんだけど……」

と、ケレスが言ったその時、合格者の番号を掲示している掲示板の白幕が落とされ、

地響きの様な歓声と落胆の声が入り混じった。

「ひ、ひええぇぇ!」

 そして、その光景に動揺したケレスはあたふたしたが、

「おっしゃあぁーーーーー‼ あったぞおぉおーーーーー‼」

と、一際大きなジャップの叫び声がケレスの耳に届いたのだ。

「へっ⁉」

 その声で少し落ち着いたケレスがジャップを見ると、

「ほら、見てみろ‼ お前の番号だ‼

 あったじゃないか‼ 5243002608番‼」

と、言ったジャップの声は少し枯れていたが、

よくよく番号を探すとケレスの番号が目に飛び込んで来た。

「ほ、ほ ほ、本当だ……。あった……あったよ、兄貴‼」

 そして、夢と現実の挟間にいるケレスが叫ぶと、

「ほら、俺の言った通りだったじゃねえか!」

と、言ったご機嫌なジャップからケレスは乱暴に頭をグシャグシャにされ、

「だあぁぁ!」

と、涙ながらにケレスが叫ぶと、

「……おめでとう。ケレス!」

と、潤んだ世界にいる目を潤ませたジャップに言われ、

「ありがとう、兄貴!」

と、しっかりと言えたケレスは涙を零した。

 それからケレスはジャップと高杉の下へ戻った。

 すると、高杉からは何も聞かれなかったのでケレスが自身の口から合格した事を伝えると、

高杉からは、『何かの間違いだから確認して来るんだ』なんて言葉が帰って来た。

 だが、その高杉の目はチラッと横目で見るといった悪戯な目をしていた。

 なので、ケレスも悪戯な顔で『残念だったな! これからも世話になるぜ?』と言ってみると、

高杉からは、ふっと笑われたがケレスは頭をぽんぽんと叩かれるといった祝福を受けた。

 そんな合格発表があった日の次の日、ケレスの所にまたもやジャップが現れたのである。

「よっ! ケレス!」

 そして、そう言ったジャップからケレスは大きめの紙袋を手渡されたので、

「何だ、これ?」

と、ケレスがそれを受け取りながら言うと、

「まあ、中を見てみるんだな」

と、言ったジャップは、にんまりと笑い、

「ああ、わかったよ……」

と、言いながら首を傾げたケレスは紙袋を開けて中身を見た。

「こ、これって⁉」

 すると、ケレスは思わず叫んでしまった。

 何故なら、紙袋の中身は、アカデミーの制服と靴だったからである。

「これ、どうしたんだよ⁉」

 その驚きの中身にケレスの声はふるえたが、

「まあ、俺と、アルト、それに高杉さんからの入学祝いだ!」

と、教えたジャップの声は楽し気で、

「入学祝いだって⁉ だって、発表は昨日だったのに? どうやって手に入れたんだ?」

と、驚きを隠せずにいるケレスが聞くと、

「そりゃ、一か月前には注文を終えてたし。やっと、今日、取りに行く事が出来たんだ」

と、ジャップは平然と答えたので、

「一か月も前にか⁉ もし、俺が落ちてたらどうする気だったんだよ?」

と、聞いたケレスの手がふるえると、

「ん……。そんな事は皆、考えなかった……」

と、明後日の方向を見たジャップは答えた。

「兄貴……」

 すると、そのジャップの言動でケレスの口は開けっ放しになったが、

「そんな事より、ブレザーを早く着てみろよ!」

と、わくわく感が前面に出ているジャップに言われ、

「わかった!」

と、言ったケレスも わくわくし胸が高鳴ったが、

制服のブレザーに感覚をじっくりと味わいながら袖を通した。

 そのブレザーは新品の匂いがして硬く、少し大きめのサイズだったが、

ケレスは釦を二つともきちんとかけた。

「兄貴、どうだ?」

 そして、そんなケレスが胸を張ってその姿を見せると、

「おお、良く似合ってる!」

と、嬉しそうに言ったジャップだったが、

「さて、俺はこれから用があってな……」

と、言うと、ジャップの眉は下がった。

「えっ⁉ もう、行くのか?」

 すると、寂しそうに言ったケレスの眉も下がったが、

「すまんな。じゃあ、またな!」

と、笑顔のジャップに言われ、

「兄貴! ありがとう!」

と、ケレスが笑顔で言うと、

「ああ、それ、アルトと高杉さんにも忘れるなよ?」

と、言ったジャップは頷き、去って行った。

「わかってるよ……」

 そんなジャップの背を見送りながらそう呟いたケレスは高杉の家へと戻る事にした。

 そして、高杉の家でケレスはワイシャツを着て、ブレザーを着直し、

ズボンまではいてピカピカのローファーを穿いた。

「先生、早く帰ってこないかな?」

 すると、ケレスの口から思わずこんな言葉が漏れた。

 だが、高杉は早朝から出張でおらず、明日以降にしか帰ってこないのである。

(これに、入学式以降に貰えるネクタイが揃えば、完璧だ!)

 それでもケレスは高鳴る期待を堪えきれずその恰好のまま仕事場を動き回った。

 そして、ラニーニャの仕事部屋に入り、

(姉ちゃん……。俺、合格したよ! 絶対、夢 叶えるから早く帰って来てくれ!)

と、心の中でケレスは報告した。

 すると、訪問者を知らせるドアベルが、ジーーっと鳴った。

(あれ? 今日って、休みなんだけど……)

 そう思いながらもケレスがドアを開けると、

「やあ、ケレス君?」

と、そこには爽やかな笑顔で言ったニックがいたのだ。

「へえ⁉ 早速、着たんだね。とても似合ってるよ!」

 そして、そのニックは嬉しそうに目を細め、

「ニ、ニックさん⁉ どうしたんですか?」

と、思いがけないニックの登場に驚いたケレスが聞くと、

「ははっ。君、成績がかなり優秀だったみたいだね。

 特に、特殊能力は最高得点だったみたいだよ」

と、答えたニックは一呼吸し、

「いやね。僕以外にも君を祝福したいって人がいてね。

 僕はその付き添いさ!」

と、言ったニックからケレスは爽やかな笑顔を向けられた。

「付き添い?」

 そのニックにケレスが首を傾げるとニックはある人物の名を呼び、少しずれた。

 すると、そのニックの後ろにはまさかの人物が立っていたのである。


 うぅっ……。ケレス君! もう、おめでとうしか言葉が出ないよぅ!

 本当によくがんばった!

 でも、ここはまだスタート時点だよ?

 あっ、いや、まだスタート地点でもない‼

 ここを卒業してからがスタート地点だ!

 なんで、まだまだがんばらなくっちゃね♪

 そんな君の話は続く!

 次話【ケレス、成功の先で泊まっていた絆の時計の針は動き出す】でね!

 さぁ~って、ケレス君の前に現れたのは誰でしょうか?


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