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№ 53 ケレス、思いがけない救世主に再会する

 セルファから告げられたイェンの正体にケレスは言葉を失った。

 そして、絶望の果てにラニーニャは悲しく笑う。

 そんなラニーニャに残されたたった一つの希望がラニーニャを救おうとするのだが……。

「教えてあげよう。あの方は、剣の国の帝家の次男、テイ 炎月イェンユエ様だよ。

 そして、ホン 湖藍フーラン様と、つい最近婚約を発表された……。

 長きに渡りお付き合いされていたのが、実を結んだと言う事なのだが……。

 君に、この意味がわかるかね?」

 自身の静かな笑い声の中、セルファはイェンの正体を明かした。

「帝だって? イェンユエ? ホン フーランって……。まさか⁉ あのホンさんの事か⁉」

 すると、そのセルファの言葉で次々と点と点が繋がったケレスの顔は青ざめていった。

「君の思った通りだよ。ホン様は炎月イェンユエ様の幼少期からの許嫁だ。

 そして、炎月イェンユエ様はホン様の為、御自身の国の為に、その娘の力を利用しようとしてたまでなのだよ。

 その娘の力を知っているが故にな?」

 そのケレスの顔色を見たセルファはまた大声で笑い出し、

そのセルファの言葉と笑い声にケレスは何も言えなくなってしまった。

 すると、誰かのすすり泣く声が聞こえてきた。

「そう……だったの……。

 ……最初……から、そう言って……くれれば……良かった……のに……」

 それはラニーニャのものだった。

 そして、そう言ったラニーニャは泣き崩れてしまい、

「ね、姉ちゃあぁーーーーーーん‼」

と、ケレスは叫んだが、

「さあ、こんな世界にお前の居場所はないんだ。

 早く消えなさい……。お前は、いらないのだから……」

と、言ったセルファは目を細めて朗らかに笑った。

(こいつ、何なんだ⁉ 姉ちゃんを救うとか言っておいて、消えろって……)

 そのセルファの言動に動揺したケレスは唯、その光景を見る事しか出来なかったが、

「やめてくれ。もう、そのコを自由にしてやっては、くれまいか」

と、言いながら、突如うさ爺が現れたのである。

「……ほう。まだ生きてたのかね、イズモ?」

 すると、うさ爺を見たセルファからはその笑みが消え、

(イズモ? だって、うさ爺は、ハーゼ・ホフマンだろ⁉)

と、ケレスにさらに謎が増えると、

「チビは、お前の物じゃない。お前の下らない計画の為に利用させる訳には、いかぬ!」

と、言った うさ爺はセルファをギロリと睨んだが、

「……いや、私の物さ! 貴様如きに邪魔はさせぬ‼

 消えろ、亡者め‼」

と、うさ爺を睨み返したセルファが怒鳴ると地面から槍が出現し、その槍がうさ爺の体を貫いたのだ。

 そして、貫かれた うさ爺の体からは夥しい血が溢れ出し、血の池を作ったが、

それでも うさ爺はその場に立っていたのである。

「う、嘘だ……。うさじぃーーーーー‼」

 その光景が目に焼き付けられたケレスは叫ぶ事しか出来なかったが、

「……チビ、すまぬ……儂は、ここ……までの様……じゃ……」

と、血が滴り落ちながらも優しく言った うさ爺はラニーニャの傍まで行き、その前で力なく倒れた。

「……う、うさ……爺?」

 そして、その うさ爺の躯を見たラニーニャは呆然となったが、

「亡者は死んだ。いくらお前の力でも死んだ者は生き返せない……。

 さあ、わかったであろう? これは、全てお前のせいなんだ。

 お前が私の下に大人しくいれば、この者は死なずにすんだんだ。

 わかるな? これは、全て、お前のせいだ……」

と、しゃがんでラニーニャの耳元で囁いたセルファがラニーニャの後ろから右肩に左手を置くと、

「ああぁぁああ……。あああぁぁぁぁぁーーーーー‼‼?」

と、奇声を上げたラニーニャは俯き大人しくなった。

「……さて、ヘイムダル」

 それから冷酷な顔になったセルファが徐に立ち上がると、

「はいはーーい! わかってるよ。セルファお父様☆」

と、嬉しそうにヘイムダルは返事をし、

「駄目だ‼ 姉ちゃん‼」

と、ケレスは叫んだが、

「しししっ☆ もう、あきらめなよ人の子。

 言ったろ? 僕達に喜蝶を渡した方が得策だって。

 早くそうしてれば、喜蝶、ここまで壊れずにすんだのにねぇ?」

と、楽しそうに言ったヘイムダルの声を聞くと、

「姉ちゃんは壊れてなんかない‼ 姉ちゃんは、姉ちゃんは……」

と、怒鳴ったケレスの目から涙が零れたが、

「哀れな子羊よ。神には慈悲がある。いずれ、お前にも救いは訪れるであろう」

と、セルファはその顔同様、冷酷な言葉をケレスに投げ掛けたのである。

「さあ、喜蝶。行くぞ……」

 それからセルファはケレスに背を向け歩き出したが、

そのセルファの足音に、ザクッ……という鈍い音が紛れ、

「うふふ……残念ねぇ、お父様? 私がいくべき場所は……地獄よ」

と、ラニーニャの恐ろしい笑い声と言葉がそれに続いたのだ。

「何だと⁉」

 そして、目を見開いたセルファが振り返ると顔を上げたラニーニャは瞳を開けており、

そのラニーニャは自身の左手首を短刀で深く切り付けていたのである。

(ね、姉ちゃん……?)

 ケレスは目の前の光景に愕然となった。

「ふふっ……最初から、こうすれば良かった……。

 生きたい、なんて……思わなきゃ良かったんだ……。

 そうすれば、お父さんも……お母さんも、うさ爺も、

……それに、洲之ちゃんだって死なずにすんだんだ‼」

 だが、そう言ったラニーニャは瞳を閉じて右手で血が付いた短刀を躊躇なく自身の腹に刺し、

「こ、これでいい……。謝らなきゃ……み、みん……なにぃ……」

と、途切れ途切れに言葉を発し顔を歪めたが、

血まみれの左手で腹に刺さった短刀をさらに押し込んだのだ。

「き、貴様あぁーーー‼」

 すると、それを目の前にしたセルファは狂乱した様に叫んだが、

最後の力を振り絞ったラニーニャが短刀を抜くとラニーニャの服は血で真っ赤に染まった。

「あ、あれ……? どうして? 僕、ちゃんと支配したのに⁉

 ぼ、僕は悪くないぞ!」

 そして、そう言ったヘイムダルは慌てだし、

「えへへ……。お父……様……じゃ、わ……たし……を救え……なぃ……」

と、嬉しそうに言って笑ったラニーニャは、うさ爺に被さる様に倒れ、

「喜蝶ぉーーー‼ 貴様、何度、私を裏切るんだあぁーーー‼」

と、怒鳴ったセルファはバタバタと乱暴にラニーニャの傍に近づこうとしたが、

急に辺りが身の毛がよだつ様な殺気に包まれ、その足は止まったのである。

(……な、何だ、これ……怖くて、動けない……。

 まるで心臓にナイフを突きつけられているみたいだ……)

 その殺気の中、ケレスが必死に息をしようとすると、

茶色から真っ白になったグレイプニルの鳥籠が粉々となり、ボロボロと崩れて言った。

(これって、何処かで同じ様な事が……)

 その粉々になったグレイプニルの鳥籠が風に飛ばされる中、ケレスが考えていると、

「セルファ……。これは一体、どういう事だ?」

と、言ったテイ 氷月ビンユエがケレス達の前に現れたのだ。

 だが、そのテイ 氷月ビンユエは激高しており、辺りの殺気はとどまる事を知らず増していったのである。

 さらにその傍らにはケレスぐらいの身長で腰までの癖っ毛のブラウンヘアーを靡かせた

ルビーの様な赤色の瞳に長いまつ毛の美女がいたのだ。

 その赤目の美女は色白のベージュ肌で二十代前半ぐらい、蒼色の軍服を着ており、

少し変わった形の p?を引き連れていた。

(うわ……、凄い美女。誰だ、あの人は?)

 その美女を見たケレスの頬が少し赤くなると、

氷月ビンユエ様⁉ 何故、ここに?」

と、言ったセルファには明らかに同様の色が見え、

「……この失態、どうするつもりだ、セルファ」

と、言った氷月ビンユエの目が据わってくると、

「そ、それは……⁉」

と、言葉を詰まらせたセルファの周りが真っ白に凍り付いたのだ。

「ひええぇ⁉ お、お父様ぁ‼ このままじゃ、僕達、死んじゃうーーー‼」

 すると、セルファに抱き着いたヘイムダルは涙目で叫び、

「死にたくなくばそのクソ猿諸共、二度と俺の前に姿を見せぬ事だ‼」

と、怒鳴った氷月ビンユエから殺気をぶつけられると青褪めたセルファは足を縺れさせながら逃げて行き、

そして、ヘイムダルも恐らくセルファにくっついたまま逃げた様だった。

「あーーあ⁉ こんなに血だらけになっちゃってさ!

 どうすんのよ? と言っても、このデカい人は死んでるけど……」

 それからセルファ達が消えた後、困り顔の赤目の美女が氷月ビンユエを見つめると、

「治せ」

と、言った氷月ビンユエはその赤目の美女とは目を合わさず、

「無茶言うなぁボスったら……」

と、手袋を装着しながら言った赤目の美女は口を尖らせたが、

「ピリ、頼むよ?」

と、にっこりと笑って言うとピリと呼ばれた p?はピコリン♪と鳴って

ラニーニャの傍に浮遊して行ったのである。

 そして、そのピリは数秒間ラニーニャの様子を見た後、その赤目の美女の傍に戻った。

「ふんふん……。こっちは何とかなりそうだね♪」

 そんなピリに返事をした赤目の美女は持参していた箱から何かのテープを取り出し、

それをラニーニャの傷口に次々と手際よく張り付けていった。

「よーい! ボス。止血は終わったよ。

 だけど、ちゃんとした治療しなきゃ、このコ、死んじゃうよ?」

 それから氷月ビンユエに向けその赤目の美女が合図すると、

「わかった……」

と、言った氷月ビンユエは徐にラニーニャの傍に近づいた。

 だが、

「シャーーーーッ‼」

と、威嚇した たぬてぃが氷月ビンユエの右手を引っ掻き、そこからポタポタと赤い血が流れ落ちたのである。

「何すんのよ⁉ あんたの主人を助けてあげるっていうのに‼」

 すると、眉が釣り上がった赤目の美女は怒鳴り、

「ウゥーーーーーー―ッ‼」

と、それでも たぬてぃが威嚇を続けると、

「アルデバラン、やめろ」

と、言った氷月ビンユエは優しい目で たぬてぃを見つめ、

「……お前の主人を助けたい」

と、静かに言うと、はっとした たぬてぃは、威嚇をやめた。

 それからラニーニャを抱き抱えた氷月ビンユエは無言で何処かに行こうとしたので、

「ま、待ってくれ‼」

と、ケレスは叫んだがケレスの体に電流が走り、意識が遠のいていくのがわかり、

「ごめんねぇ、あんたには用はないんだよね♪」

と、薄れゆく意識の中、アルデバランと呼ばれた赤目の美女の楽し気な声が聞えると、

(姉ちゃん……。また、俺は……)

と、思いながらケレスは意識を失った。


 ケレス君、何か凄い展開になっちゃったね。

 この後、どうなっちゃうのかな?

 君も何か気絶しちゃったし……。

 でぇーーもっ、まだまだ話は続く!

 次話からは、君のがんばりがメインの話が続くんだよん♪

 つまりはね、君のがんばりがなくっちゃ話は終わるのだよ!

 ぐぅわんばってね‼

 そんな次話のタイトルは、【ケレス、悲しみを背負い、夢を叶える一歩を踏み出す】だ!

 ……そろそろ章を設定した方がいいと思われるが、さっぱり思い浮かばにゃい……(汗)

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