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№ 51 ケレス、(音も立てずに消え去った者の行方を捜す

 光の神殿から戻ったケレス達を出迎えた者からケレスは今後の生活に関する重大な事実を聞かされる。

 それを知ったケレスが動揺していると、うさ爺のラニーニャを呼ぶ声が耳に届く。

 そして、たぬてぃと忽然と行方をくらませたラニーニャを探すケレスだったが、

ラニーニャが考えている恐ろしい事を想像したケレスの足は止まってしまう……。



 ケレス! お兄ちゃん!」

 ケレス達を出迎えた意外な人物。

 それは、そう叫んだミューだったが今にも泣きそうな顔をしていた。

「ミュー⁉ 無事だったんだな!」

 そんなミューの無事な姿を見て、ほっとした顔のケレスが声を掛けると、

「心配したんだから‼ 危ない目に合わせちゃったのに、ケレスったら勝手にいなくなるし!

 私が、どれだけ……」

と、言いながらケレスに抱き着いたミューはケレスの胸の中で泣き出してしまった。

「おー、おー、ミュー。仲が良いのはいいが、場所を弁えろよ?」

 そんなミューは苦笑いをしているジャップに注意されると、

「そ、そうだった⁉」

と、言って、勢いよくケレスから離れたミューは赤面しており、

「ごめん、ミュー。色々あってさ……」

と、言ったケレスも頬が熱くなったが、

「てか、ミュー。どうしてお前がここに?」

と、そんなミューにケレスが聞くと、

「んっもう! 前もそうだったけど、いなくなったのはケレスの方でしょ?

 まあ、いいけど……。私は王族としての仕事があったの」

と、眉が下がったミューは答えた。

「王族としての仕事?」

 そして、そう言ったケレスが首を傾げると、

「そう! ケレスと別れてから、昴は大変な事になっちゃったの。

 あの後も何度も大きな地震があったせいで、今は人が住める状態じゃないんだ……。

 でね、私達は昴の人達の避難場所を見当してたの。

 そして、話し合いの結果、その避難場所がニョルズに決まったの!」

と、頷いて にっこりと笑ったミューから驚愕の事実を知らされた。

「ニョルズに⁉ どうして?」

 そのミューの言葉を聴いたケレスの顔は青ざめたが、

「どうしてって……。水鏡の国はまだ魔物がいるし、そいつ等が荒らしちゃって大変なの。

 それに、実はニョルズは祟り神の影響を受けてなかったんだ!

 だから、環境もいいし、花梨を含めて昴の人達の静養場所としてニョルズが最高じゃない?」

と、一瞬きょとんとした顔になったミューから言われ、

「それは駄目だ‼ 違う場所にしてもらってくれ‼」

と、焦ったケレスが怒鳴ると、

「何を言ってるの⁉ 昴の人達が困ってるのに‼」

と、眉を顰めたミューから怒鳴り返された。

 ケレスは先程の うさ爺の言葉の真意がやっとわかった。

(……うさ爺、こうなるって、わかってたのか?

 だから、あんな事を言ったのか?

 昴の奴等と姉ちゃんは、絶対交わる事はない! くそっ、どうしたらいいんだ⁉)

 どうする事も出来ない闇の中でケレスは頭を抱えていた。

 すると、

「チビ⁉ 何処に行ったんじゃぁ‼」

という、焦った うさ爺の叫び声が聞こえ、

「えっ? 姉ちゃん⁉」

と、我に返ったケレスが うさ爺の所へ行くと、うさ爺とイェンが慌てていた。

「姉ちゃんがどうかしたんですか?」

 そんな うさ爺達にケレスがそう聞くと、

「いなくなったんじゃ‼ 恐らく、忍び足を使ったんじゃろう‼」

と、青褪めた顔の うさ爺は答え、

「忍び足? それって、たぬてぃと協力するやつか?」

と、ケレスが聞くと、

「そうじゃ! 人等から感ず枯れぬ様に、完全に己の気配を消すんじゃ‼」

と、青褪めたままの うさ爺は答え、

「じゃあ、どうすればいいんだよ?」

と、拍動数を上げた心臓から急かされたケレスは聞いたが、

「言い合ってる暇があれば、さっさと姉さんを探すんだ‼」

と、フェイトの怒号が飛び、ケレス達はそれぞれラニーニャを探し始めた。

(姉ちゃん……。何処に行ったんだ? 馬鹿な事を考えなきゃいいけど……)

 ケレスはそう思いながらラニーニャを探し続けていた。

 だが、

「……長殿。いるんだろ?」

と、言ったケレスの足は止まってしまった。

「……何じゃ?」

 すると、ケレスの頭の上から静かな長の声が聞こえ、

「長殿。長殿なら姉ちゃんの居場所がわかるんじゃないのか?」

と、真直ぐ前を見ているケレスが聞くと、

「残念じゃが、あの野蛮精霊の力のせいで、わからぬ……」

と、悔しそうに答えた長の声が聞えた。

「どうしたらいいんだ? 俺、姉ちゃんが馬鹿な事を考えてる気がするんだ。

 どうしよう、長殿。姉ちゃん、きっと……」

 それから俯いてしまったケレスが言葉に詰まると、

「きっと、何じゃ?」

と、長から聞かれ、

「……きっと、姉ちゃん。死のうとしてる」

と、ふるえた声のケレスが答えると、

「……どうして、そう思うのじゃ?」

と、暫く沈黙した長に聞かれ、

「姉ちゃん、一人になりたがってた。この世界に、笑って生きていける居場所がなくなったから……。

 自分が、俺達を不幸にするって勘違いしてるから……」

と、答えたケレスの頬を温かいものが伝わった。

「儂には人の子の気持はわからぬが……。そういった時、人は何処で最期の時を迎え様とするんじゃ?」

 すると、長にまた聞かれ、

「何処って言われても……」

と、言ったケレスは考えた。

(俺なら、どうする? 俺なら、死ぬ前に大切な人に会いたい……。

 姉ちゃんもそうなら、俺達以外に誰がいるんだ?)

「姉ちゃんのお母さんに会いに行くとか……」

 そして、ケレスは思いついた事を言葉にした。

 すると、

「じゃが、あの娘の母は死んでおるのであろう?」

と、長に言われ、

「そ、そうだけど……。思い出の場所とか? て、言っても、俺にはわからない……」

と、言ったケレスはグシャグシャッと頭を右手で掻いたが、

「……なら、あそこかもしれぬ」

と、長の呟く声が聞えた。

「長殿⁉ 何か心当たりでもあんのか?」

 その長の呟きに思いっきりケレスが顔を上げると、

「あのアスチルベがあった所じゃろう」

と、答えた長の声が聞こえ、

「アスチルベって、あの光るアスチルベのあった所か?」

と、その長にケレスがまた聞くと、

「そうじゃ」

と、答えた長のコクンと頷いた振動が伝わり、

「何で、そこが思い出の場所なんだ?」

と、ケレスが聞くと、

「……あそこは、あの娘の母が眠っている場所での、

あの娘の母も少しばかりじゃがダーナの力があったのじゃ。

 だから、あの場所にはあの娘の母のマナがある。

 そして、あのアスチルベはこの世で最後にあの娘に残された母を感じれる墓標だったのじゃて」

と、静かに答えた長の声が聞えた。

「そうだったのか……」

 長から聴かされた新たな事実に胸が締め付けられたケレスの声が小さくなると、

「そうじゃな。じゃが、アスチルベはなくなってしまった。

 母を感じれぬ所では、意味がないのかもしれぬが……」

と、長は寂しそうに答えたが、

「長殿! きっと、そこだ!」

と、確信したケレスの声は大きくなり、鳳凰島へ向かう事にした。

 しかし、鳳凰島に向かう為、浜辺まで来たケレスだったが、

「で、俺はどうやって鳳凰島まで行くんだ⁉

 そもそも、姉ちゃんはどうやって鳳凰島に行けるんだ⁉」

と、頭を抱え、今更ながらの事を口にしてしまった。

 すると、

「あの娘はダーナじゃから、精霊や霊獣に頼んでいつもは渡っておったみたいじゃ」

と、冷静でいる長に教えられ、

「いつも? どういう事だよ?」

と、聞いたケレスが首を傾げると、

「あの娘は年に一度、墓参りをしておったのじゃよ。昴から堕とされた日にの。

 そして、あの場所で母を感じておったみたいじゃな」

と、長が答えたので、

(そうだったのか……。

 それで、ダーナの実り祭りの前夜祭の日に姉ちゃんが昴に行ってた訳がわかった)

と、また新たな事を知ったケレスは一つ息を吐いた。

「長殿。俺、どうやったら鳳凰島に行けるか?」

 そして、そんなケレスが長に聞くと、

「そうじゃな……。迎えが来たみたいじゃぞ?」

と、長が答えると同時にケレスの目の前の海面から小さな浦島が泳いで現れたのだ。

「浦島⁉ どうして、お前がここに?」

 その浦島を見たケレスが目を丸くすると浦島は両前足を上下に動かして海面をバシャバシャと叩き、

水しぶきをあげてケレスに何かを伝え様としたが、

「……浦島、何が言いたいんだ?

 あぁっ! こういう時、兄貴とかがいたら良かったのにぃ‼」

と、言ったケレスは頭を抱えてしまった。

「小童を鳳凰島に連れて行くと言うておる」

 すると、落ち付いている長の声が聞こえ、

「えっ⁉ 本当か? でも、その大きさでどうやって連れて行ってくれるんだ?」

と、言ったケレスの顔は綻んだが首を傾げてしまった。

 それから浦島がそんなケレスに背を向けると、

「ふぅ……。儂も協力するかの」

と、溜息交じりに言った長の体が薄橙色に光出し、

「長殿? 何をするんだ?」

と、その光を見ながらケレスが言うとその光は浦島へと降り注がれ、

浦島はケレスを乗せれる程の大きさとなった。

「浦島がデカくなった⁉ どうなってんだ⁉」

 その浦島の変貌にまたケレスの目が丸くなると、

「なーに。儂の力をその亀小僧に分け与えたまでの事じゃ。

 ほれ、そのぐらいになれば小童でも乗れるじゃろう?」

と、言った長はケレスの頭の上でごそごそと動き回り、座る位置を変えた。

「分け与えるって……。本当に、長殿は何でも出来るんだな」

 そんな長にケレスは感心したが、

「ふぬ? そんな事より、早く亀小僧に乗り込むのじゃ‼」

と、言った長は何故か剥れ、ケレスの頭の上でピョンピョン飛び跳ねたので、

「だあぁ‼ わかってるよ‼

 ……ったく、何で怒ってんだ?」

と、愚痴を漏らしながらもケレスは浦島に乗り込んだ。

 すると、そんなケレス達のやり取りを全く気にしない浦島は沖へと進み始めた。

「ところで浦島。どうして、お前ここにいるんだ?」

 それから海の上でふと気になった事をケレスが聞くと、

「青色童に頼まれたそうじゃ」

と、長が答え、

「アルトにか⁉ てか、アルトは無事なのか?」

と、アルトを思い出したケレスが聞くと、

「あの老婆と屋敷牢に閉じ込められてはいるが、無事みたいじゃぞ」

と、長がまた答え、

「そうか……。無事なのはいいけど、心配だな……」

と、言ったケレスが大きな溜息をつくと、

「まあ、今は、あの娘の事を優先させるのじゃ」

と、長に言われ、

「そうだな……」

と、言ったケレスは鳳凰島までの時間を無言で過ごした。

 それから鳳凰島に着いたケレスは小さくなった浦島とアスチルベがあった場所へ向かった。

 だが、向かった先でケレスの足は止まってしまったのである。


 ケレス君、人の忠告はきちんと聞かなきゃ駄目だぞ?

 そんな事だから、デリカシーがないって言われるんだ!

 って、そんな事を言ってる場合じゃない‼

 早くラニーニャちゃんの所に向かうんだ‼

 じゃなきゃ、取り返しのつかない事になっちゃうぞ‼

 そして、そんな次話のタイトルは、【ケレス、母の墓標に縋る姉の思いを知る】だ!

 あっ⁉ でも、その前に最終回【番外編 龍宮 アルトの憂鬱 12】をよろしく!

 そして、重大な発表もあるので、そちらもよろしくにゃのだ☆

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