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№ 48 ケレス、光からの使者より導かれし者と合流する

 ラニーニャの命の灯は消えかけていた。

 だが、ケレス達はどうする事も出来なかった。

 すると、そんなケレス達の前にあの人物が現れ、ある場所へとケレス達を導く。

 そして、その場所に行く途中 新たな驚愕の真実を知ったケレスに残された希望とは……。

「やめろ‼ 赤いの‼ こいつ等、人の皮を被った悪魔だ‼」

 その客間中に響く声で怒鳴った者。

 それは、フェイトだった。

「フェ、フェイト⁉ お前、どうやってここに?」

 そのフェイトにジャップが目を丸くすると、

「話は後だ‼ こっちに来い赤いの‼」

と、怒鳴ったフェイトは何処かへ案内を始めた。

 そして、ケレスがそのフェイトに付いて行こうとすると、

明石は憤怒の形相でフェイトを睨みつけていたのだ。

(明石さん……。どうして、姉ちゃんをそこまで憎むんだ?

 それにフェイトにもあんな顔するなんて……)

 ケレスにはわからなかった。

 何故明石が今のこの世界においてラニーニャをそこまで憎むのか。

 その憎しみがフェイトにまで向けられているのかを。

 だが、考えても答えは出ず、ケレスの胸に何かがチクリと刺さっただけだった。

 そして、俯いたケレスは客間を後にした。

 それからケレス達が廊下を走り鼓と別れた場所へと戻ると、

「あっ⁉ フェイトちゃん!」

と、そこには手を振りながらそう言った未来が待っていた。

 そして、その未来の周りではケレス達を取り囲んでいた全ての者達が氷壁の外に追いやられており、

さらに、その未来の隣には、ヨルと鼓がいた。

「未来⁉ お前まで、どうしてここに?」

 その未来に目を丸くしたケレスが聞くと、

「話は後! ダーナの人は?」

と、眉を顰めた未来は聞き返してきたが、

「あいつ等なんかに期待するだけ時間の無駄だ! さっさと行くぞ‼」

と、明らかに不機嫌なフェイトが答え、

「そ、そう……」

と、眉が下がった未来が悲しそうに言うと、

「こちらですわ!」

と、言った鼓が何処かに案内を始めた。

 それからそんな鼓に案内されケレス達が龍宮家を後にして乙姫に乗り込むと、

乙姫は鼓が命じなくとも何処かへとすいすい泳いで行った。

「なあ、これから何処に行くんだ?」

 その乙姫の背でケレスがそう聞くと、

「鳳凰島さ!」

と、不敵に笑ったフェイトが答え、

「ホウオウトウ?」

と、言ったケレスが首を傾げると、

「水鏡の国の島の一つだよ。

 自然豊かな島で、その美しさから鳳凰の名が付いたんだ」

と、アルトから教えられたが、

「自然豊かねぇ……」

と、フェイトが意味深な言い方をしたので、

「フェイト? 何が言いたい?」

と、不思議に思ったケレスが聞くと、

「龍宮のお坊ちゃん。鳳凰島が豊な理由を知ってるかい?」

と、フェイトはアルトを意地の悪い目で見ながら聞いて来た。

「それは、世界樹から水鏡の泉へマナがいき、それが流れつく最初の島だからじゃないのかい?」

 すると、アルトはそう即答したが、

「それだけじゃあねえんだよ。龍宮のお坊ちゃん?」

と、言ったフェイトはアルトを小馬鹿にする様に笑い、

「じゃあ、どんな理由があるのかい?」

と、怪訝そうな顔になったアルトが聞くと、

淦丸島アカマルトウって知ってるか?」

と、そのままの態度でフェイトは聞いてきた。

「アカマルトウ?」

 そして、ケレスがまた首を傾げると、

「水鏡の国の最南端にある島だよ。だけど、そこは……」

と、ここまで話したアルトが言葉に詰まったので、

「そこは何なんだ?」

と、ケレスが聞くと、

「そこはな、昴の奴等の罪人が配流先だ」

と、冷たい眼差しになったフェイトが静かに教え、

「はいる? どういう意味だ?」

と、ケレスが聞くと、

「簡単に言えば島流しさ。罪人を本土から離す追放刑だよ」

と、眉を顰めたアルトは言い難そうに答えた。

「そんな所があったのか⁉」

 アルトのその答えでケレスの目が丸くなると、

「でも、それは昔の事で、現代においてそこは唯の無人島のはずだ」

と、怪訝そうな顔のアルトは言ったが、

「それがな、つい最近そういう島へ戻ったんだぜ?」

と、言ったフェイトは人を小馬鹿にする様に笑い、

「どういう事だよ? わかる様に言ってくれ‼」

と、その態度にイラっとしたケレスが怒鳴ると、

「へなちょこにもわかる様に言ってやる!

 十六年前のダーナの前夜祭が行われた後、淦丸島で姉さん達は捨て殺される事が決まったんだ‼

 そして、姉さんの目の前で姉さんの両親は斬首されたんだよ‼

 さらに、姉さんの母さんは鳳凰島に、

父さんは二度と姉さんの母さんと交わる事がない様に海に埋葬されたんだ‼」

と、怒鳴り返したフェイトから驚愕の真実を知らされた。

「姉貴の両親がか⁉ どうしてだ‼」

 そして、その事実を初めて知ったジャップは血相を変え、ケレスは高杉の話を思い出した。

(先生が言ってた通りだ! じゃあ、フェイトは……)

 そして、フェイトの心情を考えたケレスの心は苦しくなった。

 ラニーニャの両親がそんな目に合ったのならば、姉弟であるフェイトの両親も同じという事になる。

 そう考えるとフェイトが哀れでならなかった。

「理由なんて知らねえがよ、淦丸島で殺された奴を慰霊する為の島が鳳凰島なのさ。

 そして、昔からそこにいらなくなったダーナの者も埋葬されていた……。

 まあ、ダーナの亡骸は土に返ればその土地を豊かにするからな!

 だから鳳凰島は豊かなんだよ‼」

 だが、そんなケレスの心境を知らないフェイトは声を荒げて言う事を続け、

「う、嘘だ⁉ そんな事信じられない‼」

と、眉間に深いしわが出来ているアルトも声を荒げて言ったが、

「お前が信じられなくても、事実、昴の奴等はそうやってきたのさ。

 邪魔者を世界から抹消し、隠してきたんだよ!」

と、言ったフェイトは高々に笑い、それを聴いたケレス達は何も言えなくなってしまった。

 すると、

「……そこに何故向かっておるのじゃ?」

と、静かな長の声が聞こえ、

「はあっ? わかってんだろ! このクソ鼠が‼」

と、フェイトが怒鳴りつけると、

「じゃが……」

と、長は言葉を詰まらせてしまい、

「クソ鼠! 文句あんのか? まあ、てめぇじゃどうする事も出来ねえがな!

 おい! 赤牛‼ てめぇは文句言わず協力しろよ‼」

と、それに満足したフェイトが怒鳴ると、

「モウ、モウ……」

と、ジャップの左肩にいるベコが悲しそうに鳴いたが、

「ベコ? フェイトに協力すんのか?」

と、ジャップが優しく聞くと、

「ウモウーーーゥ‼」

と、ベコはやる気を見せるかの様に叫んだ。

「よしっ! ぜってぇ裏切んなよ‼」

 そして、それにも満足したフェイトが頷くと、

「見えました! 鳳凰島です!」

と、鼓の叫び声が聞こえ、ケレスの目の前に太陽に照らされ木々がキラキラ輝く島が見え始めた。

「あれが鳳凰島か⁉」

 その島を見たケレスが大声を出すと、

「ああ、そうさ。さっさと上陸すんぞ‼」

と、フェイトに言われ、ケレス達は鳳凰島に上陸し、

それから鳳凰島に上陸したフェイトは林の中をどんどん島の奥へと進んで行った。

「な、なあ、フェイト。何処まで行くんだ?」

 そんなフェイトを不思議に思ったケレスが追い掛けながら聞くと、

「黙って付いて来い、へなちょこ!」

と、真直ぐ前だけを見て答えたフェイトはさらに歩みを進め、

それから一〇分程歩くと、木々が開けた所へ到着した。

「あっ! あれは、アマテラス様の使い⁉」

 そこでケレスは叫んだ。

 何故なら、ケレス達の前には細かく連なった薄桃色に光る小さな花が咲いた植物があり、

その花の上をアマテラスの使いがひらひらと楽しそうに飛んでいたからである。

「あの花は何の花だ?」

 そして、その花を見たケレスがそう聞くと、

「あれは、アスチルベだね」

と、アルトが答え、

「アスチルベ? それって光る花なのか?」

と、ケレスがまた聞くと、

「アスチルベ自体は至って普通の花だよ。だけど、何故あのアスチルベは光ってるんだ?」

と、答えたアルトは首を傾げたが、

「やい、赤牛‼ さっさとそれを食いやがれ‼」

と、フェイトがベコに命令したので、

「フェイト⁉ ベコ殿にそれを食べさせるのか?」

と、ベコに何をやらせたいのか全くわからないケレスが聞くと、

「ああ。そうさ!」

と、フェイトは笑いながら答えた。

「なあ、フェイト。ベコにこれを食わせるのと、姉貴を助けるのと何の関係があるってんだ?」

 だが、そのフェイトの不可思議な行動に疑問を持ったジャップが動かずにいると、

「そんなんはやればわかんだよ!

 赤いの! さっさとその赤牛にその植物をやりやがれ‼」

と、怒鳴ったフェイトの言葉からではその疑問を払拭する事は出来なかったが、

「ああ、わかった……」

と、言って、もやもやしているジャップがベコを光るアスチルベに近づけると、

「ウマ、ウマ、ウマ……」

と、鳴きながらベコはアスチルベをガツガツと食べ始め、

それからベコは自身より何十倍の大きさはあるアスチルベをひたすら食べ続けた。

「なあ、未来。お前達どうやってここまで来たんだ?」

 そんなベコの様子を静かに見守っているケレスがそう聞いてみると、

「おじさんが連れて来てくれた……。

 おじさん、遠い所まで行く漁師なの」

と、俯いている未来は答え、

「おじさんって、あの人か?」

と、ケレスが問いを重ねると、

「おじさん、本当はあんな事したくなかった。

 だけど、アルタルフの為、仕方がなかった。

 協力すれば、ダーナの人がアルタルフを救ってくれるって言われてたみたい」

と、頷いた未来は悲しそうに答え、

「そうだったのか……」

と、言ったケレスの胸は苦しくなり俯いたが、

「これぐらいで罪滅ぼしなんかになんねえからな‼」

と、フェイトから怒鳴りつけられ、

「フェイトちゃん……」

と、言った未来は一粒の涙を落としてしまったが、

「……フェイト、そんなに未来を責めるな。未来が悪い訳じゃねえだろ?」

と、言ったジャップがフェイトの右肩にぽんっと左手を置いた。

「赤いの……」

 すると、そう言ったフェイトは気まずそうな顔になったが、

「まあ、お前が危険を察し、未来と合流しここまで来てくれたとして……。

 何でこうする事が姉貴を助ける事になるってわかるんだ?」

と、ジャップに優しく聞かれると、

「ああ、そんな事か……」

と、言ったフェイトの顔は少し緩み、ある事を話し始めた。

 ケレス君!

 まさかの人物の登場に驚いてくれたかね?

 しっかし、相変わらずフェイト君は怒りっぱなしだね!

 そして、ベコ殿の「ウマ、ウマ、ウマ……」(笑)

 そんなフェイト君の秘密も少しばかし知れた事で次話のタイトルを言っておこう!

 そう、【ケレス、晴れた世界に笑顔の花は咲き乱れる】だ!

 何かいい事、ありそうなタイトルでしょ♪

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