表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/58

№ 39 ケレス、孤独だった青年が発した言葉でその苦悩を知る

※まずはお詫びを言わせてくでせぇ……。

 多くの間違いがある本作ですが、改めて確認すると、やっぱ間違えてました(汗)

 で、「ヤン」さんですが、正確な発音は「イェン」!

 一応修正は終わっておりますが、今後からは「イェン」でよろしくお願いいたします!

ーー

 水鏡の国に到着したケレス達は浦島に乗り龍神の滝を目指す。

 そして、龍神の滝に近づいたケレス達の目の前には恐ろしい光景が広がっていた……。

 水鏡の国に到着したケレス達だったが、そこはバケツをひっくり返した様などしゃ降りの雨だった。

 プレジャーボート内の部屋の中にいても叩き付ける雨の音が聞え、

まるで今後の悪い行く末を案じている様だった。

「いよいよだ!」

 それでもケレスが悪い未来を振り払う様にそう言って気合いを入れると、

「そうじゃな!」

と、ケレスの頭の上にいる長もそう言って同じ様に気合いを入れ、

「なあ、長殿。俺、欲張りだからさ、みんなが助かる方法を最後まで考えるつもりだ!」

と、ケレスが覚悟を伝えると、

「そうじゃな。儂も最後までそうある様に考えるつもりじゃ」

と、言った長が大きく頷いたので、

「へぇ! 長殿、そう言ってくれるんだ⁉」

と、意外な長からの返答にそう言ったケレスの顔が綻ぶと、

「ふむ。儂も色々と考えたのじゃが、あの娘が一番望む事はそれじゃろうて」

と、言った長は深く息を吐いた。

「うん。そうだ!」

 そして、その長の意見も嬉しく、そう言ったケレスが大きく頷くと、

「じゃが、かなり厳しい事態じゃて」

と、長から厳しい現実をも話されたが、

「うん。そんな事はわかってる!

 だけど、それを打開しなきゃ姉ちゃんを救えないさ!」

と、凛々しい顔でケレスがその現実に立ち向かう覚悟を示すと、

「ふむ。小童も言う様になったわい!」

と、言った長からケレスは頭の上でピョンピョン飛び跳ねられたので、

「だあぁ‼」

と、長のその行為で叫んでしまったケレスは折角の決めポーズが崩れてしまったが、

「気合いを入れるのじゃ‼」

と、大声で言った長から一段と大きく飛び跳ねられ、

「へへっ! ありがとう、長殿!」

と、ケレスが笑顔で言うと、ジャップとアルトの婆やが一緒に部屋に入ってきた。

「おお! ケレス。いい顔してんな!」

 すると、そのケレスの顔を見てそう言ったジャップの顔は晴れ、

「兄貴こそ!」

と、言ったケレスは笑顔でも返し、

「ケレス様。作戦をお話しいたしますね」

と、話に入って来たアルトの婆やの手には見覚えのある霊獣がいたので、

「そ、それは、浦島⁉」

と、驚いたケレスが叫んで瞬きすると、アルトの婆やは作戦の内容を話し始めた。

 作戦は、アルトの婆やが囮となりケレス達は浦島に乗って龍神の滝へと向かうものだった。

「でも、あなた一人で大丈夫なんですか?」

 その作戦を聴き終わったケレスの眉は下がりそう聞いたが、

「ほほ……。その様な心配は無用です!」

と、静かに笑ったアルトの婆やから自信を見せる様に答えられた後、

「あなた様方は先に龍神の滝へ向かってください。

 私は何とか、アルトお坊ちゃまとイェン様、それにハーゼ様を救出してみせます」

と、指示され、

「わかった。じゃあ行くぞ、ケレス!」

と、言ったジャップは頷き、ケレス達は浦島に乗り込む事となった。

 それから、

「浦島。頼みましたよ」

と、ケレス達が浦島に乗り込んだ後にアルトの婆やが言うと、

浦島の周りに水の泡が出来、ケレス達は雨から守られた。

「これって、イヴさんやアルトのあれか?」

 そして、その泡を見たケレスがそう言うと、

「そうです! 水の盾の一つ、冬夏青々です。

 アルトお坊ちゃま達には少々劣りますが、私にも出来ますの

 さあ、御二方。行ってください!」

と、アルトの婆やから言われた浦島は海の中へと潜り、暗く深い海の中をどんどん泳いで行った。

「相変わらず凄いな……。前から思ってたけど、どんな原理だよ?」

 そんな暗い海の中を何事もなくいれる事に圧倒されたケレスがそう言うと、

「ふむ。以前も言ったが、これは水鏡の国の者、それも龍宮家の者が使う水の盾 冬夏青。

 この冬夏青はこの泡の中にいる者を外のものから守るのじゃ」

と、ケレスの頭の上にいる長が説明したが、

「よくわからないけど……。俺達を守ってくれてるんだな!」

と、とりあえずそう理解したケレスが苦笑いしながら言うと、

「そうじゃ。この冬夏青の守りはあの老婆の意志と思えばよい」

と、長は言ったが、

「ふーーん……。じゃあ、アルトの婆やさんは龍宮家の者って事になるな」

と、それに気付いたジャップが呟く様に言うと、

「……そういう事じゃな」

と、暫しの沈黙の後、そう言った長の暗い声が聞えた。

「兄貴⁉ アルトの婆やさんは裏切ったりしないよ‼」

 そして、そのジャップ達の態度に焦ったケレスがそう訴えると、

「だろうな。だが、本当に危険な目に合わせちまってんのかと考えると、何となく、な……。

 それに、龍宮一族と言えばかなりの御家柄だ。

 姉貴を無事に取り戻したとしても、アルトの婆やさんには何らかのお咎めがあるだろうぜ?」

と、険しい顔のジャップから言われ、

「うん……」

と、その言葉を噛みしめたケレスが俯いてしまうと、

「こぉーーーれ‼ しっかりせぬかぁ‼

 その様な顔をしておっては何も救えぬぞ‼」

と、怒鳴った長からピョンピョン飛び跳ねられ、

「だあぁ! わかってる‼」

と、言ったケレスが顔を上げると、

「そうさ、ケレス。俺達絶対に姉貴を助けるんだ!」

と、陽気に言ったジャップはケレスの左肩をバシバシ叩いていたが、

「ん!っ? 浦島。もう着くのか?」

と、言ったので、

「兄貴……。アルトもだけど、どうして兄貴達は霊獣の言葉がわかるんだよ?」

と、言ったケレスの左口角がピクピク動いたがそれを無視し、浦島はどんどん浮上していった。

 それから浦島が浮上すると、外は暗く雨はまだ異常なくらい激しく降り続いていたが、

それでもケレス達がその雨に濡れる事はなかった。

「なあ、兄貴。今、何時くらいだ?」

 そして、アルトの婆やの冬夏青に守られている中でケレスがそう聞くと、

「そうだな。正確には言えんが、恐らく昼前だ」

と、ジャップは冷静に答えたが、

「それにしては暗すぎじゃないか?」

と、周りの異常な暗さに違和感を持ったケレスが言うと、

「そうだな。何か変だ……」

と、同じ意見を持っていたジャップはそう言った。

 そう、ケレス達の周りでは暗いだけでなく何とも言えない嫌な雰囲気が漂っていたのだ。

(嫌な予感がする……。姉ちゃん、アルト。それに、イェンさん、うさ爺、みんな無事でいてくれ!)

 その雰囲気の中で虫の知らせを感じたケレスがそう願っていると、

ケレス達の目の前がカメラのフラッシュが焚かれた様に眩しく光った。

「な、何だ⁉ 雷?」

 そして、その光に驚いたケレスがそう叫ぶと、

「こ、これは……。龍宮の娘め、早まりおったな⁉」

と、焦った長の声が聞こえ、

「長殿⁉ どういう意味だ?」

と、ケレスが聞くと、ケレス達の周りの水辺にその光が浮かびながら流れ着いて来た。

 すると、

「この光って……。まさか、姉貴のマナ⁉」

と、その白銀の光の正体に気付いて叫んだジャップは青褪め、

「そうじゃ! 龍宮の娘の奴。あの娘のマナを断ち切り負ったのじゃ‼」

と、そう言った長の怒りにふるえる声が聞こえたので、

「マナを断ち切る⁉ どういう事なんだ?」

と、この状況に焦ったケレスが聞くと、

「よいか! 水鏡の国の者の中には水の盾以外、水の矛を使える者がおる。

 水の矛とは、マナを断ち切る矛の事じゃ。

 そして、龍宮の娘の奴はその内の一つ、衡陽雁断コウヨウガンダンを使い追った!

 その衡陽雁断の矛でマナを断ち切られた者は……」

と、途中まで答えた長だったが言い難そうにし、沈黙した。

「マナを断ち切られるとどうなるんだ?」

 それからその長の態度に息を飲んだケレスが聞くと、

「体からマナが出ていく。俺がそうなった様にな……」

と、長の代わりに険しい顔のジャップが答え、

「その後はどうなるかって聞いてんだ‼」

と、息が出来ない程焦っているケレスが怒鳴ると、

「衡陽雁断の矛で傷付けられたままじゃと、あの娘のマナは出尽くし、死に至るじゃろう」

と、長は静かにその終着点を話した。

「そ、そんな⁉ 姉ちゃんを早く助けなきゃ‼」

  すると、そう言ったケレスの声は大きくなったが、

ドンッ!と衝撃があり浦島はその場から動かなかったので、

「どうしたんだ浦島⁉ 早く進んでくれ‼」

と、その場から動けない事に苛立ったケレスが怒鳴ると、

「これは……、龍宮の娘の冬夏青⁉

 龍宮の娘め、儂等をあの娘に近づけさせぬ気じゃ‼」

と、この状況を理解した長から言われ、

「そんな⁉ 何とかしてくれ長殿‼」

と、ケレスが言ったその時、

「姉貴ぃーーーーーーー‼」

と、耳を貫くジャップの叫び声が響いた。

「兄貴⁉」

 そう言ったケレスがジャップが見ている方を見ると、そこには背筋が凍る様な光景があった。

 ケレスが見た光景は、龍神の滝の前にある龍神の岩に縛り付けられ、

その胸からマナが溢れ出しているラニーニャの姿だったのだ。

 そのラニーニャは意識はなく、溢れているマナの光で照らされているその顔は死人の様だった。

「ね、姉ちゃぁーーーーん‼」

 そのラニーニャを見て狂乱したケレスは叫んだ。

 しかし、ラニーニャはぐったりとして反応はなかった。

「長殿! 頼む‼ いつもみたいに何とかしてくれ‼」

 そして、何とかしたい一心でケレスはそう怒鳴ったが、

「無理じゃ」

と、長はその一言だけで終わらせ、

「どうしてだ⁉」

と、納得できないケレスが怒鳴ると、

「儂の力はマナを〇か一にする力。

 そして、水の盾と矛は水のマナ以外に使用者の意志が強固に絡んでおる。

 強固な意志に固められた水のマナは最早マナではなく使用者の心そのものとなっておる故、

その使用者の意志がある限り、水の盾や矛を儂の力で壊す事は出来ぬのじゃ‼」

と、悔しそうに言った長は体をふるわせ、

「そ、そんな……」

と、長の言葉で一瞬絶望を感じたケレスはその場に崩れる様に座り込んでしまった。

 すると、

「姉上‼ やめてください‼

 こんなのは間違ってる‼ 先輩を解放してください‼」

と、叫びながら水の上を走って来たアルトがイヴの冬夏青の壁を叩き出し、

「ア、アルト⁉」

と、そのアルトに気付いたケレスは立ち上がってアルトの傍に行ったが、

「ケレス、遅かったんだ……。すまない、僕が停めなきゃいけなかったのに……」

と、言った ずぶ濡れのアルトの顔は絶望に満ち、ぼろぼろと涙を流し叩くその手を停めたので、

「遅くなんかない‼ 早くこの水の盾をどうにかするんだ‼」

と、まだあきらめていないケレスが怒鳴ると、

「無理だよ……。姉上の水の盾を壊す事は誰にも出来ない」

と、言ったアルトは俯いてケレスから顔を背けてしまった。

「なあ! そんな事を言うな‼ 方法は本当にないのか?」

 だが、そのアルトの両肩をしっかりと握ったケレスがそう聞くと、

「……水の矛なら」

と、呟く様にアルトは答え、

「水の矛⁉ それって、イヴさんが使える技の事か?」

と、その言葉を聴いたケレスが確認すると、

「僕達、龍宮一族なら使えるよ……」

と、頷いたアルトはぽつりと呟く様に言ったので、

「じゃあアルトなら出来るんじゃないか!

 頼む! 姉ちゃんを……」

と、そのアルトの言葉に希望の光が見えたケレスはそう言ったが、

「無理だよ……。姉上の水の盾を壊す水の矛なんて、この世に存在しないから。

 それにね、出来ないんだ。僕じゃ……」

と、首を横に振りながらそう言ったアルトはその希望を打ち壊した。

「どうして⁉ お前は龍宮一族なんだろ?」

 そのアルトの言葉に驚いたケレスは聞いたが、

「僕は、落ちこぼれだから……。

 そんな落ちこぼれの僕は水の矛だけでなく、水の盾さえ使えないんだ‼」

と、アルトはそのむしゃくしゃした気持ちをケレスにぶつける様に怒鳴りつけ、

「アルトが落ちこぼれだって⁉」

と、その言葉を聞いたケレスが言葉を失うと、

「そうさ! 僕は龍宮一族の落ちこぼれさ‼ 

 だから、それを言われたくなくて ずっと宝珠の国に逃げてたんだ‼」

と、アルトは隠していた秘密を暴露したが、

「でも、アルトはバルに見せた時とか、ミラの時にだって水の盾は使ってたじゃないか?」

と、戸惑ったケレスが言うと、

「あんなのは遊び程度さ! あんなのじゃ水の盾とは言えないよ!

 それに、あれは浦島の協力があってこその術で、僕一人ではこんな道を作る程度しか出来ないんだ‼」

と、自身が作った水の盾の道を見て怒鳴ったアルトは拳を握り締めた。

「アルト……」

 一度も見せた事のないアルトの情けない姿に、またケレスは言葉を失ってしまった。

 だが、聞きたくもないあの楽し気な声の持ち主がその声と共に姿を現した。


 ケ、ケレス君⁉

 大変な事になってたでしょ?

 うわわ⁉

 ど、どうすればいいの?

 しかも、あいつまで加わるんだよ⁉

 焦るなって言われても……。

 とりあえず次話のタイトルは伝えとくね!

 次回、【ケレス、豪雨の中で行われた交渉で兄とその友の友情を知る】!

 友情化……。

 ジャップ君の友情ってとっても熱そうだね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ