10話
「いい加減、屋敷に戻ったらどうだ?」
「・・・お前には、関係ない。」
「お前な・・・セースの目を見ろ
目が死んでいるぞ。」
文官の制服を着たフィリベルトと同年代の男性セースの兄であるカスパルが書類を届けに来たが目が死んだ弟セースを見て苦言を呈したのだ
フィリベルトとカスパルは、帝立学院の同級生でカスパルは文官になる前は騎士だったので体格がいい
16年前のウゴーロヴィチとの戦争で怪我をして騎士を引退し、父と同じ文官の道に入ったのだ。
「王女を1人にしておくのも悪いだろう?」
カスパルは3児の父で愛妻家だ。
「・・・たかが、政略結婚だ
20も下の子供に興味がない」
「フィリ、お前な・・・」
カスパルは呆れる
「政略結婚といえ相手は一国の姫君とあると同時に世界的に希少な魔法石や薬草が唯一発掘・採取できる国の王女だ。
お前だって今、ウゴーロヴィチにテキットハウザー王国が攻め入れるのは本意ではないだろう」
カスパルの言葉に書類に目を落とす
「ウゴーロヴィチに送り込んでいる間者から目立った情報は届いていない」
「いや、そういう問題じゃない
おい、セース。」
「な、何ですか。兄さん」
「フィリの仕事は、これで終わりか?」
「そ、そうです。」
「そうか。フィリ、お前は屋敷に帰れ。」
「・・・カスパル。」
「いいから、後言うの忘れていた。
皇太子殿下がお前の屋敷に向かった。」
「・・・セース、俺は帰る。後の仕事は明日に回せ。」
「は、はい。」
フィリベルトは、執務室を後にした
「に、兄さん。」
「アイツも素直じゃないしな
あの目の色は色が違うが同じ左右違いの色だしな。」
「?」
カスパルの言葉の意味が分からないセースであった。