1話
「す、済まない!!イルメン!!」
「お、お兄様、どうなさいましたか?」
目の前で勢いよく頭を下げる茶髪、エメラルドグリーンの瞳をしている美青年に聞くのは、山岳国家であるテッキトハウザー王国の若き王アンゼルム・フォン・テッキトハウザー22歳。頭を下げれているアンゼルムの前に居るのは茶髪、エメラルドグリーンとコバルトブルーのオッドアイを持つ彼の妹であるインメルトラウト・フォン・テッキトハウザー16歳だ。
「・・・イルメン。お前とベレンセナダ帝国の騎士団長フィリベルト・デ・ベレンセナダとの政略結婚が決まった。」
「・・・・はい?」
イルメントラウトはアンゼルムの言葉と同時に気を失うのだったー
「ひ、姫様!!お目覚めになりましたか!?」
目を開けるとそこには見慣れた自室の天井と声の方を見ると乳母姉妹のメイドデリアが居た
「デリア・・・私はー」
「陛下に報告してきます!!」
デリアはイルメントラウトの部屋を出て行った残ったイルメントラウトは
「有り得ねぇ!!前世の俺を殺したあの冷酷無比のフィリベルトの嫁だと・・・」
二つの大国に挟まれた山岳国家テッキトハウザー王国は小国だが、テッキトハウザー王国でしかない資源が豊富で常に他国から狙われている
「前世でもこの国巡って戦争したのに、まさかこの国の王女になるとは・・・」
イルメンラウトには前世の記憶がある。
ベレンセナダ帝国と戦争を繰り返したもう一つの大国ウゴーロヴィチ王国の騎士団長で戦場の悪魔と呼ばれた
レフ・ウトキンでフィリベルトとの一騎打ちでフィリベルトに殺されたのをー享年19歳で
「アイツ、確か一つ上だったからもう36歳じゃねぇか!!ロリコン野郎と結婚!?
政略結婚逃げたいけど逃げれねぇな
お兄様とお義母様に迷惑かけられねぇしな・・・」
イルメントラウトは生まれる前に父を病気で亡くし、元平民で王妃付きのメイドから生まれた妾腹だがそのメイドは王妃から妹の様に可愛がれておりそのメイドに手を出した父を怒ったらしくそのまま側妃になったが仲は変わりなく良かったらしいが、イルメントラウトを産んだ後は肥立ちが悪くそのまま亡くなりイルメントラウトは王妃に娘のように可愛がられて育た
前世では受けたことがない母の愛を知った
「政略結婚か
自分を殺した相手とー」
イルメントラウトはレフとしての記憶があるのでかなり覚悟がいる政略結婚となる
「国の為だ。」
イルメントラウトは目を覚ましたと聞いて駆けつけてきた義母の突撃を受けるまでベッドの上で天井を見るのだった。
カリ
カリ
カリ
「団長、」
「・・・なんだ?」
ベレンセナダ帝国第一騎士団団長室で無表情のまま仕事をこなす青銀の髪、アイスブルーの瞳をした美丈夫
フィリベルト・デ・ベレンセナダは副官である副騎士団長セース・ボスマンをアイスブルーの瞳で射貫く
「そろそろお帰りになれた方がその団長はまもなくー「・・・婚姻の準備は、任せてある」
そ、そうですか。」
36歳になるが精悍な顔立ちをしておりいまだに女性にもてるが本人は一切相手にしない
現皇帝の弟であり公爵という好条件だが冷酷無比の騎士団長と大陸中に名を馳せている彼だがまもなく結婚をする。
愛もない一回り以上下の山岳国家テキットハウザー王国の国王の妹ー第一王女イルメントラウト・フォン・テッキトハウザーと兄皇帝に告げられた時はすぐ政略結婚だと分かった
テッキトハウザー王国は小国ながら豊かな国であるそれはテッキトハウザーしかない資源が豊富なのだ
特に魔法鉱石の中でも希少とされるのがあるのだ
今回の婚姻はウゴーロヴィチの動きが怪しくなって来た為だ。
その為テッキトハウザーの青年王に帝国が同盟を持ち掛けテッキトハウザー側が受けてテッキトハウザーの王女イルメントラウトとフィリベルトの政略結婚が成立した
本人達の意思など関係がないよくある政略結婚だ。
「くだらないな。俺は戦場に立てばいい。」
「団長・・・」
セースは尊敬するが少々戦争狂いのフィリベルトを見るのだった
「だが、もう戦場には俺が求める相手は居ない。」
「団長?」
フィリベルトの呟きはセースしか知らなかった。
「・・・イルメン、ごめんなさいね。」
「い、いえ、お義母様が謝る事はありません。」
「でもー」
部屋に来たのは、40代の美女今は王太后だが前国王の正妃パウリーネだった
「政略結婚されるつもりはなかったのに・・・」
パウリーネは自分がそうだったのでせめて妹のように可愛がっていた側妃の忘れ形見であるイルメントラウトには出来れば自由恋愛で結婚して欲しかったのだ
「お義母様、覚悟はできております。(・・・相手がアイツなのはあれだが、)」
「イルメン・・・」
こうして王国歴635年ー帝国では帝国歴990年の春、ベレンセナダ帝国の皇族で騎士団長フィリベルト・デ・ベレンセナダとテッキトハウザー王国第一王女イルメントラウト・フォン・テキットハウザーの結婚が公表された。