3 農作業だなんて!
「あなた、若そうなのに体力ないんだね。それはそれでしっかり働いてな」
「ハァーハァー、ジュリナさんが凄いだけでは? 頑張ったほうです……ごほっ」
ジュリナさんが言ったように、しっかり農作業を頑張った。クワで田んぼを耕したんだけど死にそう。腕も腰も、体全体が痛い。デスクワークとか、患者の話聞いている方が向いてると再認識した。
「わたしは初歩的な魔法しか使えないし、人手が増えただけマシね」
そう、このどうやら『この世界』は魔法が存在するらしい。あとこの世界、地球じゃないっぽい。昨日の夜のロウソク、あれも魔法だって。普通に魔法がある世界となれば、ここは異世界だってピキーンと閃くものだ。
あと移動に関する魔法は、もうすでに消滅しているとのこと。なんだかもう、超次元的すぎて理解が追いつけないせいで冷静になっている。
「じゃあ先に家に帰っているわね」
私が頷くのを確認すると、ジュリナさんは家へと戻っていった。そういえば休憩中に聞いてみたけど、あの女の子についての情報を得られなかった。聞いてもはぐらされるし、医者の勘的にも気になる。
休憩しながら、そんなことを考えていると老人が近づいてきた。
「……お前さん、あの家に泊まっているのかい?」
その老人はなにやら居心地悪そうにしている。眉間にシワを寄せているのもあってか、こちらが責められている感じがした。
「そうですけど、なにか?」
「あの家はな、『呪われている』から気をつけろ。喋ることの出来ない子供がいる。お母さんとわたし達で、呪われた子供を閉じ込め、なんとか呪いを封じている」
老人は去り際にもう一度、気をつけろと言い去っていった。喋られない程度で呪いか。5、6歳に見えたが何年も閉じ込められているかもしれない。その呪われた子供は手足が細いが、大丈夫なのだろうか。