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アベンジャー・マギア  作者: 彼岸花
狂いし魔物

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38/62

狂いし魔物3

 部屋の奥にある扉には、鍵が掛かっていた。

 アルファルドは懐から出した鍵で、その扉を開ける。何気ない行いであるが、それはつまり、仮に不法な侵入者が防壁の地下にあるこの一室に来たとして……それでも簡単には入れさせないという強い『意思』の現れだ。

 余程のものがこの先にはあるらしい。魔王の実在を示す証拠らしいが、厳重に保管しなければならないものなのだろうか? 扉を潜りながらスピカは疑問を抱くも、答えはすぐに分かった。

 扉の先にある廊下の奥から聞こえてくる、唸るような声によって。


「……へぇ」


 どうやら自分は鍵の意味を履き違えていたと、スピカは察する。あれは外から入るのを防ぐためのものではない。中のものが、外に逃げないようにするためのものだ。

 アルファルドが、スピカ達が通った後の扉に鍵を掛けたのも、緊急時に中の存在が逃げ出さないための措置。ただものではない何かが、そこにいると分かる。


「む! 何やら凄い気配がするぞ!」


 止めに、ウラヌスが興奮気味に叫んで走り出す。

 あのウラヌスが『凄い』と呼ぶ存在。それがただの獣である筈がない。

 一体何がいるのか? スピカもウラヌスの後を追いたかったが、そこは一人の成人として我慢。アルファルドに視線を送り、案内してもらう。

 アルファルドはスピカの意図を汲んだように、少しばかり早歩きで廊下を進む。

 廊下は短く、一分と経たずに奥に辿り着く。そこには大きな、人間なら三十人は入りそうな鉄格子があった。先に走り出したウラヌスはその鉄格子の前に立っていて、不気味な唸り声も同じ場所から聞こえてくる。

 分かりやすい目的地だ。アルファルドがその前で立ち止まったのを見てから、スピカも立ち止まり、そして鉄格子の方を見る。

 スピカは眉を顰めた。


「……ミノタウロス?」


 厳重な鉄格子の中に閉じ込められていた動物が、あまりにもありふれていたがために。

 ミノタウロス。世界的に有名な()()……牛の一種である。

 体長は三メトルとそこそこ大柄。水をあまり飲まず、僅かな草でもよく肥え、乳の量も多いなど非常に優秀な品種だ。反面湿気と寒さには弱く、帝国では此処要塞都市シアン周辺でだけ飼育・流通している。肉は美味ながら高級な感じではない、大衆的な親しみ(大雑把さ)のある味だ。

 品種にもよるが、家畜の性格というのは基本的に大人しいものである。人が育てるのだから、気性が穏やかになるよう改良するのが一般的だ。ミノタウロスも例に漏れず大抵は穏やかな性格で、子供が世話をしても大丈夫だと言われるほど。こんな鉄格子内に閉じ込めておくような動物ではない。

 ただ、どうにもこのミノタウロスには妙な点もある。

 まず身体付きがやけに筋肉質だ。肩幅が広く、ガッチリとしている。通常食肉として生産する場合、筋肉は『硬さ』を生んでしまう。誰しも好みは違うので良し悪しは兎も角、多くの人は柔らかな肉質を好む。商品というのは売れなければ意味がないのだから、普通はこんな筋肉質になる育て方はしない。

 また全身に大きな傷が無数にあり、特に腰……或いは臀部と言うべきか……には一際深い、獰猛な何かに噛まれたような傷跡があった。

 このミノタウロスは大きな角を生やした雄牛なので、母乳を生産し、肉質が柔らかな雌牛よりも市場価値は低い。それでも畜産家からすれば『商品』なのだから、基本的には大事な存在だ。こんな傷だらけになるような扱いをされるとは、普通ならば考えられない。それに家畜というのは人に守られているもので、野生動物に襲われる事も滅多にない。何故こんなにも傷だらけなのか……

 いや、そんな事よりも、とスピカは考え込もうとする思考を止める。アルファルドは魔王が実在する証拠を見せてくれると言っていた。そして案内された場所が此処。


「……これが証拠?」


「その通り」


 まさかと思いながら尋ねると、アルファルドは平然とそう答える。

 家畜であるミノタウロスがどうして魔王の実在を示す証拠となるのか。訳が分からず、スピカは眉を顰めてしまう。

 しかしアルファルドは顔色一つ変えず、廊下の突き当りに向かった。そこでガチャガチャと何かを弄る。

 すると、ガタガタと機械的な音が聞こえてきた。どうやら絡繰を作動させたらしい。

 絡繰は鉄格子の中に、大人と同じ大きさの人形が降りてくるというもの。人形は顔が少々不細工である以外、これといって特徴は見られない。

 だが、檻の中のミノタウロス的には癪に障るらしい。


「ブゥウモオオオオオオッ!」


 猛々しく、獰猛な叫びを上げてミノタウロスは威嚇を始めた。

 大人しい筈のミノタウロスが猛り狂う。これだけでも異様と言えば異様だが、しかしそれは個々の性格の話である。これだけでは、まだただのミノタウロスだ。

 スピカがこの認識を改めたのは、この後の事。


「ブ、モゥ!」


 ミノタウロスは降りてきた人形に、突進攻撃を仕掛ける。

 温和なミノタウロスが攻撃しただけでも驚きだ。しかしそれ以上の、不可解と言うしかない事態が起きる。

 それは風。

 ミノタウロスが走り出したのと共に、びゅうっと痛いほどに強い風が、スピカ達の方に流れたのだ。無論それは突進で生じた空気の流れなどではない。

 もしも走った事で生じた風なら、未だミノタウロスの頭上にいる人形がふわりと浮かび上がり……()()()()()()()()()()()、なんて出来事が起きる訳もないのだから。


「なっ……!?」


「驚いたかい?」


 驚愕するスピカに対し、アルファルドは好奇心を露わにしながら尋ねてくる。

 風で対象を切り裂くなんて真似、人間の技術はおろか野生の獣でも聞いた事もない所業だ。それも羽ばたきで何もかも吹き飛ばす暴風を起こせる巨鳥の類ではなく、牛がこの現象を引き起こしている。驚かずにいられる訳がない。

 しかし一番の驚きは、何一つとして理屈が分からないという事。

 例えばドラゴンは炎を吐く。されどそれは不思議な現象ではない。体内に可燃性のガスを溜め込む器官があり、火打ち石的な働きを持つ前歯で火花を起こして、出来上がった炎を力強い吐息で吐き出しているだけ。そこには明確な理屈があり、よって理屈に応じた対処法 ― 前歯を折る、ガスを全部出させる ― が存在する。

 だが、ミノタウロスが見せた風は理屈が全く分からない。どんな大仰な仕組みを考え(想像し)ても、ただ走るだけで何かを切り裂く風など起きる筈がないのだ。それも遠距離に届くほど鋭利な、ある程度『集束』した状態で撃ち出すなど、どうすれば良いのか。空気というのは捕まえようとしても逃げていくものなのに。

 理屈に合わない。理屈が付かない。非合理で不条理なのに、何故かこの世に顕在する力。

 これではまるで――――


「魔法」


 心の中の呟きを代弁され、スピカはどきりと胸が跳ねた。

 アルファルドの言葉だった。彼はスピカの方を見ると、興味深そうに笑いながら、更に話を続ける。


「このミノタウロスに外見的な他個体との差異はあまりない。筋肉質なのは元々だし、身体の傷は後天的なものだ。まぁ、解剖とかはしてないから内部については保証しないけど……」


「で、でも、それならこんな力……」


「そう、使える訳がない。どう観察してもただのミノタウロス。そもそもどんな方法なら、物を切り裂く風なんて起こせるのか。理解不可能、再現不可能なこの力を」


 僕達は魔法と呼んでいる。

 アルファルドのその言葉に、スピカはしばし言葉を失う。何かを言おうと口を開くが、返す言葉が思い付かない。

 魔法。

 それもまた、魔王と同じく御伽噺の存在だ。少なくとも良識ある王国一般市民はそう思っているし、子供でもそこそこ大きな子は魔法なんて実在しない事を理解している。中には魔法があると訴える大人もいるが、それは石ころを金に変える錬金術師のように、詐欺師とその被害者ぐらいなものだ。

 その魔法を、よりにもよって家畜の牛が使うという状況。これが混乱に拍車を掛ける。何処かに、何かに、嘘があるのではないかとスピカは考えてしまう。

 しかし言い換えればそれは、帝国や王国騎士団が総出で自分を騙そうとしている、或いは彼等自身も騙されている事になる。最早陰謀論であり、それはそれで非現実的だ。いや、それとも彼等は本当の騎士団ではないのか? 船を何十人と集まって貸し切ったのも、防壁内にこんな部屋を作ったのも、全て盛大な芝居を打つため……?

 何を考えても理屈に合わない。現実に可能な方法が、合理性のなさから破綻する。考えが、何一つとして纏まらない。


「むぅ。この牛は凄いぞ。私一人では勝てないかも知れないな」


 混沌の中、光明となったのはウラヌスの一言。

 此処にいる面子で、スピカの視点で確実に詐欺師ではないと言えるのはウラヌスだけ。そのウラヌスがただの牛の強さを認めたのだ。彼女の単純な頭は、だからこそ余計な事は考えず、自分の感じたものだけを信じる。なら、少なくともミノタウロスの強さだけは『本物』だろう。

 それに、ここで魔法の真偽について話しても、停滞にしかならない。


「……魔法については、とりあえず分かった。それで? これがなんの証拠になる訳?」


 話を進めるべく、スピカは新たな疑問を投げ掛ける。

 とはいえこの質問の答えは、粗方想像が付く。

 魔法の持ち主である生物が、魔王という存在を示す証拠なのだ。なら、考えられる答えは一つだろう。


「魔王も、魔法が使えるらしい。数少ない目撃者からそれは分かっている」


 その予感は正しく、アルファルドの答えはスピカの思った通りのものだった。

 ――――前半までは。

 この後に及んで、まだスピカは理解していなかった。魔法という超常の力が、人間の想像の及ぶものであると。


「そして、魔王が()()()()()()()()


 故にアルファルドが続けて語った答えに、前半分の答えを予想していたにも拘らず、スピカはまたしても呆けてしまう。


「魔法を広めている……?」


「そう。魔王が意図してやっているのか、それとも偶然なのかは分からない。ただ、魔王に噛まれるなどして体液に触れた生物……その半分が、魔法の力を発現させている」


 アルファルド曰く、このミノタウロスは魔王が食事のため襲撃した牧場にいた個体で、尻を噛まれたらしい。満腹になったので殺すのを止めたのか、筋肉質で美味しくなくて離したのか、単に痛め付けて遊んでいたのかは不明だが……ともあれ噛まれた後、魔法が使えるようになったそうだ。


「そんな、まるでそれじゃあ……」


「呪いのよう、だろう? それもまた大概御伽噺の存在だけど、今のところそう表現するしかない。伝染病に似た性質とも受け取れるけど、病気なら流行はせずとも患者自体は継続的に出ないとおかしい。魔王の出現は三百年周期な訳だけど三百年間魔法を持っていたのはどいつなんだって話な訳だ。三百年周期という事である種の彗星と絡める考えもあるけど、ただの偶然だと個人的には思うね。彗星なんてそれこそ何十と種類がある訳だから、偶々周期の重なる奴もあるだろうさ」


 科学者としての性なのか、現在の説についてつらつらと語るアルファルド。とはいえすぐに本題から逸れたと自覚したようで、「なんにせよ」と一言置いてから話を戻す。


「文献記録には、魔王は『魔物』を生み出すという記載が多く見られる。魔物というのは、このミノタウロスのように魔法を使えるようになった生物の事だろう。僕達も便宜上、魔物と呼んでいる。そして僕達が魔王と呼んでいる存在も、こうして魔物を生み出している訳だ」


「……でも、おかしいじゃない。私が聞いた話だと、魔王はもう十年も活動している。昔から魔物を生み出していたなら、もっと世間に知られている筈だと思う。魔法なんて使えるなら、自然界でも簡単には死なないだろうし」


「そうだね。でもねぇ、魔法の使い手には一つ、明確な欠点がある」


「欠点?」


「寿命。魔法を使えるようになると、七日ぐらいで死に至る」


 あっさりと語るアルファルド。だが、スピカをどきりとさせるには十分な一言だった。


「このミノタウロスは魔法が使えるようになって五日目。そろそろ死ぬと思われる。他にも魔法を使えるようになった生物は、どれも七日以内に死んだ」


「……解剖は?」


「勿論した。剥製にして、今も研究は進めている。だけどさっぱりだね。脳に腫瘍が見られたけど、だからなんだって話だし。ただ、一つだけ分かった事もある」


「分かった事? 死因とか?」


「その通り。少なくとも、どの個体も魔法が直接的な理由で死んだ訳じゃない」


 今までに解剖した生物の死因は、どれも内臓破裂や既知の感染症によるもの。魔法自体が悪影響を与えた形跡はないとアルファルドは語る。


「どうにも魔法が使えるようになるのと同時に、凶暴性が増し、力が強くなっているんだ」


「強くなるのは、体力とか餌を考えなければ良い事だと思うんだけど」


「普通ならね。でも、限度がある」


 アルファルドの話でスピカが思い出したのは、生物の『限界』に関するもの。

 曰く、生物というのは危険な状況に陥ると、普段では考えられない力を出すという。人間でも火事から逃げ出す時に、華奢な女が大きな木の柱を退かすほどの力を発揮したという話は稀に聞く。生物というのは普段、真の実力を発揮していないのだ。

 だが、普段から発揮しないのには理由がある。

 大きな力を出すと、その分身体に大きな負担が掛かるのだ。例として挙げた華奢な女の話も、後に骨折などをしていたと分かる事が多い。自分の身体が傷付いても、死ぬよりはマシだという状況だからこそ効果的という事。言い換えればこの状態がずっと続くという事は、四六時中骨折のような重篤な怪我をし続ける事に他ならない。いずれ身体はボロボロになり、命を維持出来なくなるだろう。

 実際ミノタウロスの身体は傷だらけだ。外見だけでも好ましい状態ではなく、中身がどうなっているかは想像も付かない。


「魔王が特別なのは、十年という長い間生き続けている点だ。恐らく奴は、魔法の力を完璧に制御し、自制心も持ち合わせている。魔法に対し、完璧な適応をしたんだ」


「……………」


「魔物は三百年周期で現れる。大半は数日以内に死ぬけど、中には適応して生き残り……圧倒的な力を持つ。これが魔王出現の仕組みであり、このミノタウロスが魔王の存在を示す証拠であり、そして僕達の追っている存在が御伽噺に語られてきた魔王だとする理由だよ」


 納得したかい? そう尋ねてくるアルファルドに、スピカは答えを返さずに押し黙る。

 未だに、『魔王』を信じるかどうかで言えば微妙なところだ。

 実際に魔王を目にしていないというのが、一番の理由だとスピカは思っている。あれこれ証拠や魔物について教わったが、実物を知らなければ空想と変わらない。人間の想像力なんてものは、その程度のものである。

 だが、現実問題として魔王が本物かどうかというのは、些末な問題であろう。強大な生物がいるという事実こそが重要だ。

 そしてスピカにとって大事なのは、その魔王が自分の『仇』であるかどうかだけ。


「……魔王って言うのは、今までに何をしてきたの?」


「色々。直接的な行動は少ないけど、生み出した魔物が周辺の環境を荒らすとか、或いは自分自身が気紛れに暴れるとかで、自然界への影響は計り知れない。この前はキマイラの群れが公国側から逃げてきて、大変だったよ」


 ここ最近スピカが出会って動物達……キマイラやバハムートの異様な行動は、魔王に住処を追われての事らしい。レギオンの大発生も魔王や魔物により大移動した動物達が引き起こしたものとすれば、間接的にだが魔王は都市を一つ壊滅させたと言えよう。

 スピカが出会っただけでも大きな被害が幾つも起きている。知らない分を含めれば、一体どれだけの被害が出ているのか? 範囲も恐らく王国や帝国の近隣だけでは留まらない。大陸中、或いは世界中に及んでいるのではないか。

 魔王の存在は、確実に世界を狂わせている。このまま放置すれば、人類に多大な被害を及ぼすだろう。


「それと直接的な被害としては、幾つかの村が焼かれた点だね。非公式なものではあるけど、王国の村メバロンが最初だと思われている」


 スピカが暮らしていた、今はもう何処にもない村のように。


「魔王が伝承通りの力を持つなら、このままでは王国も帝国も、前身である大国の二の舞いとなりかねない。そこで私達王国騎士団は魔王討伐の任を受け、帝国や公国と協力している訳だ……残念ながら公国は、真っ先に魔王の襲撃を受けて壊滅してしまったが」


 カペラが言うように、騎士団が出てくるのも頷ける話だ。


「僕達も魔王について研究を進めているけど、何分野外活動はあまりしてなくてね。冒険家の助言がほしいところだったんだ」


「で、バハムートを倒した私が目に付いたと」


「出会いは偶々だったが、私は君の事を評価しているつもりだ。国を守る者がこんな体たらくで情けないと思うかも知れないが、協力を頼めないだろうか」


 カペラはそう言うと、スピカに向けて手を伸ばしてきた。

 協力するつもりがあるなら、握り返せという事か。

 スピカはその手をじっと見つめる。もしもこの手を掴めば、魔王を倒すための協力とやらをさせられる訳だが……バハムートにしたのと同じ働きを求められるとすれば、恐らく魔王との直接対面をさせられるだろう。カペラが評価したのは、スピカの観察力と機転の効かせ方だからだ。それを発揮するには直接相手を見るしかない。

 魔王。恐らくは故郷を焼いた、あの化け物に違いない。

 ようやく会える。ようやく恨みをぶつけられる――――そう思いながら、スピカはぎゅっと拳を握り締めた。ぷるぷると小刻みに震えるほどに。仮に、魔王と仇が同一でなかったとしても、世のため人のためになるのだから断る必要もない。


「……分かった。魔王退治に協力する」


 スピカは笑顔と共に、カペラの手を握った。

 カペラも笑みを浮かべ、その手を握り返す。ついでとばかりにアルファルドも手を掴んできたが、カペラと比べてあまりに弱々しい。流石学者だな、と思うと妙におかしくて、くすくすとスピカの口から笑いが漏れ出てしまう。

 そんなスピカの姿を、ウラヌスは静かに見つめるばかり。何も言わず、普段ならわーわー五月蝿い口を閉ざしたまま。

 何かを言いたげな視線を感じながら、スピカはそれを無視するように背を向け続けるのだった。

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