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教会奉仕活動

 


 それは最も難易度の低い貴族令嬢向けのなんちゃってバイトである。

 貴族というのは教会にとって多くの寄付をもたらす金蔓なのだから。多くの孤児がより飢えずに過ごすためには余裕などないということらしい。まぁこれはぶっちゃけすぎだけど。

 だから一日仕事をして得れる金銭は学園の一般食堂でランチくらい食べられるかしら? という程度である。

 仕事と言ってもすでに教会住みの子供達によって磨きあげられた場所を掃除するふりをして、時折り、訪れる信心深い巡礼者に問われるまま目的地へと案内するくらいである。

 慣れてくれば燭台の蝋燭替えや魔除けにするための花を摘む作業とかもあると優雅な先輩アルバイトのおねえさま方に教えていただきました。

 それって仕事?

 尼僧服を着てハタキを持ち狙いをつけてつま先立ちしたところ、

「そこの貴女。すこしこちらを手伝ってくださるかしら?」

 転びかけました。

 大丈夫かしらと問われ、大丈夫と応じながらおっとりめの尼僧様(たぶん先輩ではない)についていく。

 いくつかの廊下小さな中庭。小さな祈り場。簡素な門を通り抜けたそこには子供達がきょとんとした表情で私と尼僧様を見比べていた。

「ここに乾いた布がありますからね。私が水浴びをさせた子供達をつかまえて拭いてあげてくださいね。さぁみなさん綺麗になりましょうね」

 おっとりにっこり説明した尼僧様を前に私はちょっと薄汚れた子供達と同じような表情ですごいことを言ってのけた尼僧様を見つめていた。

 尼僧様めっちゃニコニコ笑顔。そして私に布を押しつけた。尼僧様が木製の仕切りの向こうで魔法を使って子供達を洗う。のがれ出てきた小さな子をモノの道理は分かっているちょっと年長の子が私と一緒につかまえて拭く。

 暴れるから体術講座で鍛えた体力と体捌きでちんまい子供達を捕獲して拭き、年長の子に引き渡す。何人か拭いたあたりから私の魔手からどこまで逃げられるかの競争ぽくなっていて、すっごく疑問である。

 終わった後もちらちらちびっこたちの視線が気になるところ。

 ところでこれ、教会奉仕は教会奉仕だと思うんですけど、子守りバイトの方ではないでしょうか?

 時給違うんですけど? あがるパラメータも異なるし、ストレスの入りっぷりも初期バイトの中でも高めだったはずなんですけど?

 ストレス管理崩れないといいなぁ。


 時間分はしっかり励むべしと差し出された絵本を読み聞かせてみると尼僧様に「あら。文字がもう読めるなんてすごいわね」と褒められた。あれ、私奉仕活動中の伯爵令嬢なん、ですけど。


 あれ?

 気がつかれて、ない?



 数時間後、子供達とかなり仲良くなった頃に学園内で見かけた(教養講座)年上の学生が監督をしていた尼僧様を引っ張って悲鳴をあげていた。内容は聞こえなかったけれど不手際を司祭様から謝罪されました。


 大丈夫です。寄付金に影響はないはずです!


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