レーニとラーゼ
まぁお約束的な年下ショタキャラで双子。腹黒愛玩動物枠の二人だ。ついでにふわふわヘアに紛れた獣耳が盛りすぎと思わなくもない。
獣人。
この世界に存在するのはいわゆる人類ヒューマンだけではないのである。
ただ、大多数がヒトなのであまり獣人や純粋に亜人種と思われる外見のヒトは少数派だ。
外見上変わらない人とは違う人種は別に表現は変わらない。魔力保持者に貴族が多いこともあって庶民と貴族は実は種から違う疑惑も存在する。
ゲーム世界って思っていたから気に留めてなかったけど。そう考えると主人公である私はいったいどういう存在なのだろうかと疑問を抱く。
四公の護る土地の奥には武神だったり獣神だったり精霊だったり魔神だったりの迷宮があって、主人公はルートによってはその全てを攻略した上で外れ地にある辺境領の迷宮で魔王を倒して勇者になるルートと魔王を倒して魔王になるルートも用意されているのだ。
だから、自分がどこまでいけるナニモノなのかは気になっても四公の守護迷宮には行かないし、魔王を倒そうとも思わなければ魔王(攻略対象)と交流してみようかとも思わないのである。
そして双子(攻略対象)は魔王(攻略対象)の家族枠なのだ。魔王攻略に必要な友好度存在。というように記憶しているあたりショタ興味ないんだなって自覚する。
おじ趣味はないけれど、やっぱり年下よりほんのり年上が好き。なのか、やっぱり彼だからか。どうなんだろうな。
主人公の真実というものがあるのなら、その主人公の在り様より私は私の恋が大事なのだから。
「ニクス」
「はい。お嬢様」
「教会奉仕の日のお洋服、こっちとコッチどっちがいいと思うかしら?」
くるんとテキトーに選んだエプロンドレスを見せてみた。
ニクスは表情を変えることなくエプロンドレスを確認する。
どっちも似たデザインでいろめが違うくらい。ニクスの好みの色はどっちだ!?
「辻試合をなさらないならよろしいのですが、なさるのでしたらその選択はおすすめしかねます」
最終防御力に勝るレザードレスとケープを薦められました。
安全性を重視するなら最善ですね!
ちょっと重いですけど、ネイビーに染められたレザードレスだって可愛いですし、白いドレスシャツとドレスとお揃いのレザーブーツを合わせれば……、かわいくないこともないんじゃないかしら?
そりゃあレースや繊細なフリルリボン、貝のボタン。ひらりひるがえる生地で作られたスカートは大好きだけどいかんせん戦闘には向かないし、破れたり汚れたりしたら悲しすぎる。関わっている人たち多いからね。仕立て屋さんで採寸して生地を選んでお針子さん達が苦心して仕立ててくれているのは辻試合でボロけるためじゃないからね。乙女の武装だけど、辻試合(物理)の武装ではないのだ。
それもこれもあの辻試合マニアの双子のせい!
でも、なんていうか、その……恋愛感情がないとしても、身の安全を気遣ってくれるニクスが好きだし、ニクスに例え義務であったとしても気遣ってもらえてとても嬉しいんだ。
もしかしてもしかして安全性だけじゃなく、渋めのネイビーが好みだったりしないかな。ニクス。
「お嬢様。どうかなさいましたか?」
あー。
「なんでもないわ」
しめよう。
あの双子が襲ってこないようにしめてしまおう。
しばらく辻試合を誰も挑んでこないくらいの叩きのめしをすれば、きっとかわいい服を着て歩くこともできるんじゃないかしら?
たぶん。




