夕食会のあと
歓談メインでしたけど、一応反省会もありました。
王子様としては戦闘にならずノーレベル上げ。私はアンデッドせん滅して多少レベルアップ。(しかしステータスは見えない。もちろんレベルも)
つまりまた一緒にいきましょうね。という結論だった。迷宮を抑える辺境領に行くまでに経験を積んでおきたいという王子様の意識は高いと言える?
私としては同行するメリットを実はあまり感じていないのです。
なにせ思うように戦えない。
つまりストレス発散できず募るだけ。
王子様との距離が近すぎるのもダメだし。
なぜか思ったより王子様がぐいぐいくるんだよね。恋愛相談愚痴だけど。アレ、絶対私を異性認識していない対応な気がする。まぁ恋愛対象外だけど。
なんてツラツラ考えてたら解散後お兄様に拉致られました。ドアの閉ざされた密室に男女二人きりってまずくありませんか? あ。兄妹でした。お母様が違ってもお父様が違ってもたとえ、一切血縁がなくとも一度貴族録に兄弟姉妹であると登録されればその相手同士は婚姻不可という王国法です。
ま、お兄様も私は対象外でしょうしね。一安心です。
「アガタ。君はどこを目指しているのかな? 第二王子殿下の愛人? それともお部屋様? んん?」
あれ。お兄様怒ってらっしゃる?
お部屋様なんて面倒かつ目的からそれる立場狙ってません。目指しているのはあくまで愛人。でないと結婚できないじゃないですか。
でも、正直に言ったり方向性に関して「えーっと、なにに対して?」なんて聞いたらなお叱られるヤツでは!?
「殿下の覚えはめでたいようだが、アガタ、君はどういう方向で寵愛を受けたいのかな? 見ている限り、なんていうか、その、道化枠ではないか? 当家の教育に不足があったのだろうか?」
「不足などありません。ただ、私の気質ではないかと愚考します。お兄様、ご心配いただきありがとうございます。私の気質からの部分も多分にあると思います。それでも私が殿下の気を緩める時間に繋がっているのでしたらしあわせかと思います」
たとえ道化枠でも愛人採用してくだされば問題ありません。あとニクスつけて欲しいです。お兄様。
心配なのは私か家名か難しいところかなぁ。
寮まではニクスが送ってくれたんですが、ツワト様、私と同じ寮だったらしいです。ご一緒しましたよ。
貴族寮といえど庶民寄りの貴族寮なんですけど、四大公爵家ぇ!
「驚きました」
「ああ、練習場や訓練所が近いのだ。アガタ嬢もよく走っているだろう? ずっと続けている姿はとても励みになる」
「え!?」
「一方的に知っているだけだったからな。幾度かともに走ることを誘おうかと思ってはとめていた」
驚きの「え!」しかでませんよ!
比較的薄暗いうちに走り込んで明るくなる頃には寮に戻っているパターンだったのに……そりゃ他にも走っている人や訓練中の人は見かけてたし、視線があえば挨拶くらいしてたし、えー? ツワト様いたっけー?
「早朝警備は任せてしっかりと走りなさい」
警備バイトですか。警備の人達制服ゆったりめで男女の区別すら薄暗い中じゃあやしいんだよね。よし。
「ツワト様を見つけてご挨拶したいと思いますっ」
「そうか。楽しみにしている」
かろやかに笑ってくださったツワト様はとても美しく思えました。
ニオベ様は天然聖母系女神様だけど、ツワト様はクール系ツンデレお姐様ではないだろうか。
くっ、萌え要素が突きつけられすぎてこのしあわせさがコワイ!
私はその様子をニクスが見守っていたのを装備をメープルに解放してもらいベッドにひっくり返った時に思い至った。
あれ?
ニクスにとって私ってどんな存在なんだろう?




