お支払いわくわく
っておかしいかしら?
じっとジェニスジェファーを見つめるとふわりと笑ってくれた。
「学内サロンで奢ってもらうかわりにここはワタクシが奢るんだと思っていたわ」
「やだ。私ちゃんと支払いを知りたいって言ったじゃない」
「見ていたいのかと思ったのよ。それで、」
「使用される通貨でしたらここに」
すっとブラウシュナーが皮の小袋をテーブルにじゃりっとのせた。
「使うのはこの壱ゴート銅貨ね。ワンプレート壱ゴートだから。お祭り時をのぞいて軽く食べるだけなら壱ゴートでこと足りるの。ブラウシュナー様には壱ゴートじゃきっと足りないでしょうけどね」
「そうかもしれないけれど、今回はこの中庭の貸切代も必要なんじゃないかしら?」
うん。きっとブラウシュナーなら十倍は食べそう。
不思議そうな顔をされた。え。場所代の概念薄いの?
「普段使っていないはずだから不要じゃないかしら?」
「いやいや、ジェニーそこは店主さんに確認しておかないと。ね」
「時々バイトしているけれど、そんな話は聞いたことなかったわ」
あ、ここバイト先なんだ。
その後デザートを持ってきてくれた店主のおじさんに「子供がそこまで気にしなくてかまわない。うちの姪と仲良くしてやってくれ」って頭を撫でられました。ブラウシュナーがおじさんに苦言を呈す前にジェニスジェファーがおじさんに「礼法!」ってぷりぷりしてたのが印象的です。
そうですね。私はええ。「そういえば貴族のお嬢様」だったんです。
おやつとジェニスジェファーとのおしゃべり時間は楽しくあっという間に過ぎていきます。
その中でゲルト嬢の話題もメープルの評判も聞けました。あと、ディルノくんの情報も。この店で時々買い物していく。ってもうギルド登録してるのかしら?(冒険者の子供は身分証代わりに登録が早期に認められることがある)
私は……格闘講座で上位目指している変わり者貴族令嬢でした。最近棒術講座も混ぜたので余計にどこを目指しているのか謎になっているらしいです。公言はできませんね。王子様の愛人。
剣術講座の先、騎士講座までいけば貴族令嬢他にもいるんですけどね。四公爵家の方が。
ジェニスジェファーの実家である雑貨屋さんも見に行きたいなとお願いしたら今日はダメと断られましたよ。残念。
別の雑貨屋さんで五十ゴートの髪飾りを二人の記念に購入です。(ブラウシュナーがお支払い。いや、お支払いもっと経験させて?)
そういえばゲームでも月の固定費三十で詩集とかは二百五十とかドレスは最低四百からだったりしたなぁ。
ちなみに一番安い教養と体術の講座は一コマ二十だった筈だ。教育費馬鹿にならない。私が現在唯一できるバイト教会での奉仕活動は基本3、「今日は頑張りましたね」のボーナスがついて5である。月四回通って一コマ分の講座費稼げるかどうかである。
戦闘マシーンになってストリートファイトに明け暮れるのが一番ハイリスクハイリターンかな。
勝てれば一回で五千とかゲットだし。なにせその時点での相手の現金財産半額ゲットルールだから。収穫祭の後とか辻試合が横行するんだよね。あと、最近平和だからおひねりも飛ぶ。(勝者総取り)
いつか申し込まれるのかとわくわくしながら武術系講座受けてるよ!
武装を購入することはメープルに止められてるから、私申し込まれてないんだと思ってる。
「アガタさんって貴族のお嬢様なのに妙にみみっちぃというか、らしく大雑把というかアガタさんだわ」
「ジェニー、その表現はどういう意味かしら? ブッシュもどーして頷いているのかしら?」
いくらかかるかなんて興味ありません。なんて心情になれない私は貧乏性ですよ!




