転勤先5年間の不思議な話
私は夫と息子の輝の3人家族。輝が小学校2年の秋、夫の転勤のため東北の町に引っ越すことになった。そのアパートで不思議な現象が次々起こる。その5年間は、恐怖ではなく、温かいものだった。
座敷わらし
「転勤」第1話
一人息子の輝が小2の10月、夫の転勤で東北の小学校に転校することになった。
今思えば、あのアパートに引っ越したその夜からラップ音があった。
私はこの奇妙な音を東北特有の寒さのせいと思ってた。
そこは2F建ての鉄筋で2世帯のアパート。
1Fに玄関ドアが2つあり、
右のドアを開けるとうちの玄関で、階段を上がると2Fが住居になっていた。
中央の長い廊下を挟むように、
左側手前に居間があり
その奥の畳の部屋で家族3人川の字で寝た。
廊下の右側手前に台所。
その奥に洗面所と浴室。
廊下一番奥に洋間があり
そこは輝の机、パソコン、エレクトーン等が置かれていた。
入居してまもなく、誰もいないのに階段を上がる音や廊下を歩く音、
台所にいると、誰かに覗かれていると感じるようになった。
輝にいたっては、入浴中コールが鳴り「何?」「何でもない」というやり取りがしょっちゅうあった。
後に「そこにママがいると思って呼んでも返事ないから、コール押したらママが来た。気のせいだった。」と言っている。
その輝には4歳の時から脳波異常があり、越してからも、年に一度脳波検査していた。
小5には異常波がなくなり
完治した。特に治療したわけでもなく、自然治癒したのだ。
転校先で、輝は勉学、運動、音楽、モテ期・・・
運全て使い果たしたかも知れない。
夜、睡眠中の輝はしょっちゅう寝ぼけて動き回った。
楽しそうに、遊んでいるかのように。
ある日の夜、寝ていた輝がはしゃぎながら階段を駆け下りて、二個の鍵を一つ開けたところで夫が捕まえた。
もし鍵が一つだったら外に出ていたかも知れない。
今思えば、輝は座敷わらしに守らていたんじゃないか?と思う。
つづく
輝の小学校卒業と同時に、神奈川に帰ってきた。
東北で、輝も私も素敵な出会いを得て、今でも交流があるのは、きっと座敷わらしのおかげだと信じている。




