表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/46

魔人と白狼

 エスカ歴1903年の夏は例年には無いほどの猛暑を記録し、蓄えの少ない小国の兵である私たちは、今にも干からびてしまいそうだった。


「しょ、少将どの! 今しがた本国より伝令が参り、首都より兵糧を運んでいた補給部隊が、敵兵小隊の妨害にあい身動きが取れないとの事! いかがなさいますか?」


「・・・それは非常にまずいな、ただでさえこの暑さでみんな心が折れかけているのに、これ以上待たせたらそれこそ皆、近隣の村を襲い始めるぞ、それだけは避けねばならん!」


「・・・お、お言葉ですが少将どの! ここは敵地でありますゆえ、その、近隣の村というのも全て敵領地内の」


「貴様それ以上続けてみろ、今すぐ本国へ移送し軍門裁判へかけるぞ」


「ひっ! も、申し訳ございません!」


 ・・・はぁ、戦時中には【よくある事】なのだが、集団心理というのかなんというか、悲しい事に戦場における敵国の集落程、保護や保全のプライオリティは低くなりがちで


 こないだまで本国で幸せそうに結婚や出産の報告をしてきた部下たちが、やれ食糧を奪っただの女を犯しただのの耳が腐りそうな報告を嬉々として挙げてくるのだから、本来人間という者はいかに醜く、いかに愚かしいかが目に見えて分かってしまう。


「はぁ、だがそれだけ状況はひっ迫しているか・・・よし! すぐさま補給部隊の救助に向かうぞ! 大隊諸君! 準備を怠るな!」


「はっ!」


 伝令からの情報では、補給部隊はラルス達大隊の拠点がある山の中腹で足止めを食らっているらしく、中隊規模の編成であるにも関わらず、敵の「白狼」率いる小隊に歯が立たず、現在は森の中で散りじりになっているという事だった。


「はぁ、また白狼か・・・」


『白狼』とは、敵国ドリアードにおける中隊を率いる大尉クラスの兵で、巧みな戦術と類稀なる戦闘センスで我が国の進行に歯止めをかけている張本人、様はラルスにとっては目の上のタンコブの様な存在だった。


 本来あまり戦闘を好まない性分のラルスではあるが、各地で聞き及ぶ「白狼」の武勇には驚かされていて、いつかは戦場で対峙してみたいと密に野望を抱いている相手だった。


 だが『白狼』はラルスがあと一歩の所まで追い詰めると、いつもすんでの所で逃げられてしまい、ラルスは今だに対峙する事が出来ていなかった。

読んでくださってありがとうございました!

ご感想などなど是非お待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ