表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/46

魔人の後悔

 ドカッ! バコッ!


 ドラグニア・ラルスは珍しく気が立っていた。


 ラルスは置かれていた食事用のトレーを蹴り飛ばすと、勢いそのままに独房の壁に思い切り頭突きをくれ、滴り落ちる血液と共に先ほどの自らの行いへの後悔を洗い流していた。


「・・・くそっ」


 ラルスはひとりごちると、ドカッと勢いよく与えられた寝具へと座り込んだ。


 くそ・・・くそっ・・・くそっ! 私はなんて愚かな事をしてしまったのだ、年端も行かぬ子どもを捕まえて、よもやそれにすがり泣き、ただただ自らの願望を押し付けてしまった。


 絶対・・・絶対に告げてはならぬと、そう決めていたはずなのだ。


 それなのにあの若者の顔を見るやいなや、私は今までひた隠しにしてきた心のうちを簡単にさらけ出してしまった。


 あの若者がそれを聞けば、きっと行動を起こしてしまうと分かっていたのに・・・それなのに私は・・・すまぬ『白狼』よ。


 ラルスは不貞腐れた様にその場に寝転ぶと、何もない無機質な天井を眺めながら過去の事を思い浮かべていた。

 私は、この国における「極悪非道の大量殺人犯」だ・・・


 戦時下における私は【正義】という狂気を胸に掲げ、この国の兵士数千人の命を葬り去り・・・そしてその倍の数の友を失った・・・


 中には家族を持つ者も沢山いただろう・・・その者たちはさぞ私を憎んでいるはずだ・・・


 そして今も恨み殺さんとばかりに私の周りにへばり付き、じわりじわりと私の心と体を蝕んでいく・・・


 それで良い・・・それで良いのだ、それだけの資格がこの者たちにはある。


 そしてあの日、あのむせ返る様な夏の日に、私もそれを理解し受け入れた・・・はずなのに。

読んでくださってありがとうございました!

ご感想などなど是非お待ちしてます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ