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第6話 【ようじょ】鬼ごっこだよ(真顔)【狩人と化す】

本日2度目の投稿。

公正なジャンケンの下、私が鬼になった。

不平不満は無い、寧ろ好都合だ。

ルールは簡単、タッチされた人が鬼になる。

これが飽きるまで繰り返されるのだ。

…今思えばこれかなりの苦行だと思う。

だが今の私には小さい子供特有の無限の体力がある。

これをハイハイによって培われたバランス感覚と全身の筋肉、そして前世の意識によって最大限に生かす。

最初から飛ばすと、速攻で子供達は飽きてしまう。

やはり鬼はやりたくないのが本音だろう。

だから最初は良い感じに手を抜いてそろそろ男子連中が飽きてきた所を一気に仕留める。


「じゃあ、かぞえるねー!いーち、にー」


参加者は私を除いて9人。

のち2人が右に、3人は前、3人は左、で1人が後ろ。

狙い目は後ろの1人だけどそいつは湊士君だ。

実力が未知数な相手に勝負するのは得策じゃない。

ならば人数が多く、逃げにくい場所に移動した左を追うのがベスト。


「ろーく、しーち、はーち」


研ぎ澄ませ、全身の神経を。

アイツらは獲物、私の獲物。


「きゅーう、じゅう!」


瞬間私は地面を蹴った。

右足を前に大きく踏み出し、腕を引く。

体は風になり、左の男子たちへと向かっていく。

彼らの表情がよく見える。

とてもギョッとした表情でこちらを見ていた。

3人のうち2人が左に、1人が右へ避ける。

1人狙いだなんだと言われるのは面倒なので2人いる方を追いかける事にした。

私は少しジャンプして体を180度反転させ、2人を追う。

もう少しで追い付ける。

片方が進路変更した!


「まてー!」

「うわ!こっち来た!」


うわってなんだうわって!

あーもうキレた。

私は彼を追い抜いて進路変更先にあったタイヤの遊具を右足で踏みつける。

その反動を利用して彼の肩へと軽く、しかし触ったとしっかり感覚が残るくらいにタッチした。


「タッチー!」

「あーやったなぁ!」


彼はタッチした私を追いかけようとするがその時には私はもうそこにはいなかった。

ストライド走法で彼の前から逃げたからだ。

彼はポカンとしていたが私のあまりの速さに追いかけるのを諦めたのか、別の人を狙いにいった。

いや、彼いい子だな。

鬼になっても文句言わないなんて。

この年頃の男の子って鬼になるとすぐ文句言うと思ってたんだけどね。

後でちゃんと名前覚えとこ。

で、逃げた先で湊士君と合流する。


「えへへーどう?たのしい?」

「うん、すごいはやかったよ。みつきちゃん」


いや別に私を褒めろとは言ってないんだけどなぁ。

まあ、褒められて悪い気はしないかな。

お礼は言っとこ。


「そうかな?ありがとう!みなとくん!」

「ん」


その後も何度か私は鬼を担当した。

あと湊士君も。

湊士君は走るのが苦手みたいで、中々タッチ出来ないでいたが、

私が男子達の逃げ道を誘導して上手く人を湊士君側に送ることで彼もタッチする事が出来た。

私が逃げる時、本気を出すとご覧のように全く捕まらないので、かなり手加減して走ってみた。どうやら足の遅い子も楽しめたみたい。

喧嘩も無く、とても楽しい時間を過ごした。

ちなみにこの鬼ごっこの後、幼馴染を除く男子から、


「みつきちゃんにんじゃみたーい!」

「かっこいい!!」

「ねーさっきのタイヤびょん!ってやつおしえてー!」


と、強請られたり、


「…あれ?深月ちゃんって年長さんだったかしら」


と、先生が困惑の声を上げたのはまた別の話だ。

追うようじょ、逃げるショタ。

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