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第21話【寄越せ】魔法の言葉(脅迫)【寄越せと言っている】

ハッピーハロウィン!

え?遅いって?

………。

カオス足りてる??(ゴリ押し)

10月31日、ハロウィン。

日本のお盆の海外版であり、かぼちゃを彫ってジャック・オー・ランタンを作る。

ミイラやドラキュラ、人狼に仮装するなど今じゃすっかり元のイベントの意味が失われている。

しかしだ。

要するにイベントは楽しければオールオッケーなので、別に元の慣習に習わなくとも良い。

クリスマスとかバレンタインとかそんな感じだしね!

多分アレだよ。日本人は企業に踊らされてるんだよ。

11月11日がプレッツェル系お菓子の日とか土用の丑の日とか別に食べたから何だって訳でも無いし。

ホント、滑稽だよねぇ。ハハッ。

ごほん。

まあ?だからなんだということでも無いんだけど?

偶には?踊らされても?良いかな〜って思わなくもない感じなのよ。


「とゆー訳でセンセ、とりっくおあとりーと。菓子ください」

「教師に菓子をたかるな」

「チッ」

「おい今舌打ちしただろ」

「してないです。じゃあ仕方ないですね、イタズラします」

「お前は目上の人をなんだと思ってるんだ…」

「では、ここに取り出したるは伊藤センセが最近集めているチョコ○ールの銀エンゼル5枚」

「待て小鳥遊。お前それどっから持ってきた」

「これを窓の外にぽーい!!!!!」

「あー!待て待て待て!分かったから!菓子やればいいんだろ!」


チョコボー○を もらった!

ちなみに私はエンゼル当たんなかった。

ちくしょうめ。

さあ、気を取り直して他の人にもたかろう!

誰にたかろっかなぁ。

そう意気込み廊下を歩いていると何やら空き教室から声が聞こえた。

基本的に先生達の教材置き場になっているこの空き教室はセキュリティが甘く、いつも鍵が掛かっていないのでよく生徒達の溜まり場の様な物になっている。

ただここは良くも悪くも人の目に付きにくい場所なので、


「おら、菓子よこせよ。もってきたんだろ?」

「もってきてないよぉ…もってきたら先生におこられちゃう…」

「はあ?もってこいって言ったよなぁ?おまえオレのゆーこと聞けないわけ?」


まあ、このようにイジメっ子の呼び出し場所にもなってる。

…このまま放置はしたくないなぁ。

よし!菓子はあのイジメっ子に貰うとしよう!

私は空き教室の扉を思いっ切り開け放つと、


「とりっくおあとりーとぉぉぉ!!!!!!」

「「?!」」


大声を上げて中に入って行く。

なるほど中々にガタイの良い奴がやってる側か。

やられてる側は…あー女顔?。パッと見女子っぽい。

でも身体付きは華奢だが男って感じはする。

もしかして理由それ?うわぁちっさい理由だなぁ。


「おい、菓子よこせ」

「あぁん?邪魔なんだよ!クソチビ!」

「むっかぁ!今!言っちゃいけないこと言った!チビって!」


お前それは宣戦布告と受け取るからな!


「コイツはオレの下僕なんだからオレの勝手だろ?さっさと消えろよブス」


あ、キレた。

そう思った時にはもう遅い。

私の右足はイジメっ子の彼の横っ腹にめり込み、壁に向かって転がってった。

意識があると後々チクられて面倒なので、腹を抱えて痛がってるところを、仰向けにして鳩尾を突く。

かはっ、という声が聞こえると同時に彼は動かなくなった。

女顔の方は私の方を見て呆然としてる。

えーっと名前は…あ、名札あった。

川本(かわもと) 柚希(ゆずき)ね。


「大丈夫?柚希くん」

「う、うん」


私は柚希くんの手を掴んで、立つのを手伝ってあげる。

小柄な彼は私よりは少し大きいが、やはり男子の中ではかなり小さい方だろう。

それはきっと彼をこれからも苦しめていくだろう。

でも、負けないで欲しい。

イジメなんかに屈しないで欲しい。


「あげる」

「え?」


私は柚希くんに先程貰ったチョコボー○を渡すと、イジメっ子の男子の襟を掴み、引き摺りながらその空き教室を後にした。

悲しい時は、甘い物を食うのが1番良いのよ。

さて、コイツは湊士君に任そう。

あ、湊士君もお菓子くれないかなぁ。

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