第18話【ようじょ!ようじょ!】はじめてのうんどーかい【誰よりも早く!】
はいどーぞ!
感想貰えると喜びます。
褒められると伸びるタイプです。
佐藤君、燈ちゃん、湊士君、私の4人で遊ぶようになって早数ヶ月。
運動会です。
中間何があったって?まあ、普通に過ごしてたよ。
剣道行って、勉強して、遊んで、腹筋して、マラソンしてエトセトラエトセトラ。
小一なんてそんなもんよ。
あー早くおっきくなりたい。
はい、もう一度言うけど運動会です。
私達の学校では赤組と白組と黄組と青組と金組に別れて対決します。
基本的に赤が1組、白2組って感じに別れてる。
ちなみに金は教員の組。
この学校には伝統的に教員も小学生に混ざって運動会に参加する特殊な伝統がある。
もちろんそのまんまやれば大人が勝つに決まってるのである程度ハンデが設けられるのだが、昨日の担任の一言がこちら。
「明日は運動会だァ…てめぇら!首洗って待ってろ糞ガキ共ォ!特に小鳥遊ィ!」
完全に教師とは思えないくらいの暴言である。
教室内がぽかんとしたね。
あとなんで私名指しされたの?
マジでわかんないから金組は叩き潰す、絶対に。
私達4人は赤組だ。
仲間内で争う事にならなくてホントに良かった。
みんなで運動会楽しみたいし。
『1年生の皆さん、出番です。徒競走の準備をしてください』
あ、私達の番だ。
「私達のでるやつだね」
「へっへー、負けねぇからな湊士!」
「…僕に勝てるの?」
「はぁ?!勝てるしぃ!ちょっと頭いいからってバカにすんなよばーか!」
「…ハッ」
「んだよその笑い方ぁ!」
「…はぁ、湊士も馬鹿じゃないけど健に言い返す所はアホだよね…」
「湊士君は天才だよ?」
「深月ちゃん…」
え?何その目は燈ちゃん。
可哀想な人を見る目でこっちを見ないでよ。
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「はーい、じゃあ並んでねー」
先生の指示に従って私は列の先頭に立つ。
男子は先に走り終えているので、後は私と燈ちゃんだけだ。
名前的に私の方が若い番号なので燈ちゃんより先に走るわけだが、まあ、見た感じヤバい。
みんな身長が私より高い。
威圧感が凄いのだ。
でかい人が近くに居るだけでこんなにもプレッシャーが掛かるとは、前世じゃ味わえない体験だね。
まあ、
「位置についてー」
だからと言って負けるつもりは無い。
「よーい」
私は位置についての時点で足を後ろに下げ、両手を地面に着いていたので、よーいと掛け声がかかると同時に腰をあげる。
バンッ!とピストルがなる。
私は一心不乱に走り抜けた。
腕を振る、足の回転数を上げる。
早く、早く、1歩でも前に。
気が付いた時にはゴールテープを切っていた。
「やった!1位だ!」
「おめでとう、深月ちゃん」
「スゲーはえーな深月!ま、俺より遅いけどな!」
「ありがとう、湊士君、佐藤君!」
ゴールの方で待っていてくれた2人にお礼を言う。
なんでか知らないけど周りがザワザワしてたのは気の所為だよ。
小一でクラウチングスタート?とかそんな呟きは聞こえてない聞こえてない。
あの後、私と一緒に走った子達はポカンとした顔で私の事を見てて、燈ちゃんは「ちゃんと(加減して)走りなさいよアホ!」と言って私の頭を叩いて来た。
解せぬ。
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〜三人称side〜
後に伝説となるこの運動会。
優勝は赤組だった。
なんと、金組に総合点数で大差をつけ圧勝したのである。
1年生が強すぎたのだ。
学年混合リレーでは1人の女子生徒が他の選手にとんでもない差をつけ、同じく混合綱引きでは1人の男子生徒を起点に綱が微動だにせず、玉入れでは赤組の玉がまるで吸い込まれるようにカゴの中へ入っていった。
元々赤組は体育の得意な子も多く、優勝候補に挙げられていたのだが、金組、つまり教員側がやはり強いので優勝出来ないとされていた。
まさかのジャイアントキリング。強者喰い。下克上。
教員はたった2人の1年生に負けたと言っても過言では無い。
彼らはあまりの悔しさに涙を飲み、こう決意した。
「アイツら絶対に来年はクラス別々にしてやろう」
と。
この判断が、より教員側にとって悪い方向へ進んでいくとも知らずに。
カオス足りてる?足りねぇよなぁ?