第1話 【TS】TSしてみたった【RTA】
ハーメルンからこんにちは。
ふと思った。
「俺の人生辛くない?」
元々人付き合いが得意な性格ではないのもあって、ある一定数の人間以外には煙たがられていた。
俺には社会的な発言権が黙殺されていた。
俺の声は届かない。
今の社会は個性を伸ばすだのなんだの言ってるが、和を乱すのは個性とは認めず害悪だと決めつける風潮が強かった。
それでも友人は居た。
少ないながらも俺の個性を許容してくれる人達は確かにいた。
そいつらも言わばはみ出しものだった。
黙ってれば普通なのにどうしようもなく空気が読めないやつ。
広く浅くにしか付き合えず、そこまで他人と深く関わろうと出来ないやつ。
得意な事は凄いのに、それしか出来ないやつ。
色んなのがいたけど、誰も彼もが何かしら人に対して諦めていた。
そんな奴らとバカやって生きていくのも悪くないとも思っていた。
でも社会はそんな俺たちを許容しなかった。
多数が良しとされ、俺ら少数派は淘汰される。
そんな世の中をとてつもなく窮屈に感じた。
思わず友達に愚痴ったらこんな回答が返ってきた。
「TSしたら?」
目から鱗だった。
というわけでTSしてみました!享年18歳!
手段は首吊り!よいこのみんなはマネしないでね!
ちゃんと遺書も残したし、クッソ親不孝なことを除けばやり残したことは無い。
今回の人生では親孝行しよう。
ありがとう旧母さん、旧父さん。
俺は今世で新母さんと新父さんにめっちゃ親孝行します。
ちなみに現在の俺の状況を説明すると、いや、TSしたしこれからは『私』って一人称にしよ。
では改めまして。
私の名前はまだない。
生まれたてホヤホヤの女の子だよ!
生後0ヶ月なのに人の言葉を解するよ!
前世の記憶引き継ぎだったからね、仕方無いね!
え?赤ん坊はそこまで脳味噌発達してないって?
………。
転生力ぅ…ですかねぇ?
そこは気合だよ気合!
今私は看護婦さんの腕の中に抱かれている。
生まれた時ってほら回収されるじゃん看護婦さんに、今そこよ。
でも、あれ?なんかおかしいな。
なんか周りがザワザワ動揺して…あ、そっか。
産声あげ忘れてた。
「おんぎゃぁ!おんぎゃぁ!」
おお、これは良い産声。
自己採点100点中120点満点だね。凄いぞ私。
私が産声をあげたので安心したのか、周りの動揺は収束していた。
看護婦さんが私を私の母に渡した。
母は私を恐る恐る受け取ると感極まったのか泣きながら私を優しく抱きしめた。
「生まれてきてくれてありがとう。貴女はミツキ。タカナシミツキよ」
と言う訳で私こと『タカナシ ミツキ』爆誕しました!
これから大事に育ててね母さん?
私も貴女に恥じ無い娘になるから。
頭が逝ってるなぁ俺。