婚約破棄はて、なんのことやら。
思い付いて、がーッと書いたため残念な文章がありますが。
指摘せず、諦めて拙い文章をお読みくだされば幸いです。
「リリーシアーパトソーアリーヤアメリアアシュレイ」
大きな声で会場の中で呼ばれる、私は無礼で不愉快な声の主を探す。
探すまでもなく、目の前の階段の上の方から私を見下ろす男性に顔をしかめる。
「はい、なんでしょうか」
「貴様の傲慢な態度に婚約者を顧みずに豪華な衣装に豪華なアクセサリー、そして何より嫉妬心から僕の愛する人に暴言と暴力を振る舞う醜い心に僕はお前との婚約を破棄し国外追放にする」
えっへんと良く言い切ったと言うようにふんぞり返っている方を私は戸惑いながら見る。
彼は何をいっているのかしら。
私の名前を呼んではいた………私は余りこの人の事を知らないが。
そもそも………どういう意味だろうか。
「えっと………存じあげませんが」
「シラを切るなーっ、お前がやったと愛しきエリーが言っているのだ」
ざわざわっと会場の中は騒がしくなる。
時々笑い声が聞こえ、ヒソヒソと声は声に混じり何を喋っているのか詳細は分からない。
『まぁ、彼の方はどうされたの』
『あぁもう、王家は終わりだーっ』
貴族達の声はかなり大人数な為に結構な範囲まで聞こえたらしい。
「なんの騒ぎだ」
ざーっと一斉に頭を下げてみな王様を迎え入れる。
王が私の元に歩み寄る、そんな王に私に声をかけてきた人物はニャニャしている、が彼の思っている事とはかなり語弊がありそうだ。
「アメリア様本日は良くお越し下さりましたなぁ」
「いい、」
「父上、何故ソイツに様付けなんかしてるんですかーっ、それに何故頭を下げてるんだ、父上は王様で偉いんだぞ、部下である貴族に何故」
信じられない顔をし人に向かって指を指しながら、傲慢な事をいう彼に………オーガス・アステリアオードリーオータムに頭を抱える彼の父で王のアーダベルクス・アステリアオードリーオータム。
「お前は何を言っているのだ」
『王子はまさか知らないのか』
『ご存じない筈ありませんよ、幼児ですら知っている常識ですわよ』
『いやー、だがあの感じ』
ざわざわと王子の言葉に波紋が広がる。
それはそうだろう、幼児でも私の事はきっと知っているのだから、知らない方がおかしいのだ。
「父上、リリシアーと婚約破棄をしてください」
「お、お前は何を言っているのだーっ」
「だからリリシアーと」
「アメリア様をまさか呼びつけで名前呼びなどしていないだろうな」
「アメリアって誰ですか、そこにいる女リリシアーの婚約破棄を」
真っ青になって今にでも倒れそうな貴族達に王家関係者を私は冷ややかに見つめる。
私の横に佇む従者の方が私は心配なのだ、彼は何をしでかすか分からないから。
私の護衛に彼は命を懸けている、私命な彼ははらわたが煮え繰り返しそうなのだから押さえる私が大変なのよね。
他国で従者が主人を煩らせるなんてね………。
「お前に婚約者はいない、それにアメリア様がお前の婚約者などありえない」
「な、なら良いのですよ、初めから言ってくだされば良かったのに………それにしてもリリシアーはエリーに嫉妬して虐めていたこと」
あっ、王子を黙らせる為に背後から薬を使いましたね。
エリーさんと言ったかしら、エリーさんは王子を涙目で揺すり………激しすぎて逆に絞め殺しかけてますよ。
「申し訳ない、この事は」
「申し訳ありませんが、いくらなんでも若気の至りというには………少々無理がありますわね、それに私の侮辱は宜しくてよ、不問にいたしましょうだなんて…申し上げられませんわ、私帝王国の第一王位継承者ですから」
そう私、帝王国の第一王位継承者なの。
ここ朱雀国は小国、大国の帝王国に喧嘩を売ったと見なされる。
大国がこの事を処理しない筈がない国の面子があり処理しないなんて恥だわ。
特に、帝王国は大国というと分かりやすいから大国という認識だが、帝王国は創立者………つまりこの世界を造りし神様の血が流れているのだ。
「ーっ申し訳ない」
「謝って済む問題の息を越えてしまっているわ、貴方がしっかりと育てないからいけないのよ…退位いして弟君に王位を明け渡しなさいとは…言わないわ、貴方は王としては立派だもの、だからオーガスアステリアオードリーオータムを廃嫡すれば不問にいたしましょう」
アーダベルクス・アステリアオードリーオータムの息子は一人しかいないから可哀想だが仕方ないよね。
「彼が王位につけばこの国は窮地になるわ、国民に罪はないのだから国民を守るためには、貴方の息子は不要だわ切り捨てなさい」
借りている王宮の自室に帰りソファーでダラッと身を任せる。
ソファーと言っても魔法で水のクッションを作っただけのポニョポニョしていて柔らかいのだがチャップンチャップンするのがたまにキズだか。
「ふーっ」
「お疲れ様です、姫様」
「本当に、ね…まさかいきなり婚約破棄だなんて笑っちゃうのに耐えたわよ、私息子もいるのに」
そう私は13歳の時に結婚しているんだよね。
私の国では13歳で成人したとされているから、第一王位継承者は基本的に13の成人した日に結婚するのが決まっている、一週間寝台に籠り子作りをしなければならない。
そして、王族のみは一週間後赤子が実っていないと分かると又一週間籠る事になる。
次代を作る為に一切の公務が免除される、嫌ヤることが公務なんだよなぁ。
「王婿が今ごろ発狂していなければ良いのですが」
「まぁ…私の代わりに父様から扱かれて私ことなんて考えていませんわようっ」
ベリベリッと結婚指輪が震える。
あらまぁ、結婚指輪に守護の魔法………というよりも。
「何時の間に仕込んでいたのかしらねぇ…出てきなさい」
「キュッ」
おそるおそる指輪から出てくる、守護獣。
基本的に両親が子に安全になるために着けるのだが、この守護獣は私の安全と私の浮気と私の夫に対する反応ににも反応するらしい。
「過保護ね」
「ご心配なのでしょう、姫様の事を愛していらっしゃるのだから」
私付きのメイドでありメイド副官のアイリスリーブルーンが苦笑いをしながら震える守護獣を撫でる、気を良くしたのかアイリスに甘えている。
「呑気ね」
「浮気の神術は頂けませんわ、不届きものに対するモノならよいのですが…姫様の考えにも反応するなんて」
「まだコンラッドは未熟だもの」
コンラッド・ストームネーボーリンクは私の夫であり、小国麒麟国の第15王子なんだよね。
帝王国のみに魔法が使える…嫌、魔法と呼ぶことはなく神術と呼ばれるものだ。
魔法を知っている日本人なら分かると思うが、魔法と呼ばれ起こることは此方の世界では神術とされ、帝王国の血筋しか使えることが出来ないのだ。
「適性はもう抵抗しないのに」
帝王国以外から人を娶るなら、帝王国の血液を毎日与え適性が合わなければその人は死ぬが適性が合えばその人は帝王国の民になる権利が与えられる。
「私の血まだ足りるみたいね」
「はい、ですがもうそろそろ無くなるかと」
「血がないと神術は使えなくなるから、この子消えちゃうわね」
他国の帝王民は毎日血を摂取しなければ、神術は使えなくなる。
もしも、離婚したりして帝王を離れた時に神術を使えたり、子が神術を使えたりすると不味いから。
帝王を一生出ない民にしか神術は仕えないのだ。
「姫様もう調査は終わりました、帰っても問題ないかと」
「………そうね、問題ないわね」
バタバタと騒がしくなる、廊下と玄関に私は顔をしかめる。
「何かしら」
「お待ちください、急に出ていかれるのは困ります」
兵士がズラリーッと並んで私の行き場を塞いでいる。
「無礼な」
「アイリスお止めなさい………私の留学期間は今日までよ、今帰国しても何も支障はないわ」
押し黙る兵士。