プロローグ
「見える世界」と「見えない世界」が存在する。
紙に赤ペンと青ペンで一本ずつ線を書いて、赤セルをのせると青い線のみが見えて、青セルをのせると赤い線のみが見える。
じゃあ仮に、「俺たち人類が青い世界に住んでいて」
「目の前に赤い世界が並行して存在して」
「俺たちの目は赤セルでできていて」
「赤い世界の住人の目にはセルが被っていない」。
要するに、こちらからは見えないけれど、向こうからは見えていて、別世界が存在するとしたら。
存在するはずのない大陸の謎、誰かが大昔に書いた文字、作られるはずがないお宝。その証明が存在するかもしれない。
とある年のクリスマスの日。
太平洋に大きな穴が開いた。
その穴の奥は海底でもなく、地球のコアでもなく、増してや竹輪のように覗くと宇宙が見えるわけでもない。
そこにあったのは、人類とは別の存在が住む異世界だった。
彼らの世界にも穴が開き、こちら側とつながっていた。
彼らの世界は、人知を超えた科学の世界だった。
人類は友好関係を結ぼうとするも、失敗。
化学兵器を用いた侵略により、、次々と世界は支配されていった。
人類の戦況は劣勢にあり、人口も10億人ほどに減った。
噂話があった。
何人かの人間は、突然幽霊から声を掛けられるんだと。
その世界の住人は姿を持たず、魂のみがあるんだと。
話しかけられた者は「私は何者だ」といわれ、その後「われに創造あれ」と言うんだと。
そして、目をつぶって「理想の力を持った自分」を思い浮かべ目を開けると、そこには「理想の力をもった自分」がいるんだと。
その世界の住人は姿を持たないがゆえに、無数の魂が飛び交う世界なんだと。
人々はこの世界のことを混沌と呼んだ。
そして、カオスの住人と話せたものは「カオシスト」と呼ばれた。
カオスの住人たちがカオシストに与える能力はいわゆる「魔術」。
化学兵器も軽く退けるのだと。
しかし、カオシストとなるのはごく一部の人間。
数が足りないため、やはり劣勢のままだ。
カオシスト。
彼らは人類の希望。
彼らは唯一の兵器。
彼らは戦う運命に選ばれたもの。
世界で最初にカオシストに選ばれた若者が力を与えられたとき、こんな声が聞こえたそうだ。
====創造(想像)は、時に争いを招く。
戦う運命を選びし者よ、運命の門は開いた。
運命を共に歩みたもう・・・
我々は君たちの創造により、幾度と泣く姿を変える「魂」だ。===
カオスの住人たち、いや「魂」たちは、この現象をこう呼んだ。
「混沌の門の開門」と・・・