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達成と喪失
ほぼ自動筆記状態で書いてみた小品。
何かをやり遂げると、達成感が得られる。
そう、聞いたことがある。
だが、本当だろうか?
私は、つくづく疑問に思っていた。
私の場合は、達成感よりも、虚脱感、そして、何か次にやることを探さなければという焦燥感に駆られる。
やり遂げたというよりも、終わってしまった、という感覚。
自分の中のある側面が死に、別の側面に引き継がれるという感覚。
達成は、ある意味では死だ。
私が何かを達成したときは、その後のことを、他者が勝手に進めてしまうようになる時だ。
もし私がそれに抗うことがあれば、私はまだそれを達成してはいないということだ。
「達成感で歓喜の涙を流す人っているでしょ。でも本当はあれって、本人も気付かないだけで、喪失の涙なんじゃないかしら」
そう言った君は、君を振って振って振りぬいた私が、遂に君を受け入れることにしたとき、歓喜の涙を流した。
あれもまた、喪失の涙だったのだろうか。
君は、私を手に入れることで、私を失ったのだろうか。